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第172話 重なる光景
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その翌日から、僕とエディットは毎日2人で朝から夕方まで一緒に過ごした。
2人で町に出てお芝居を見に行ったり、絵画展に行った日もある。お互いの屋敷の図書室で本を読みふけったこともあったし、広場で開催されたサーカスを見に行った日もあった。
こうして、短かったけれども……とても充実した5日間の休みを僕達は共に過ごした――。
****
休みの最終日、僕とエディットは町に出ていた。2人で色々買い物を済ませた頃にはすっかり夕方になっていた。
2人分の荷物を持って歩いてると、隣を歩くエディットが声を掛けてきた。
「すみません……アドルフ様。私の分の荷物迄持って頂いて」
「何言ってるんだい?僕から持つって言ったんだからエディットは何も気にしなくていいよ?」
するとエディットが笑みを浮かべて僕を見た。
「やっぱり、アドルフ様は優しいですね。今も……昔も……」
昔……とは、子供の頃の話をしているのだろう。
「そ、そうかな?やっぱり女の子は大切にしなくちゃね」
けれど、僕が言っても何の説得力も無いだろう。何しろ、いくら記憶が無いと言っても過去のアドルフはエディットに散々酷いことをしていたのは確かなのだから。しかも6年間も……。
そのことを思うと、未だに迷いが生じてくる。
本当に僕はエディットに自分の気持ちを告げてもいいのだろうか……と。
「アドルフ様?どうかしましたか?」
ふと気づくとエディットが僕の顔を見上げている。
「ごめん。何でも無いよ」
エディットの頭を撫でると、途端に顔を赤らめる。その姿がとても愛おしかった。
「あ、あのアドルフ様……夕日が綺麗に見える場所へ……行ってみませんか?」
「そうだね。行ってみようか?それで場所はどこなのかな?」
「はい、御案内しますね」
そして僕達は手を繋いでその場所へ向かった――。
**
到着した場所はランタンフェスティバルの時、2人で見学した運河の橋の上だった。美しい町並みの間からはオレンジ色の夕日が見えて、水面に映り込んでキラキラと輝いていた。
「どうですか?アドルフ様」
オレンジ色に輝く太陽を背に、エディットが声を掛けてきた。その姿は……とても綺麗だった。
「うん、とても美しいね……」
夕日も……エディットも。
「良かったです。気に入ってくれて」
そして笑みを浮かべて僕を見つめるエディット。
その時、僕の脳裏にある光景が蘇った。制服を着た彼女が、夕日を背に僕を見つめる姿が……何故かエディットとかぶって見えた。
え?
慌ててゴシゴシ目を擦ってよく見ると、そこに立っているのはいつもと同じエディットだ。
「アドルフ様?どうかしましたか?」
エディットが首を傾げて尋ねてくる。
「う、ううん。何でも無いよ。だけど……」
僕は真っ直ぐにエディットを見つめた。
「この綺麗な景色を一緒に見れた相手がエディットで、本当に良かったよ」
「は、はい……私も……です……」
うつむき加減に返事をするエディットの顔は……夕日に照らされ、いつも以上に赤く見えた。
僕達は互いの指を絡めるように、しっかり手をつなぎ……運河に沈んでいく夕日を飽きること無く見つめた――。
2人で町に出てお芝居を見に行ったり、絵画展に行った日もある。お互いの屋敷の図書室で本を読みふけったこともあったし、広場で開催されたサーカスを見に行った日もあった。
こうして、短かったけれども……とても充実した5日間の休みを僕達は共に過ごした――。
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休みの最終日、僕とエディットは町に出ていた。2人で色々買い物を済ませた頃にはすっかり夕方になっていた。
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「何言ってるんだい?僕から持つって言ったんだからエディットは何も気にしなくていいよ?」
するとエディットが笑みを浮かべて僕を見た。
「やっぱり、アドルフ様は優しいですね。今も……昔も……」
昔……とは、子供の頃の話をしているのだろう。
「そ、そうかな?やっぱり女の子は大切にしなくちゃね」
けれど、僕が言っても何の説得力も無いだろう。何しろ、いくら記憶が無いと言っても過去のアドルフはエディットに散々酷いことをしていたのは確かなのだから。しかも6年間も……。
そのことを思うと、未だに迷いが生じてくる。
本当に僕はエディットに自分の気持ちを告げてもいいのだろうか……と。
「アドルフ様?どうかしましたか?」
ふと気づくとエディットが僕の顔を見上げている。
「ごめん。何でも無いよ」
エディットの頭を撫でると、途端に顔を赤らめる。その姿がとても愛おしかった。
「あ、あのアドルフ様……夕日が綺麗に見える場所へ……行ってみませんか?」
「そうだね。行ってみようか?それで場所はどこなのかな?」
「はい、御案内しますね」
そして僕達は手を繋いでその場所へ向かった――。
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到着した場所はランタンフェスティバルの時、2人で見学した運河の橋の上だった。美しい町並みの間からはオレンジ色の夕日が見えて、水面に映り込んでキラキラと輝いていた。
「どうですか?アドルフ様」
オレンジ色に輝く太陽を背に、エディットが声を掛けてきた。その姿は……とても綺麗だった。
「うん、とても美しいね……」
夕日も……エディットも。
「良かったです。気に入ってくれて」
そして笑みを浮かべて僕を見つめるエディット。
その時、僕の脳裏にある光景が蘇った。制服を着た彼女が、夕日を背に僕を見つめる姿が……何故かエディットとかぶって見えた。
え?
慌ててゴシゴシ目を擦ってよく見ると、そこに立っているのはいつもと同じエディットだ。
「アドルフ様?どうかしましたか?」
エディットが首を傾げて尋ねてくる。
「う、ううん。何でも無いよ。だけど……」
僕は真っ直ぐにエディットを見つめた。
「この綺麗な景色を一緒に見れた相手がエディットで、本当に良かったよ」
「は、はい……私も……です……」
うつむき加減に返事をするエディットの顔は……夕日に照らされ、いつも以上に赤く見えた。
僕達は互いの指を絡めるように、しっかり手をつなぎ……運河に沈んでいく夕日を飽きること無く見つめた――。
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