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第76話 悪役令息の本来の実力は?
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「アドルフ様、あの……早速ですが、来週は数学の試験がありますけど……」
エディットが躊躇いがちに尋ねて来た。
「数学か……」
「はい、そうです」
理数系なら割と得意だからこれは何とかなりそうだ。
「それなら多分大丈夫だよ。勿論勉強はするけど、数学なら多分大丈夫だよ」
「そう言えば、アドルフ様は数学はお得意でしたよね」
「あ…ハハハハ…そうだったかもね~…」
笑ってごまかすものの、内心少し驚いていた。
知らなかった‥‥アドルフは数学が得意だったのか。
僕がこの世界の数学を理解出来たのは、てっきり前世の自分の記憶が残っているからだとばかり思っていた。
けれども、どうやらそれだけが要因ではなかったのかもしれない。
「はい。なら数学は安心ですね。良かったです」
「うん。大船に乗ったつもりでいていいよ」
「はい」
嬉しそうに頷くエディット。
よし。
その笑顔を悲しませない為にも、念には念を入れて勉強を頑張らないと。
そこで僕は、ふと思った。
だとしたら……やっぱりアドルフは本当は頭が悪いわけでは無かったのかもしれない。そうでなければ読解力も必要になる数学が得意のはず無いのだから。
大体、エディットもブラッドリーも6年前の僕は頭が良かったと言っていた。
それに両親の話ではとエディットは小さい頃はとても仲が良かったらしい。
やっぱり……6年前に、僕とエディットの関係を壊す何かがあったんだ。
けれど、それを知るのは怖かった。
折角エディットが好きだという自分の気持ちに気付くことが出来たのに……。
「アドルフ様?どうかされましたか?」
突然僕が黙り込んでしまったからだろう。
エディットが不思議そうな顔で声を掛けて来た。
「ううん、何でも無いよ。エディットの為にも試験を頑張らないとなって考えていただけだよ」
「そ、そうですか……?あ、ありがとうございます。そう言って頂けるなんて…すごく嬉しいです……」
頬を染めて俯きながら、髪をかきあげるエディットの姿は本当に綺麗だった。
僕なんかにはこんなに素敵な婚約者は勿体ないくらいだ。
「あ、あの……」
不意にエディットが顔を上げて僕を見た。
「何?」
「明日の昼食ですけど、私に用意させて貰えますか?」
「エディットに?」
「はい、明日は私が2人分のお昼を持ってきますから」
「もしかして…エディットが作ってくれるの?」
エディットはお菓子作りだけをしていわけでは無かったのだろうか?
すると僕が何を考えているかエディットは気付いた様子で、ニコリと笑みを浮かべた。
「大丈夫です、ご安心下さい。お菓子は持ってきませんから」
「あ、そ、そうだよね。ごめん、エディットはお菓子を作っているイメージがあったからつい……。でも手作りのお昼か…ありがとう。楽しみにしているよ」
そして僕は又、エディットの頭をそっと撫でた――。
****
馬車がヴァレンシュタイン家に到着した。
「それではアドルフ様。又明日お迎えに上がりますね」
馬車を降りた僕にエディットが中から声を掛けて来た。
「うん、ありがとう。でも、何だか男のくせに情けないね。本来なら僕がエディットを送り迎えするべきなのに」
「いいえ、そんなことありません。私の方が学院から家が離れていますし、何よりアドルフ様の御自宅は通学路の途中にあるのですから、私が送迎するのは当然です」
大真面目な顔のエディット。
「そう?ありがとう」
「そ、それに……アドルフ様は少しも情けなくなんかありません。そ、その…とても頼りになって‥‥優しくて…す、すごく素敵な方です…」
真っ赤な顔しながらも必死に訴えて来る様子を見ていると、何だかこちら迄気恥ずかしくなってしまう。
「あ、ありがとう。エディットからそんな風に言って貰えるなんて…嬉しいよ」
「そ、それでは私…もう行きますね?」
「う、うん。気を付けて帰ってね」
妙に照れくさい気持ちを隠しながら僕は馬車の扉を閉めると、御者の男性に声を掛けた。
「すみません、馬車を出して下さい」
「はい、かしこまりました」
すると、突然馬車の窓が開いてエディットが顔をのぞかせて来た。
「アドルフ様。又明日…お会いしましょうね」
「うん、又ね」
そしてエディットを乗せた馬車はガラガラと音を立てて走り始めた。
