婚約者はこの世界のヒロインで、どうやら僕は悪役で追放される運命らしい

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第137話 気付いていたエディット

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 青ざめた顔のブラッドリーはエディットを見つめたまま、固く口を閉ざしている。

「エディット……」

 何故、そのことを?

 声を掛けるとエディットは一瞬、僕と繋いだ手に力を込めると再度ブラッドリーに尋ねた。

「答えて下さい、ブラッドリー様」

 すると――。

「何で……今更そんな10年以上も昔の話、持ち出すんだよ」

ブラッドリーが振り絞るような声を出した。

「いいえ、今更ではありません。本当は……ずっと気になっていました」

え⁈

その言葉に耳を疑った。ブラッドリーも驚いた様に目を見開いている。

「ブラッドリー様はアドルフ様の大切な親友ですから、疑問に思っていても今まで口にしませんでした。だって……アドルフ様を傷つけたくは無かったからです」

そしてエディットは僕を見上げた。

「エディット……」

「エディット。アドルフの怪我の原因が俺だって、何を根拠にそんなこと言ってるんだよ?」

 ブラッドリーはエディットを睨みつけた。その声は苛立ちを含んでいる。

「やめろよ、ブラッドリー。エディットをそんな目で睨むのは」

黙っていられず、僕は声を掛けた。

「何だよ、アドルフ。俺は今、エディットと話をしてるんだ。邪魔するなよ」

すると――。

「私なら大丈夫です。アドルフ様」

そしてエディットはブラッドリーを真っすぐ見つめた。

「根拠ならあります。私を庇ってアドルフ様が大怪我をしたあの日、怪我の治療の為にまだ子供だった私は部屋から閉め出されてしまいました。私……アドルフ様が心配で、1人庭で泣いている時にメイドさん達の話声が聞こえて来たのです。事故の起こる少し前に男の子が私たちのいたサンルームをじっと見つめていたって」

「!」

その言葉にブラッドリーの肩がピクリと動く。

「そのすぐ後に、窓ガラスが激しく割れる音がしたので犯人はその少年では無いだろうかと疑っていました。そして……少年はブラッドリー様に似ていたそうです。でも怖くて報告出来ないとメイドさんたちは話していました」

「「……」」

僕もブラッドリーも呆然とエディットの話を聞いていた。

「実際に石を投げる場面をメイドさんたちは見てはいませんでしたし、お2人は親友同士です。まさかブラッドリー様がアドルフ様を傷つけるなんてあり得ないと今までずっと自分自身に言い聞かせていました。ですが……先ほどのお話で疑いに変わりました」


 そこで一度エディットは俯き、再び顔を上げた。

「正直に答えて下さい。あの日……サンルームにいた私たちの部屋に向かって、石を投げたのはブラッドリー様ですか?」

「だったら……どうする?」

 エディットの言葉にブラッドリーがフッと笑った――。




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