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第190話 幸せな時間
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氷室先輩との交際は順調だった。
先輩の生徒会の仕事が無いときは2人で一緒に学校へ出て短い時間のデートを楽しんだ。
先輩はアルバイトの仕事もあったし、家の炊事当番の仕事もあって忙しい。そして私は両親に隠れて交際していたから互いにとって短いデートは都合が良かった。
短い間しか一緒にいられなかったので、その分昼休みは毎日2人で一緒に過ごした。
一緒に校舎の中庭でお弁当を食べたり、時には学食で食べたこともある。
そんな私たちは学校内ではすっかり有名なカップルになっていた。
だって、氷室先輩は生徒会長で…‥しかも女の子達からとても人気があったから。
そんな先輩と私みたいな地味な女子が一緒にいてもいいのだろうかと罪悪感を感じる程に。
そして季節は流れ……気付けば11月になっていた――。
****
お昼休み――。
ここ最近、肌寒くなっていたので私と先輩は学食でランチを食べるようになっていた。
今日の先輩もとても素敵だった。
ついつい食事の手を止めて見惚れていると不意に声を掛けられた。
「どうかした?架純ちゃん」
まさか先輩に見惚れていました……なんて言えずに咄嗟にごまかす私。
「い、いえ。もうそろそろ先輩の生徒会長の任期も終わりだなって思っていたんです」
「うん、そうだね。受験も近付いてきていると思うと緊張するよ」
「でも、先輩は頭がいいじゃないですか」
すると先輩は苦笑した。
「いやぁ…‥僕は勉強を必死に頑張っているだけだよ。むしろ頭がいいのは妹だよ。妹はまだ13歳だけどね、勉強なんて殆どしないのにいつも学年トップの成績をとっているんだよ。きっと将来は学者になれるかもね?自慢の妹だよ」
先輩は妹さんの話をするとき、いつもとても嬉しそうだった。本当に大切にしているのだと言う事が良く分かる。一人っ子の私にはちょっぴり羨ましいくらいに。
「先輩は今日もバイトですか?」
「うん、17時からね。……ごめん、架純ちゃん」
食事を終えた先輩が謝って来た。
「先輩……?」
「バイトと受験勉強が忙しくて……あまり一緒にいられる時間が少なくて」
「そんなことないですよ。だって先輩……土日は必ず一緒にいてくれるじゃないですか」
「それでも3時間くらいしかいられないけどね……」
土日も先輩はアルバイトをしている。その傍ら受験勉強も頑張っている。とても忙しいのに、それでも先輩は私と会う時間を作ってくれている。それがどれ程嬉しい事か気付いていないみたいだった。
「いいんです。3時間でも一緒に過ごせれば……それだけで私は幸せですから」
どのみち、私も両親に内緒で先輩と交際している。
両親は身体の弱い私が誰かと付き合うことを、とてもではないけれど許してくれそうになかったから。
秘密の交際には、このくらいの短い時間が丁度良かった。
本音を言えば、もっともっと先輩と少しでも長く一緒にいたいけれども。
「でも、今日は15時には学校が終わるからバイトが始まるまでは一緒に過ごせるよ。2人で何処かに行こうか?」
先輩が頬杖をついて私に尋ねて来た。
「本当ですか?それなら私、行ってみたいお店があるんですけど」
「いいよ、どこの店に行きたいのかな?」
「はい、手芸店です」
だって、来月はクリスマスだから。
先輩に……どうしても贈りたいクリスマスプレゼントがあるから――。
先輩の生徒会の仕事が無いときは2人で一緒に学校へ出て短い時間のデートを楽しんだ。
先輩はアルバイトの仕事もあったし、家の炊事当番の仕事もあって忙しい。そして私は両親に隠れて交際していたから互いにとって短いデートは都合が良かった。
短い間しか一緒にいられなかったので、その分昼休みは毎日2人で一緒に過ごした。
一緒に校舎の中庭でお弁当を食べたり、時には学食で食べたこともある。
そんな私たちは学校内ではすっかり有名なカップルになっていた。
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そして季節は流れ……気付けば11月になっていた――。
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お昼休み――。
ここ最近、肌寒くなっていたので私と先輩は学食でランチを食べるようになっていた。
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ついつい食事の手を止めて見惚れていると不意に声を掛けられた。
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まさか先輩に見惚れていました……なんて言えずに咄嗟にごまかす私。
「い、いえ。もうそろそろ先輩の生徒会長の任期も終わりだなって思っていたんです」
「うん、そうだね。受験も近付いてきていると思うと緊張するよ」
「でも、先輩は頭がいいじゃないですか」
すると先輩は苦笑した。
「いやぁ…‥僕は勉強を必死に頑張っているだけだよ。むしろ頭がいいのは妹だよ。妹はまだ13歳だけどね、勉強なんて殆どしないのにいつも学年トップの成績をとっているんだよ。きっと将来は学者になれるかもね?自慢の妹だよ」
先輩は妹さんの話をするとき、いつもとても嬉しそうだった。本当に大切にしているのだと言う事が良く分かる。一人っ子の私にはちょっぴり羨ましいくらいに。
「先輩は今日もバイトですか?」
「うん、17時からね。……ごめん、架純ちゃん」
食事を終えた先輩が謝って来た。
「先輩……?」
「バイトと受験勉強が忙しくて……あまり一緒にいられる時間が少なくて」
「そんなことないですよ。だって先輩……土日は必ず一緒にいてくれるじゃないですか」
「それでも3時間くらいしかいられないけどね……」
土日も先輩はアルバイトをしている。その傍ら受験勉強も頑張っている。とても忙しいのに、それでも先輩は私と会う時間を作ってくれている。それがどれ程嬉しい事か気付いていないみたいだった。
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どのみち、私も両親に内緒で先輩と交際している。
両親は身体の弱い私が誰かと付き合うことを、とてもではないけれど許してくれそうになかったから。
秘密の交際には、このくらいの短い時間が丁度良かった。
本音を言えば、もっともっと先輩と少しでも長く一緒にいたいけれども。
「でも、今日は15時には学校が終わるからバイトが始まるまでは一緒に過ごせるよ。2人で何処かに行こうか?」
先輩が頬杖をついて私に尋ねて来た。
「本当ですか?それなら私、行ってみたいお店があるんですけど」
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「はい、手芸店です」
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先輩に……どうしても贈りたいクリスマスプレゼントがあるから――。
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