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第58話 授業をサボる?悪役令息
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キーンコーンカーンコーン……
数学の授業が終わり、ブラッドリーからノートを受け取った。
「ほら、お前の為に真面目に板書してやったぞ」
「うん、ありがとう。助かるよ。明日には返すからさ。それじゃ…ちょっと行ってくるよ」
痛む身体を我慢して席を立った。
「え?行くって何処へだよ。まさかエディットのところか?」
ブラッドリーの言葉に首を振った。
「まさか!そんなんじゃないよ。これから医務室に行って怪我の手当をしてもらうんだよ」
すると、エミリオが会話に混じってきた。
「そうか、なら2時限目と3時限目の授業はそのままサボってしまえよ」
「うん、その方がいいだろう。大体その身体じゃ無理だろう」
ラモンが頷く。
「あ、そう言えば2時限目と3時限目は屋外活動1ってあったけど一体何をするんだい?」
園芸でもするのだろうか?それとも屋外活動1と言うくらいだから、校内の清掃活動のことだろうか?
「何?お前、そんな事も知らなかったのか?一体何しに学校へ来ているんだよ」
ブラッドリーが呆れた様子で僕を見る。
「え?勉強をしに来ているんだけど?」
まさかブラッドリーにそんなことを言われる日がやってくるとは思わなかった。
「いいか?屋外活動1っていうのは馬術のことだよ。ば、じゅ、つ」
妙に「馬術」を強調するブラッドリー。
「へ~…馬術か…ええっ?!ば、馬術?!」
馬術って……まさか、あの馬にまたがる馬術のことだろうか?
「ああ、そうだ。しかもただの馬術じゃない。馬の早駆けや、障害物を飛び越えさせる授業だぞ?お前にとってはさぞかし馬だけにトラウマな授業なんじゃないか?」
ニヤニヤしながら僕に語るブラッドリー。
今の僕にとって彼の冗談は、はっきり言って笑えない。
何しろ今の僕はアドルフであって、アドルフじゃない。当然馬に乗っていた記憶なんか残っちゃいない。
もはや、僕の正体は25歳の元・社畜と呼んでも過言ではないだろう。
「そんな…社畜の僕が乗馬なんか出来るはず無いじゃないか…」
思わずボソリと漏れた言葉にラモンとエミリオが何やらコソコソと話しあっている。
「何だ?そのシャチクっていうのは?」
「さぁなあ。こいつ馬に蹴られてから頭がイカれてしまった部分があるからな」
「ほらほら、そろそろ俺たちは乗馬の着替えにロッカールームへ行かなきゃならないんだからお前は医務室へ行けよ。馬術教師には俺から説明しといてやるからさ」
するとブラッドリーが男前?な言葉を掛けてくれた。
「ブラッドリー。ありがとう!恩に着るよっ!」
何て彼はいい人間なのだろう!
「その代わり……」
ブラッドリーの口元が不敵な笑みを浮かべる。
「その代わり?」
「今日の昼飯、俺におごれ。スペシャルAランチな」
「え…ええええっ?!」
こうして本日、僕はブラッドリーにランチを奢ることが決定した――。
****
「どうもありがとうございました」
医務室で怪我の手当をしてもらった僕は白衣を着た女医の先生に頭を下げた。
「あまり無理しないほうがいいわよ」
メガネを掛け、栗毛色の髪を後ろで1本に結わえた美人女医先生が僕に笑顔で声を掛けてきた。
「はい、そうですね。肝に銘じてきます」
頭を下げ、美人女医先生に見送られながら僕は医務室を後にした――。
**
「う~ん…次の授業が始まるまで後50分近くあるな……」
いまの時間は午前10時を少し過ぎたところだった。
まだ授業中の為、学院の廊下は静まり返っている。
馬術の授業は2時限分まとまっているから、時間が長い。
「暇だなぁ……よし、少し校舎の探索でもしてみようかな」
何しろ僕はまだこの学院の造りを殆ど把握出来ていない。それに美人女医先生の手当のお陰で怪我の痛みも大分半減されている。
おまけに空は雲1つない青空で、日差しもポカポカ温かい。
探索するにはもってこいの日和だ。
「今は授業中だから校舎内の探索はやめたほうがいいな……敷地の探索をすることにしよう」
そして僕は校舎の出口を目指した――。
****
「うわ~……これは凄いな……」
迷いながらあるき続け、僕が偶然やってきたのは『エステル学院』の分校舎?らしき場所だった。
3階建ての大きな石造りの建物の正面には美しい花壇、その奥には緑の芝生が広がっている。
そして芝生を挟むように左右には緑の葉の生い茂った針葉樹が等間隔に並んで植えられている。
「凄いな……まるで、マリー・アントワネットが好きだった『プチ・トリアノン』のような場所だ。中世ヨーロッパ貴族のオタクだった妹が見たら悲鳴を上げて喜ぶだろうな…」
つい、前世の妹のことを思い出してしまった。
その時……。
「キャーッ!!」
建物の奥から、突然甲高い悲鳴が辺りに響き渡った――。
数学の授業が終わり、ブラッドリーからノートを受け取った。
「ほら、お前の為に真面目に板書してやったぞ」
「うん、ありがとう。助かるよ。明日には返すからさ。それじゃ…ちょっと行ってくるよ」
痛む身体を我慢して席を立った。
「え?行くって何処へだよ。まさかエディットのところか?」
ブラッドリーの言葉に首を振った。
「まさか!そんなんじゃないよ。これから医務室に行って怪我の手当をしてもらうんだよ」
すると、エミリオが会話に混じってきた。
「そうか、なら2時限目と3時限目の授業はそのままサボってしまえよ」
「うん、その方がいいだろう。大体その身体じゃ無理だろう」
ラモンが頷く。
「あ、そう言えば2時限目と3時限目は屋外活動1ってあったけど一体何をするんだい?」
園芸でもするのだろうか?それとも屋外活動1と言うくらいだから、校内の清掃活動のことだろうか?
