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第56話 運命共同体?
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「あの…ブレンダ様。驚くかもしれませんが…実は私はデニムの妻なのです。本日は大事なお話があってブレンダ様を訪ねに来ました」
うげ~っ!デニムの妻と言っただけで、全身に鳥肌が立った。つまり私はそれほどまでにデニムに対して嫌悪感を持っているという事なのだ。
「えっ?妻…妻ですって?そ、そんな…デニム様は離婚が成立したと地方新聞に書かれておりましたよ?!その上でお見合いの公募が出されたのですから。そんな話、信じられません!そうだわ。証拠、それなら証拠を見せて下さい!」
ブレンダ嬢は顔を青ざめさせながら言う。よし、そう言われると思った。
「はい、では只今証拠をお出しします」
私は椅子の上に置いておいたアルミ製のアタッシュケースを開き、阿呆デニムを追い詰める為の書類一式を取り出した。その書類の中には一方的にクズデニムが送りつけてきた離婚届も入っている。そしてテーブルの前にまずは離婚届を置いた。
「これは…?」
ブレンダ嬢はテーブルに乗せた書類を見つめた。
「はい、こちらは妹の出産の里帰り中に一方的に送られてきた夫のデニムからの離婚届です。どうぞご覧下さい」
本当ならあのふざけた手紙も付けて見せてやりたいところだが、ブレンダ嬢には見せないでおこう。何しろ彼女は何処がいいのか、あのデニムに惚れているのだから。全く理解に苦しむ。
「は、はい…」
ブレンダ嬢は震える手で離婚届を手に取り…顔を青ざめさせ穴が空くのでは無いかと思うほどじっくり見始めた。
「…」
そして徐々に身体がブルブルと震えてきた。
「あ、あの!これは一体…!」
「ほ、本当にこれはデニム様が送って来た離婚届なのですか?」
「はい、間違いありません。自分の欄は全て記入済みになっておりますよね?」
「はい、そうですね。そ、それではお2人は…まだ離婚は成立されていなかったと言う事ですかっ?!」
「はい、そうです。」
「そ、そんな…」
ブレンダ嬢は項垂れた。
「ブレンダ様、デニムとお見合いしたいですか?」
私は静かにブレンダ嬢に尋ねた。
「は、はい。出来れば…奥様には悪いですが…」
「ご安心下さい、ブレンダ様。実は私はデニムとはお望み通り離婚するつもりです」
「え?!そうなのですか?!」
ブレンダ嬢は顔を上げて私を見た。
「はい、元々私達は政略結婚。愛のない結婚でしたから…。それに実はデニムは既に何度かお見合いを失敗しているのです」
「まあ…あのように素晴らしい方なのに、お見合いを失敗されてしまったのですか?」
「ええ、でもその失敗の原因は私なのです。私がお見合いを妨害してきたからデニムはお見合いが成功しなかったのです」
ここはブレンダ嬢のデニムに対する株を少しでも上げておく必要があるので、自分が妨害してきたことを素直に白状する。
「え…?何故妨害されてきたのですか?」
「それはまだ私との離婚が成立していなかったからです。もしお見合いが成立してしまえばマズイ事になりますよね?下手をすれば重婚になってしまいます」
「た、確かに言われてみればそうですね」
「ええ。あの当時は正直離婚するかどうかも迷いがありましたし…」
口ではこんな事を言っているが、条件が整えばいつだって私は離婚に応じてやるつもりだった。何しろあの男には愛情の『あ』の字も持ち合わせていないのだから。
「そうだったのですか?でも今は離婚に対して迷いはないという事でしょうか?」
「はい、そうです。ブレンダ様がデニムを慕っていることが良く分かりましたので」
そして私はブレンダ嬢の手を握りしめると言った。
「ブレンダ様、明日のお見合い…頑張って下さい!応援しますから!」
「あ、ありがとうございます!」
こうして私とブレンダ嬢はこの日、運命共同体になった―。
うげ~っ!デニムの妻と言っただけで、全身に鳥肌が立った。つまり私はそれほどまでにデニムに対して嫌悪感を持っているという事なのだ。
「えっ?妻…妻ですって?そ、そんな…デニム様は離婚が成立したと地方新聞に書かれておりましたよ?!その上でお見合いの公募が出されたのですから。そんな話、信じられません!そうだわ。証拠、それなら証拠を見せて下さい!」
ブレンダ嬢は顔を青ざめさせながら言う。よし、そう言われると思った。
「はい、では只今証拠をお出しします」
私は椅子の上に置いておいたアルミ製のアタッシュケースを開き、阿呆デニムを追い詰める為の書類一式を取り出した。その書類の中には一方的にクズデニムが送りつけてきた離婚届も入っている。そしてテーブルの前にまずは離婚届を置いた。
「これは…?」
ブレンダ嬢はテーブルに乗せた書類を見つめた。
「はい、こちらは妹の出産の里帰り中に一方的に送られてきた夫のデニムからの離婚届です。どうぞご覧下さい」
本当ならあのふざけた手紙も付けて見せてやりたいところだが、ブレンダ嬢には見せないでおこう。何しろ彼女は何処がいいのか、あのデニムに惚れているのだから。全く理解に苦しむ。
「は、はい…」
ブレンダ嬢は震える手で離婚届を手に取り…顔を青ざめさせ穴が空くのでは無いかと思うほどじっくり見始めた。
「…」
そして徐々に身体がブルブルと震えてきた。
「あ、あの!これは一体…!」
「ほ、本当にこれはデニム様が送って来た離婚届なのですか?」
「はい、間違いありません。自分の欄は全て記入済みになっておりますよね?」
「はい、そうですね。そ、それではお2人は…まだ離婚は成立されていなかったと言う事ですかっ?!」
「はい、そうです。」
「そ、そんな…」
ブレンダ嬢は項垂れた。
「ブレンダ様、デニムとお見合いしたいですか?」
私は静かにブレンダ嬢に尋ねた。
「は、はい。出来れば…奥様には悪いですが…」
「ご安心下さい、ブレンダ様。実は私はデニムとはお望み通り離婚するつもりです」
「え?!そうなのですか?!」
ブレンダ嬢は顔を上げて私を見た。
「はい、元々私達は政略結婚。愛のない結婚でしたから…。それに実はデニムは既に何度かお見合いを失敗しているのです」
「まあ…あのように素晴らしい方なのに、お見合いを失敗されてしまったのですか?」
「ええ、でもその失敗の原因は私なのです。私がお見合いを妨害してきたからデニムはお見合いが成功しなかったのです」
ここはブレンダ嬢のデニムに対する株を少しでも上げておく必要があるので、自分が妨害してきたことを素直に白状する。
「え…?何故妨害されてきたのですか?」
「それはまだ私との離婚が成立していなかったからです。もしお見合いが成立してしまえばマズイ事になりますよね?下手をすれば重婚になってしまいます」
「た、確かに言われてみればそうですね」
「ええ。あの当時は正直離婚するかどうかも迷いがありましたし…」
口ではこんな事を言っているが、条件が整えばいつだって私は離婚に応じてやるつもりだった。何しろあの男には愛情の『あ』の字も持ち合わせていないのだから。
「そうだったのですか?でも今は離婚に対して迷いはないという事でしょうか?」
「はい、そうです。ブレンダ様がデニムを慕っていることが良く分かりましたので」
そして私はブレンダ嬢の手を握りしめると言った。
「ブレンダ様、明日のお見合い…頑張って下さい!応援しますから!」
「あ、ありがとうございます!」
こうして私とブレンダ嬢はこの日、運命共同体になった―。
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