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3 突然突きつけられた婚約破棄
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「こんばんは、クラウス殿下。お待たせして申し訳ございません」
ドレスの裾をつまむと、私は挨拶をした。
「2分の遅れだな。最低でも約束の時間5分前に到着するのが礼儀だと思わないのか?」
相変わらず私を冷たい目で見るクラウス。
「大変申し訳ございません。今までこのように遅い時間に離宮を訪ねたことが無いものでして、暗闇の森で少々迷ってしまいました」
「言い訳をするな!どのような理由があろうと、遅れたことに変わりないのだからな!余計な無駄口を叩くな!」
「……」
クラウスのあまりの言い方に絶句してしまった。別にこれは言い訳でも何でも無い。これでも慣れない暗闇の中、第二離宮へ向かうということでいつもよりも30分以上早くに屋敷を出たのだ。しかも家族の目を盗んで出るということは容易なことでは無かった。
それなのに……。
私のちょっとした不満が顔に出てしまったのだろうか?ますますクラウスの機嫌が悪くなってきた。
「何だ?そのように反抗的な目つきで俺を見るとは……言いたいことがあるなら申してみよ!」
先程余計な無駄口を叩くなと言っておいて、あまりにも矛盾なことを言うクラウス。
「いえ、何も申し上げることはございません。殿下」
これ以上彼の機嫌を損ねるのは流石にマズイ。私は深々と頭を下げた。
「ふん……本当に可愛げのない女だ。だから剣を嗜むような女は嫌なのだ」
すると今迄黙って立っていた女性が初めて口を開いた。
「まぁ。この方は女性でありながら剣を嗜むのですか?随分勇ましい女性なのですね」
「ああ、そうなのだ。しかも女のくせに騎士団長などを務めている。本当に凶暴な女で嫌になる。やはり女性というものはそなたのようにしとやかでなければな」
そして見せつけるかのように女性の頬にキスをするクラウス。けれど、そのような姿を見せられても私は何も感じない。何故ならクラウスに対して、私は一度も愛情を感じたことなど無いからだ。
「あら、おやめ下さい。仮にもあの女性はクラウス様の婚約者なのですよね。ほら、こちらを見ていますわ」
「何、わざと見せつけるようにしているのだ。気にすることはない、どうせあの女とは婚約破棄をするのだから」
「え?」
この言葉にはさすがの私も耳を疑った。
婚約破棄?何かの聞き間違いだろうか?
私達の結婚はこの国の剣の役割を担うベルンハルト公爵家と王族との絆を強めるための結婚なのに?
しかし、クラウスは私を指差すときっぱりと言い切った。
「ユリアナ・ベルンハルト!貴様のような男勝りの女はこの国の第二王子である私の婚約者には相応しくない!女だてらに剣など握りおって、男をたてようとすることすら出来ない無骨者だ!よって、今宵限り、貴様との婚約を破棄させて貰う!」
私は大広間に足を踏み入れた途端、クラウス王子にこの言葉を突きつけられることになってしまった――。
ドレスの裾をつまむと、私は挨拶をした。
「2分の遅れだな。最低でも約束の時間5分前に到着するのが礼儀だと思わないのか?」
相変わらず私を冷たい目で見るクラウス。
「大変申し訳ございません。今までこのように遅い時間に離宮を訪ねたことが無いものでして、暗闇の森で少々迷ってしまいました」
「言い訳をするな!どのような理由があろうと、遅れたことに変わりないのだからな!余計な無駄口を叩くな!」
「……」
クラウスのあまりの言い方に絶句してしまった。別にこれは言い訳でも何でも無い。これでも慣れない暗闇の中、第二離宮へ向かうということでいつもよりも30分以上早くに屋敷を出たのだ。しかも家族の目を盗んで出るということは容易なことでは無かった。
それなのに……。
私のちょっとした不満が顔に出てしまったのだろうか?ますますクラウスの機嫌が悪くなってきた。
「何だ?そのように反抗的な目つきで俺を見るとは……言いたいことがあるなら申してみよ!」
先程余計な無駄口を叩くなと言っておいて、あまりにも矛盾なことを言うクラウス。
「いえ、何も申し上げることはございません。殿下」
これ以上彼の機嫌を損ねるのは流石にマズイ。私は深々と頭を下げた。
「ふん……本当に可愛げのない女だ。だから剣を嗜むような女は嫌なのだ」
すると今迄黙って立っていた女性が初めて口を開いた。
「まぁ。この方は女性でありながら剣を嗜むのですか?随分勇ましい女性なのですね」
「ああ、そうなのだ。しかも女のくせに騎士団長などを務めている。本当に凶暴な女で嫌になる。やはり女性というものはそなたのようにしとやかでなければな」
そして見せつけるかのように女性の頬にキスをするクラウス。けれど、そのような姿を見せられても私は何も感じない。何故ならクラウスに対して、私は一度も愛情を感じたことなど無いからだ。
「あら、おやめ下さい。仮にもあの女性はクラウス様の婚約者なのですよね。ほら、こちらを見ていますわ」
「何、わざと見せつけるようにしているのだ。気にすることはない、どうせあの女とは婚約破棄をするのだから」
「え?」
この言葉にはさすがの私も耳を疑った。
婚約破棄?何かの聞き間違いだろうか?
私達の結婚はこの国の剣の役割を担うベルンハルト公爵家と王族との絆を強めるための結婚なのに?
しかし、クラウスは私を指差すときっぱりと言い切った。
「ユリアナ・ベルンハルト!貴様のような男勝りの女はこの国の第二王子である私の婚約者には相応しくない!女だてらに剣など握りおって、男をたてようとすることすら出来ない無骨者だ!よって、今宵限り、貴様との婚約を破棄させて貰う!」
私は大広間に足を踏み入れた途端、クラウス王子にこの言葉を突きつけられることになってしまった――。
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