「何?お前、そんな事も知らなかったのか?一体何しに学校へ来ているんだよ」
ブラッドリーが呆れた様子で僕を見る。
「え?勉強をしに来ているんだけど?」
まさかブラッドリーにそんなことを言われる日がやってくるとは思わなかった。
「いいか?屋外活動1っていうのは馬術のことだよ。ば、じゅ、つ」
妙に「馬術」を強調するブラッドリー。
「へ~…馬術か…ええっ?!ば、馬術?!」
馬術って……まさか、あの馬にまたがる馬術のことだろうか?
「ああ、そうだ。しかもただの馬術じゃない。馬の早駆けや、障害物を飛び越えさせる授業だぞ?お前にとってはさぞかし馬だけにトラウマな授業なんじゃないか?」
ニヤニヤしながら僕に語るブラッドリー。
今の僕にとって彼の冗談は、はっきり言って笑えない。
何しろ今の僕はアドルフであって、アドルフじゃない。当然馬に乗っていた記憶なんか残っちゃいない。
もはや、僕の正体は25歳の元・社畜と呼んでも過言ではないだろう。
「そんな…社畜の僕が乗馬なんか出来るはず無いじゃないか…」
思わずボソリと漏れた言葉にラモンとエミリオが何やらコソコソと話しあっている。
「何だ?そのシャチクっていうのは?」
「さぁなあ。こいつ馬に蹴られてから頭がイカれてしまった部分があるからな」
「ほらほら、そろそろ俺たちは乗馬の着替えにロッカールームへ行かなきゃならないんだからお前は医務室へ行けよ。馬術教師には俺から説明しといてやるからさ」
するとブラッドリーが男前?な言葉を掛けてくれた。
「ブラッドリー。ありがとう!恩に着るよっ!」
何て彼はいい人間なのだろう!
「その代わり……」
ブラッドリーの口元が不敵な笑みを浮かべる。
「その代わり?」
「今日の昼飯、俺におごれ。スペシャルAランチな」
「え…ええええっ?!」
こうして本日、僕はブラッドリーにランチを奢ることが決定した――。
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「どうもありがとうございました」
医務室で怪我の手当をしてもらった僕は白衣を着た女医の先生に頭を下げた。
「あまり無理しないほうがいいわよ」
メガネを掛け、栗毛色の髪を後ろで1本に結わえた美人女医先生が僕に笑顔で声を掛けてきた。
「はい、そうですね。肝に銘じてきます」
頭を下げ、美人女医先生に見送られながら僕は医務室を後にした――。
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「う~ん…次の授業が始まるまで後50分近くあるな……」
いまの時間は午前10時を少し過ぎたところだった。
まだ授業中の為、学院の廊下は静まり返っている。
馬術の授業は2時限分まとまっているから、時間が長い。
「暇だなぁ……よし、少し校舎の探索でもしてみようかな」
何しろ僕はまだこの学院の造りを殆ど把握出来ていない。それに美人女医先生の手当のお陰で怪我の痛みも大分半減されている。
おまけに空は雲1つない青空で、日差しもポカポカ温かい。
探索するにはもってこいの日和だ。
「今は授業中だから校舎内の探索はやめたほうがいいな……敷地の探索をすることにしよう」
そして僕は校舎の出口を目指した――。
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「うわ~……これは凄いな……」
迷いながらあるき続け、僕が偶然やってきたのは『エステル学院』の分校舎?らしき場所だった。
3階建ての大きな石造りの建物の正面には美しい花壇、その奥には緑の芝生が広がっている。
そして芝生を挟むように左右には緑の葉の生い茂った針葉樹が等間隔に並んで植えられている。
「凄いな……まるで、マリー・アントワネットが好きだった『プチ・トリアノン』のような場所だ。中世ヨーロッパ貴族のオタクだった妹が見たら悲鳴を上げて喜ぶだろうな…」
つい、前世の妹のことを思い出してしまった。
その時……。
「キャーッ!!」
建物の奥から、突然甲高い悲鳴が辺りに響き渡った――。
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