夕日の中を馬車が見えなくなるまで見届けると、屋敷へ足を向けた。
勿論、これから猛勉強を始める為に――。
エディットが躊躇いがちに尋ねて来た。
「数学か……」
「はい、そうです」
理数系なら割と得意だからこれは何とかなりそうだ。
「それなら多分大丈夫だよ。勿論勉強はするけど、数学なら多分大丈夫だよ」
「そう言えば、アドルフ様は数学はお得意でしたよね」
「あ…ハハハハ…そうだったかもね~…」
笑ってごまかすものの、内心少し驚いていた。
知らなかった‥‥アドルフは数学が得意だったのか。
僕がこの世界の数学を理解出来たのは、てっきり前世の自分の記憶が残っているからだとばかり思っていた。
けれども、どうやらそれだけが要因ではなかったのかもしれない。
「はい。なら数学は安心ですね。良かったです」
「うん。大船に乗ったつもりでいていいよ」
「はい」
嬉しそうに頷くエディット。
よし。
その笑顔を悲しませない為にも、念には念を入れて勉強を頑張らないと。
そこで僕は、ふと思った。
だとしたら……やっぱりアドルフは本当は頭が悪いわけでは無かったのかもしれない。そうでなければ読解力も必要になる数学が得意のはず無いのだから。
大体、エディットもブラッドリーも6年前の僕は頭が良かったと言っていた。
それに両親の話ではとエディットは小さい頃はとても仲が良かったらしい。
やっぱり……6年前に、僕とエディットの関係を壊す何かがあったんだ。
けれど、それを知るのは怖かった。
折角エディットが好きだという自分の気持ちに気付くことが出来たのに……。
「アドルフ様?どうかされましたか?」
突然僕が黙り込んでしまったからだろう。
エディットが不思議そうな顔で声を掛けて来た。
「ううん、何でも無いよ。エディットの為にも試験を頑張らないとなって考えていただけだよ」
「そ、そうですか……?あ、ありがとうございます。そう言って頂けるなんて…すごく嬉しいです……」
頬を染めて俯きながら、髪をかきあげるエディットの姿は本当に綺麗だった。
僕なんかにはこんなに素敵な婚約者は勿体ないくらいだ。
「あ、あの……」
不意にエディットが顔を上げて僕を見た。
「何?」
「明日の昼食ですけど、私に用意させて貰えますか?」
「エディットに?」
「はい、明日は私が2人分のお昼を持ってきますから」
「もしかして…エディットが作ってくれるの?」
エディットはお菓子作りだけをしていわけでは無かったのだろうか?
すると僕が何を考えているかエディットは気付いた様子で、ニコリと笑みを浮かべた。
「大丈夫です、ご安心下さい。お菓子は持ってきませんから」
「あ、そ、そうだよね。ごめん、エディットはお菓子を作っているイメージがあったからつい……。でも手作りのお昼か…ありがとう。楽しみにしているよ」
そして僕は又、エディットの頭をそっと撫でた――。
****
馬車がヴァレンシュタイン家に到着した。
「それではアドルフ様。又明日お迎えに上がりますね」
馬車を降りた僕にエディットが中から声を掛けて来た。
「うん、ありがとう。でも、何だか男のくせに情けないね。本来なら僕がエディットを送り迎えするべきなのに」
「いいえ、そんなことありません。私の方が学院から家が離れていますし、何よりアドルフ様の御自宅は通学路の途中にあるのですから、私が送迎するのは当然です」
大真面目な顔のエディット。
「そう?ありがとう」
「そ、それに……アドルフ様は少しも情けなくなんかありません。そ、その…とても頼りになって‥‥優しくて…す、すごく素敵な方です…」
真っ赤な顔しながらも必死に訴えて来る様子を見ていると、何だかこちら迄気恥ずかしくなってしまう。
「あ、ありがとう。エディットからそんな風に言って貰えるなんて…嬉しいよ」
「そ、それでは私…もう行きますね?」
「う、うん。気を付けて帰ってね」
妙に照れくさい気持ちを隠しながら僕は馬車の扉を閉めると、御者の男性に声を掛けた。
「すみません、馬車を出して下さい」
「はい、かしこまりました」
すると、突然馬車の窓が開いてエディットが顔をのぞかせて来た。
「アドルフ様。又明日…お会いしましょうね」
「うん、又ね」
そしてエディットを乗せた馬車はガラガラと音を立てて走り始めた。
夕日の中を馬車が見えなくなるまで見届けると、屋敷へ足を向けた。
勿論、これから猛勉強を始める為に――。
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