婚約者はこの世界のヒロインで、どうやら僕は悪役で追放される運命らしい

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第136話 エディットの追求

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「エディット?!」
「な、何故ここに?!」

僕とブラッドリーが同時に声を上げた。
すると、エディットの背後からフットマンが申し訳なさそうに現れた。

「あ、あの……いくらお声を掛けてもお返事が頂けず……」

「お部屋の中が騒がしかったので、私が勝手に扉を開けてしまいました」

エディットが一歩進み出て来た。

「エディット、ひょっとして俺に用事があって来てくれたのか?」

 エディットに尋ねるブラッドリ―。その顔には笑みが浮かんでいる。

「いいえ、違います」
 
「何だって?」

ブラッドリーの眉が上がる。

「馬車の中でアドルフ様の様子が何となくおかしく感じました。それでどうしうても気になってしまって……もしかしてブラッドリー様のお宅に向かったのではないかと思って伺ったのです。でもやはり、こちらにいらっしゃったのですね?」

エディットは僕をじっと見つめて来た。

「エディット……」

何てことだろう。エディットは僕が何を考えていたか察していたんだ。それで僕のことが気になって、ここへ……。

「また……アドルフかよ……」

 ブラッドリーが俯きながらボソリと呟く。エディットは真っすぐ僕の側にやって来て突然手を繋いでくると、再びブラッドリーに声を掛けた。

「先ほどの話は本当ですか?6年前の卒業パーティーでアドルフ様が階段から落ちたのは……ブラッドリー様に原因が有るのですか?」

その時、僕は気付いた。
エディットの手は小さく震えていた。よく見ると身体も小刻みに震えている。エディットは怯えているんだ。それなのに、勇気を振り絞ってブラッドリーに本当のことを尋ねようとしている……。

僕は彼女を安心させる為に、その手を強く握りしめた。

ブラッドリーは少しの間、無言でこちらを見ていたけれども肩をすくめた。

「あぁ、その通りだよ。パーティー会場を飛び出した俺を、そこにいるお人よしが階段のところまで追いかけて来た。だから追い払おうと、足元の小石を投げつけた。そしたらアドルフが階段から転げ落ちたんだよ」

「そ、そんな……」

エディットは目を見開いてブラッドリーの話を聞いている。

「幸い、辺りには誰もいなかったからな。アドルフが勝手に階段から転げ落ちて、側にいた俺が助けを呼びに来たってことにしてしまおうと思ったのさ。どうせお人よしのアドルフのことだ。絶対に俺のせいで階段から落ちたなんてバラすはずは無いからな。だが、まさかあんなことになるとはさすがの俺も気づかなかったぜ」

あんなこと……。
それはアドルフがわざと乱暴な人間になった演技を始めたことを言っているのだろう。

「そうだ、この際ついでに良い事を教えてやるよ。エディット」

まさか、ブラッドリーはエディットにそのことを告げるつもりなのだろうか?
僕の身体に緊張が走る。

けれど、エディットは首を振った。

「いいえ、教えて頂かなくても結構です。それよりも、もう一つ聞きたいことがあります。ひょっとすると……小さかった頃、アドルフ様が背中を怪我してしまったのはブラッドリー様が原因ですか?」

 エディットの言葉にブラッドリーの肩がビクリと反応した――。
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