命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
47 / 107

3−10 いつもと違う姿

しおりを挟む
 11時―

部屋で身支度をしていると、ドアの向こうでノックの音が聞こえた。

コンコン

きっとユベールだ。立ち上がってドアに向かい、カチャリと開けるとやはりそこに立っていたのはユベールだった。けれど…。

「あ、あの…本当にユベール様ですよね?」

「何だ?当たり前だろう?何故そんな事を尋ねてくる?」

ユベールは首を傾げながら私を見る。

「だって…その格好…何か…」

思わずぞんざいな口の聞き方をしてしまい、慌てて口を押さえる!私ったら何て口を!私は伯爵家で相手は侯爵だと言うのに!

「も、申し訳ございませんでした!失礼な口の聞き方をしてしまって!」

慌てて頭を下げて謝罪する。

「まあ、いい。気にするな。それで俺の格好が何だ?」

「え、ええ。何というか…」

いつものユベールなら、濃紺の折り襟のダブルボタンのチュニックに腰にバックルを巻いている。濃紺のボトムスに真っ白なロングブーツ、そして黒いマントを羽織っている。けれど今、目の前に立つユベールは白いシャツに黒のダブルベストにボトムス、茶色の革靴という姿なのだ。

「い、いえ。服装がいつもと違うので…」

「城の外に出るのに、いつもと同じ王宮騎士の姿で出かけるわけにはいかないだろう?」

「言われてみればそうですね。でもいつもの騎士の姿も素敵ですが、その服装もお似合いです。格好いいですよ」

私は思った通りの感想を述べた。
ユベールは人目を引くほどの美青年だ。ただ無表情で常に仏頂面をしているので周囲から敬遠されがちだが、それさえなければさぞかし女性たちから人気が出るだろうう。

「…」

ユベールは何故か私の顔を凝視している。

「ユベール様?どうされましたか?」

「い、いや。何でも無い。ところで…お前はその格好で行くのか?」

「はい、そうですけど?」

何か変だろうか?今日の私の服装は薄水色の膝下丈のワンピースを着ている。

「それは普段着か?」

「いえ、一応外出着ですけど…」

ひょっとして地味過ぎたのだろうか?一応これでも持ってきた服の中では比較的おしゃれ着のつもりで持ってきたのだが、侯爵家のユベールから見れば冴えない服なのかもしれない。

「そうか、では行こう」

「はい、よろしくおねがいします」

こうして私とユベールは町へ向かうことになった。


「そう言えばここへ来る前に魔石探しをしている連中と鉢合わせした」

ユベールが話しかけてきた。

「まあ、そうなんですか?どうでしたか?皆さんの様子は?」

「ああ、全く魔石の場所が分からないのだろうな?闇雲に探しているようにしか見えなかった」

「そうなんですか…」

「その点、お前はすごいな」

ユベールがポツリと言った。

「え?」

「お前の魔力は本物だ。たいしたものだな」

信じられない。あのユベールが…誰かをほめるなんて…。思わずまじまじと彼を見つめてしまった。

「な、何だ?そんなにジロジロ見て…」

ユベールが視線をそらせた。

「す、すみません。不躾に見てしまって…」

そんな会話をしている内にいつの間にかもう私達は城の扉の前にきていた。扉を開けながらユベールが言った。

「シルビア、俺は馬車を持ってくるからお前はここで待っていろ」

「はい、分かりました」

そしてユベールは厩舎へと向かって歩いていく。そんな彼の後ろ姿を私は見守っていた―。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】うちの大公妃は肥満専攻です!

ariya
恋愛
ルドヴィカは一度目の人生を虚しく終える時に神に願った。  神様、私を憐れむならどうか次の生は大事な方を守れるだけの知識と力を与えてください。 そして彼女は二度目の人生を現代日本で過ごす。 内科医として充実な人生を送っていたが、不慮の事故によりあえなく命を落とす。 そして目覚めた時は一度目の生の起点となった婚約破棄の場であった。 ------------------------------------ ※突然イメージ画像が挿絵で出ることがあります。 ※ストーリー内に出しているのはなんちゃって医学です。軽く調べて、脚色を加えているので現実と異なります。調べたい方、気になる方は該当学会HPなどで調べることをおすすめします。 ※※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

婚約破棄される前に、帰らせていただきます!

パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。 普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る

黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」 パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。 (ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)

結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。 幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。 でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです! ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...