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第8章 10 アグネスの正体
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今、スイートルームの部屋では全員が四角いテーブルを囲んでソファに座っている。最初に口火を切ったのはリヒャルトであった。
「グスタフ。先程の話…詳しく教えてくれ」
「はい、分りました。アンドレア様はアグネスとエーリカがシュバルツ家に現れてから一緒に暮らす様になりました。そこでどうやら2人に目を付けられたようです」
「何て事だ…」
ヴィクトールは唸るように言った。
「そしてエーリカとアンドレア様との距離が近付き…先程彼が話していた通り、媚薬を盛られたアンドレア様はエーリカと一線を越えてしまったようです。その後彼は責任を取る為にスカーレット様の婚約を破棄して、2人は結婚する事になりました。そして…その夜に事件が起こったんです…」
グスタフは身体を震わせた。
「事件…?事件とは…?」
リヒャルトが先を促す。
「はい。あの夜屋敷中にスカーレット様の悲鳴が響き渡りました。そこで我々は慌てて部屋に駆け込むとベッドの上でガタガタと震えるスカーレット様と…同じくベッドの上に乗っていたアンドレア様の姿があったのです。…未遂で終わりましたが、その結果、スカーレット様は男性恐怖症になってしまいました」
「な、何て事だ…!」
リヒャルトが怒りの為か、身体を震わせている。
「それではアンドレア様はエーリカと関係を持ち、スカーレット様と婚約破棄しただけでは無く、結婚初夜にスカーレット様を襲ったと言うのか?!」
ヴィクトールも眉間に青筋を立てて、下唇を噛んだ。
「酷い話だ…」
黙って話を聞いていたリカルドが口を挟むと言った。
「我々の調べたところ、アグネスは高級娼婦として各地を転々と回っていたそうです。エーリカも幼い頃は娼館で育っています。恐らくあの母娘は男を誘惑するなど造作も無かった事だと思いますよ」
「何だって…っ?!あの女は…娼婦だったのかっ?!」
リヒャルトは図らずも自分が娼婦と関わってしまった事にショックを隠し切れなかった。
「はい。そして警察署長は上客だったという噂が入っています。そして2人は愛人関係でもあったそうです」
「そう言う事だったのですか…」
ヴィクトールは唸るように言った。
「恐らく署長は自分の愛人に娼婦などではなく、まともな地位を与えようと日頃から企んでいたのだと思います。かと言って自分が囲むわけにはいかない…恐らくアグネスも一緒になって各地を回ってターゲットを探していたのでしょうね。そしてリヒャルト様…貴方と出会った」
「…」
リヒャルトは黙ってリカルドの話を聞いている。
「妻を亡くて以来ずっと独り身だった男性…そして伯爵家の地位をお持ちだ。護衛も無しに1人きりで旅をしているとなれば…目を付けられてもおかしくは無いでしょう?」
「た、確かに…」
リカルドの言葉にリヒャルトはもはや返す言葉も無かった。
「とにかく…我々は厄介な人物に出会ってしまった。彼はかなり危険人物です。今後はもっと慎重に行動していかないと、いずれ足元をすくわれてしまうかもしれません」
リカルドは全員を見渡し、最後に今まで彼らの話を黙って聞いていたジミーに尋ねた。
「貴方にとっては…不本意かもしれませんがアグネスとエーリカの為に、豪華なディナーを振る舞って頂けますか?」
「ええ、俺はシェフです。どんな時も手抜きはしませんよ」
そしてニヤリと笑った―。
「グスタフ。先程の話…詳しく教えてくれ」
「はい、分りました。アンドレア様はアグネスとエーリカがシュバルツ家に現れてから一緒に暮らす様になりました。そこでどうやら2人に目を付けられたようです」
「何て事だ…」
ヴィクトールは唸るように言った。
「そしてエーリカとアンドレア様との距離が近付き…先程彼が話していた通り、媚薬を盛られたアンドレア様はエーリカと一線を越えてしまったようです。その後彼は責任を取る為にスカーレット様の婚約を破棄して、2人は結婚する事になりました。そして…その夜に事件が起こったんです…」
グスタフは身体を震わせた。
「事件…?事件とは…?」
リヒャルトが先を促す。
「はい。あの夜屋敷中にスカーレット様の悲鳴が響き渡りました。そこで我々は慌てて部屋に駆け込むとベッドの上でガタガタと震えるスカーレット様と…同じくベッドの上に乗っていたアンドレア様の姿があったのです。…未遂で終わりましたが、その結果、スカーレット様は男性恐怖症になってしまいました」
「な、何て事だ…!」
リヒャルトが怒りの為か、身体を震わせている。
「それではアンドレア様はエーリカと関係を持ち、スカーレット様と婚約破棄しただけでは無く、結婚初夜にスカーレット様を襲ったと言うのか?!」
ヴィクトールも眉間に青筋を立てて、下唇を噛んだ。
「酷い話だ…」
黙って話を聞いていたリカルドが口を挟むと言った。
「我々の調べたところ、アグネスは高級娼婦として各地を転々と回っていたそうです。エーリカも幼い頃は娼館で育っています。恐らくあの母娘は男を誘惑するなど造作も無かった事だと思いますよ」
「何だって…っ?!あの女は…娼婦だったのかっ?!」
リヒャルトは図らずも自分が娼婦と関わってしまった事にショックを隠し切れなかった。
「はい。そして警察署長は上客だったという噂が入っています。そして2人は愛人関係でもあったそうです」
「そう言う事だったのですか…」
ヴィクトールは唸るように言った。
「恐らく署長は自分の愛人に娼婦などではなく、まともな地位を与えようと日頃から企んでいたのだと思います。かと言って自分が囲むわけにはいかない…恐らくアグネスも一緒になって各地を回ってターゲットを探していたのでしょうね。そしてリヒャルト様…貴方と出会った」
「…」
リヒャルトは黙ってリカルドの話を聞いている。
「妻を亡くて以来ずっと独り身だった男性…そして伯爵家の地位をお持ちだ。護衛も無しに1人きりで旅をしているとなれば…目を付けられてもおかしくは無いでしょう?」
「た、確かに…」
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「貴方にとっては…不本意かもしれませんがアグネスとエーリカの為に、豪華なディナーを振る舞って頂けますか?」
「ええ、俺はシェフです。どんな時も手抜きはしませんよ」
そしてニヤリと笑った―。
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