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第7章 2 ただいま
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それは突然の出来事だった―。
スカーレットは庭園でリヒャルトと食事を済ませた後、引き続き2人で腕を組んで庭園を歩いていた。
「お父様、見て下さい。これはリンゴの木ですよ?大分青い実がついていますね」
スカーレットはリンゴの木に触れながらリヒャルトに話しかける。何か少しでも刺激になればと思い、自然に触れたり語り掛けを続ければきっとリヒャルトは回復に向かうはず…。リヒャルトを看てくれている心療内科医もそう言っていた。
(そうよ。だって最近のお父様はほんの少しだけど笑顔を見せてくれるようになったのだから…きっと今に良くなって、本来のお父様に戻ってくれるはずよ…!)
その時―
突然強い風が吹き、スカーレットの帽子が飛ばされてしまった。
「あ!」
帽子は風に乗って空を舞い、運悪く前方にある池に落ちてしまった。
「あ…帽子が…」
スカーレットはバスケットを足元に置くとリヒャルトに言った。
「お父様、帽子を取って来るのでここでお待ち下さいね」
リヒャルトは言葉が通じているの、いないのかは不明だが黙ってコクリと頷いた。
スカーレットは池に近付くと帽子を見つめた。長い棒を探せば、手繰り寄せそうな場所に浮いている。
(何か長い棒は無いかしら…?)
スカーレットは地面をキョロキョロと見渡し、細長い棒を見つけた。
(あれなら届きそうね)
早速棒を拾いに行き、池に戻ると帽子が風で流され、少しだけ遠くに浮かんでいる。
「大変…早く取らなくちゃ」
スカーレットは慎重に池に近付き、身をかがめて棒を伸ばして必死で帽子手繰り寄せようとした。
(後少しだわ…)
そして、ようやく帽子に棒が触れた次の瞬間…。
「え?」
スカーレットはバランスを崩し、そのまま池の中に落ちてしまった。
バシャーンッ!!
「キャアアアッ!!」
途端に静かな庭園に響き渡る水音とスカーレットの悲鳴。
(い、いや!!この池…深いっ!!)
スカーレットは泳げない。しかも池は思っていた以上に深く、スカーレットの足が届かないのだ。
「だ!誰かっ!お父様っ!!」
スカーレットはバシャバシャと水音を立てながら必死で助けを求めた。
「あ…」
それを見ていたリヒャルト。最初は呆然としていたが、スカーレットの自分を呼ぶ叫び声を耳にした。
「お父様っ!!」
次の瞬間―。
「スカーレットッ!!」
突如リヒャルトは叫ぶと池へ向かって駆けだした。そして自分の手首程の太さの長い棒が落ちていることに気付くと、それを拾い上げて溺れかけているスカーレットに差し出した。
「スカーレット!!これに掴まりなさいっ!!」
「はぁっはぁっ!」
スカーレットは必死になり、棒にしがみついた。
「よし、掴んだな?そのまま握りしめていなさいっ!」
リヒャルトの言葉にスカーレットは頷いた。リヒャルトは力を込めて棒を引き寄せ…手を伸ばせばスカーレットが届く位置まで近付くと、左手で腕を掴んで池の中から引き上げた。
「あ…」
池に落ち、寒さと恐怖でずぶ濡れになりながら震えるスカーレットをリヒャルトは強く抱きしめると言った。
「良かった…!スカーレット…無事で…っ!」
その言葉にスカーレットはリヒャルトを見つめた。
「お、お父様…私が…分るのですか…?」
「ああ、勿論だよ」
そして愛しい娘の両頬に触れると言った。
「すまなかった…スカーレット。スカーレットのお陰で…自分を取り戻す事が出来たよ」
「お、おとう…様…お帰りなさい…お父様っ!」
スカーレットの目に涙が溢れ…リヒャルトは娘を強く抱きしめると、言った。
「ただいま、スカーレット」
この日…真の意味で、リヒャルトがスカーレットの元へ帰って来たのだった―。
スカーレットは庭園でリヒャルトと食事を済ませた後、引き続き2人で腕を組んで庭園を歩いていた。
「お父様、見て下さい。これはリンゴの木ですよ?大分青い実がついていますね」
スカーレットはリンゴの木に触れながらリヒャルトに話しかける。何か少しでも刺激になればと思い、自然に触れたり語り掛けを続ければきっとリヒャルトは回復に向かうはず…。リヒャルトを看てくれている心療内科医もそう言っていた。
(そうよ。だって最近のお父様はほんの少しだけど笑顔を見せてくれるようになったのだから…きっと今に良くなって、本来のお父様に戻ってくれるはずよ…!)
