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第99話 迫られる悪役令息
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学院の敷地内にある馬車乗り場で迎えの馬車を待っていると、背後から突然声を掛けられた。
「お兄ちゃん」
ん?僕をそんなふうに呼ぶのは……この世界では1人しかいない。
「サ…じゃなかった。アリス」
振り向きながら、危うく名前を間違えそうになった。
何故ならサチと一緒にいるには当然セドリックであり、僕が妹を「サチ」と呼んでいいのは2人きりの時だけだったからだ。
「お兄さん、今日はエディットは休みだったね」
今やセドリックは堂々と僕を『お兄さん』と呼んでくる。
「うん、どうやら風邪を引いたらしいんだ。それで今日は休んだんだよ」
「だったらお見舞いに行くんでしょう?」
「え?行かないけど?」
サチの言葉に首を振る。
「何だって?どうして行かないんだよ!小学生の時、学校のプリントを渡す為に休みのクラスメイトの家に行ったりはしなかったのか?それだってお見舞いのうちの1つだろう?」
「そうだよ、お兄ちゃんは冷たすぎる!」
セドリックとサチの言葉に絶句する。
「そ、そんな……体調の悪いエディットを気遣ってお見舞い行くのをやめようと思っていたけど……むしろその逆だったのか?あのエディットのことだから僕がお見舞いに来たことを知れば、無理して起き上がるに違いない。だから気を使わせないようにお見舞いに行くのをやめようと思っていたのに…?」
思わず頭を抱えて自問自答する。
「あ~あ……出ちゃったよ。お兄ちゃんのジレンマが。全く変に考え込むのが昔からの悪い癖だよね。私だったら自分が体調悪い時に好きな人にお見舞いに来てくれたら嬉しくて堪らないけどな~…」
サチの言葉に素早く反応したのはセドリックだった。
「何だってっ?!よ、よし。分かった……アリスは好きな男性からはお見舞いに来てもらいたいタイプなんだな?覚えておこう……」
ブツブツ呟くセドリックを尻目に、サチは自分のカバンから数枚のプリントを取り出すと僕に差し出してきた。
「はい、お兄ちゃん。受け取って」
「え?何?」
受け取りながら尋ねると、サチは得意げに胸をそらせた。
「つまり、これは恋に不器用なお兄ちゃんの為に私が自ら名乗りを上げて、わざわざ先生から受け取ってきたプリントよ。これを持って恋人のお見舞いに行ってくるのよ!」
ビシッとサチは僕を指さしてきた。
「こ、恋人って……僕とエディットは確かに親同士の決めた婚約者同士ではあるけれど、まだそんな関係じゃ……」
「え?恋人同士じゃ無かったのか?!」
セドリックが驚いた様子で僕を見た。
「う、うん……。友達以上、恋人未満……ってところかな……?第一、まだ…その、自分の気持ちも告げていないし……」
「ええっ?!何でだよ?!」
「そうよ!どうしてよ!」
2人が同時に詰め寄ってくる。
「そ、それは……」
それは半分君たちのせいだろう?という言葉を飲み込むと2人に説明した。
「タイミングがね…実は記念式典のパーティーの時に告白しようかと思っていたんだけど……」
すると……。
「ばっかね~!」
「ばかじゃないかっ?!」
「はい、すみません……」
何故か2人から馬鹿呼ばわりされて、つい社畜時代の癖で謝ってしまった。
「いい?お兄ちゃん!今日、プリント持っていったらエディットに告白しなさい!」
「ああ、そうだ!絶対にだぞっ!今迄散々やきもきさせやがって!」
「キャアッ!セドリック様!そんな言葉遣いやめてよぉ!!」
サチとセドリックがワイワイ騒いでいる内に、屋敷から迎えの馬車がやってきた。
「あ、馬車が来たようだから…そろそろ行くよ」
2人に声を掛けると、サチが念押ししてきた。
「いい?お兄ちゃん。真っ直ぐエディットの家に行くんだからね?」
「ああ、そうだ。家に帰ったらただじゃ置かないからな?それに気持ちを告げるのも忘れるなよ?」
セドリックが睨みつけてくる。
「わ、分かったよ……」
どのみちエディットには会いたいと思っていたからいいとして……それにしても告白かぁ……。
「あのさ、告白するのに……何か手土産でも持っていったほうがいいかな?」
僕の言葉に2人が絶句したのは言うまでも無かった――。
****
ガラガラガラガラガラ……
音を立てて走る馬車に揺られながらエディットの家に向かっていた。
「それにしてもいきなり告白して来いなんて……まだ心の準備が出来ていないのにな……」
けれど、当たって砕けるしか無い。いや、砕けたくはないけど……。
「よし、エディットに会えたら面と向かって自分の気持ちを告げよう!」
僕は心にそう決めた。
少なくとも、エディットの屋敷に着くまでの間は――。
「お兄ちゃん」
ん?僕をそんなふうに呼ぶのは……この世界では1人しかいない。
「サ…じゃなかった。アリス」
振り向きながら、危うく名前を間違えそうになった。
何故ならサチと一緒にいるには当然セドリックであり、僕が妹を「サチ」と呼んでいいのは2人きりの時だけだったからだ。
「お兄さん、今日はエディットは休みだったね」
今やセドリックは堂々と僕を『お兄さん』と呼んでくる。
「うん、どうやら風邪を引いたらしいんだ。それで今日は休んだんだよ」
「だったらお見舞いに行くんでしょう?」
「え?行かないけど?」
サチの言葉に首を振る。
「何だって?どうして行かないんだよ!小学生の時、学校のプリントを渡す為に休みのクラスメイトの家に行ったりはしなかったのか?それだってお見舞いのうちの1つだろう?」
「そうだよ、お兄ちゃんは冷たすぎる!」
セドリックとサチの言葉に絶句する。
「そ、そんな……体調の悪いエディットを気遣ってお見舞い行くのをやめようと思っていたけど……むしろその逆だったのか?あのエディットのことだから僕がお見舞いに来たことを知れば、無理して起き上がるに違いない。だから気を使わせないようにお見舞いに行くのをやめようと思っていたのに…?」
思わず頭を抱えて自問自答する。
「あ~あ……出ちゃったよ。お兄ちゃんのジレンマが。全く変に考え込むのが昔からの悪い癖だよね。私だったら自分が体調悪い時に好きな人にお見舞いに来てくれたら嬉しくて堪らないけどな~…」
サチの言葉に素早く反応したのはセドリックだった。
「何だってっ?!よ、よし。分かった……アリスは好きな男性からはお見舞いに来てもらいたいタイプなんだな?覚えておこう……」
ブツブツ呟くセドリックを尻目に、サチは自分のカバンから数枚のプリントを取り出すと僕に差し出してきた。
「はい、お兄ちゃん。受け取って」
「え?何?」
受け取りながら尋ねると、サチは得意げに胸をそらせた。
「つまり、これは恋に不器用なお兄ちゃんの為に私が自ら名乗りを上げて、わざわざ先生から受け取ってきたプリントよ。これを持って恋人のお見舞いに行ってくるのよ!」
ビシッとサチは僕を指さしてきた。
「こ、恋人って……僕とエディットは確かに親同士の決めた婚約者同士ではあるけれど、まだそんな関係じゃ……」
「え?恋人同士じゃ無かったのか?!」
セドリックが驚いた様子で僕を見た。
「う、うん……。友達以上、恋人未満……ってところかな……?第一、まだ…その、自分の気持ちも告げていないし……」
「ええっ?!何でだよ?!」
「そうよ!どうしてよ!」
2人が同時に詰め寄ってくる。
「そ、それは……」
それは半分君たちのせいだろう?という言葉を飲み込むと2人に説明した。
「タイミングがね…実は記念式典のパーティーの時に告白しようかと思っていたんだけど……」
すると……。
「ばっかね~!」
「ばかじゃないかっ?!」
「はい、すみません……」
何故か2人から馬鹿呼ばわりされて、つい社畜時代の癖で謝ってしまった。
「いい?お兄ちゃん!今日、プリント持っていったらエディットに告白しなさい!」
「ああ、そうだ!絶対にだぞっ!今迄散々やきもきさせやがって!」
「キャアッ!セドリック様!そんな言葉遣いやめてよぉ!!」
サチとセドリックがワイワイ騒いでいる内に、屋敷から迎えの馬車がやってきた。
「あ、馬車が来たようだから…そろそろ行くよ」
2人に声を掛けると、サチが念押ししてきた。
「いい?お兄ちゃん。真っ直ぐエディットの家に行くんだからね?」
「ああ、そうだ。家に帰ったらただじゃ置かないからな?それに気持ちを告げるのも忘れるなよ?」
セドリックが睨みつけてくる。
「わ、分かったよ……」
どのみちエディットには会いたいと思っていたからいいとして……それにしても告白かぁ……。
「あのさ、告白するのに……何か手土産でも持っていったほうがいいかな?」
僕の言葉に2人が絶句したのは言うまでも無かった――。
****
ガラガラガラガラガラ……
音を立てて走る馬車に揺られながらエディットの家に向かっていた。
「それにしてもいきなり告白して来いなんて……まだ心の準備が出来ていないのにな……」
けれど、当たって砕けるしか無い。いや、砕けたくはないけど……。
「よし、エディットに会えたら面と向かって自分の気持ちを告げよう!」
僕は心にそう決めた。
少なくとも、エディットの屋敷に着くまでの間は――。
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