その時―
突然強い風が吹き、スカーレットの帽子が飛ばされてしまった。
「あ!」
帽子は風に乗って空を舞い、運悪く前方にある池に落ちてしまった。
「あ…帽子が…」
スカーレットはバスケットを足元に置くとリヒャルトに言った。
「お父様、帽子を取って来るのでここでお待ち下さいね」
リヒャルトは言葉が通じているの、いないのかは不明だが黙ってコクリと頷いた。
スカーレットは池に近付くと帽子を見つめた。長い棒を探せば、手繰り寄せそうな場所に浮いている。
(何か長い棒は無いかしら…?)
スカーレットは地面をキョロキョロと見渡し、細長い棒を見つけた。
(あれなら届きそうね)
早速棒を拾いに行き、池に戻ると帽子が風で流され、少しだけ遠くに浮かんでいる。
「大変…早く取らなくちゃ」
スカーレットは慎重に池に近付き、身をかがめて棒を伸ばして必死で帽子手繰り寄せようとした。
(後少しだわ…)
そして、ようやく帽子に棒が触れた次の瞬間…。
「え?」
スカーレットはバランスを崩し、そのまま池の中に落ちてしまった。
バシャーンッ!!
「キャアアアッ!!」
途端に静かな庭園に響き渡る水音とスカーレットの悲鳴。
(い、いや!!この池…深いっ!!)
スカーレットは泳げない。しかも池は思っていた以上に深く、スカーレットの足が届かないのだ。
「だ!誰かっ!お父様っ!!」
スカーレットはバシャバシャと水音を立てながら必死で助けを求めた。
「あ…」
それを見ていたリヒャルト。最初は呆然としていたが、スカーレットの自分を呼ぶ叫び声を耳にした。
「お父様っ!!」
次の瞬間―。
「スカーレットッ!!」
突如リヒャルトは叫ぶと池へ向かって駆けだした。そして自分の手首程の太さの長い棒が落ちていることに気付くと、それを拾い上げて溺れかけているスカーレットに差し出した。
「スカーレット!!これに掴まりなさいっ!!」
「はぁっはぁっ!」
スカーレットは必死になり、棒にしがみついた。
「よし、掴んだな?そのまま握りしめていなさいっ!」
リヒャルトの言葉にスカーレットは頷いた。リヒャルトは力を込めて棒を引き寄せ…手を伸ばせばスカーレットが届く位置まで近付くと、左手で腕を掴んで池の中から引き上げた。
「あ…」
池に落ち、寒さと恐怖でずぶ濡れになりながら震えるスカーレットをリヒャルトは強く抱きしめると言った。
「良かった…!スカーレット…無事で…っ!」
その言葉にスカーレットはリヒャルトを見つめた。
「お、お父様…私が…分るのですか…?」
「ああ、勿論だよ」
そして愛しい娘の両頬に触れると言った。
「すまなかった…スカーレット。スカーレットのお陰で…自分を取り戻す事が出来たよ」
「お、おとう…様…お帰りなさい…お父様っ!」
スカーレットの目に涙が溢れ…リヒャルトは娘を強く抱きしめると、言った。
「ただいま、スカーレット」
この日…真の意味で、リヒャルトがスカーレットの元へ帰って来たのだった―。
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