命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
69 / 107

4−8 甘くないアンリ王子

しおりを挟む
「シルビア、君はパートナーはユベールだけだったよね?」

アンリ王子は分かりきっている事を尋ねてくる。

「はい、そうです」

「何故ユベール以外他に仲間を作っておかなかったんだい?君は話によると魔石を見つけることは出来ても触れることが出来ないそうじゃないか。ひょっとして君は絶対にユベールは魔石探しの期間、自分から離れることは無いと考えていたんじゃないかい?」

「アンリッ!」

ユベールが声を荒げる。一体アンリ王子は何が言いたいのだろう?

「いいえ、そんな事はありません。ユベール様は本来アンリ王子の専属護衛騎士の方ですから…アンリ王子様から護衛騎士に戻るように言われれば去って行くことは分かりきっていました」

「ふ~ん…それじゃ、ひょっとすると君はユベールが外れた後は魔石探しをやめて、このテストに落ちるつもりだったんじゃないのかい?」

「え?」

アンリ王子の言葉にドキリとした。

「そ、それは…」

「シルビア、そうなのか?」

ユベールが驚いた顔で私を見た。

「…すぐに答えない、と言う事は落ちるつもりだったんだね?」

アンリ王子の声は…酷く冷たく聞こえた。
確かにその考えもある。一応町で私を守ってくれそうな傭兵を探すつもりではいたけれども、仮に見つからなかった場合…私は魔石を1人では集める事が出来ないと言って脱落する方法もある。だけど…本当はそれはしたくなかった。何故なら理由はユベールだ。私はいつの間にか彼を好きになっていたから。許されるなら…出来るだけ長く城にとどまりたいとすら思っていた。

「そんな!本当なの?!シルビアさん!」

突然ジュリエッタが私の前に歩み寄ると、肩を掴んできた。

「酷いじゃない!最後まで手を抜かない約束だったでしょう?アンリ王子の婚約者が貴女になって貰わないと困るのよ!だって貴女だけなのよ!アンリ王子の結婚相手に興味が無いのは…!貴女が選ばれてくれないと私は彼の傍にいられないのよ?!」

そして私の肩を激しく揺さぶる。

「やめろ!ジュリエッタッ!」

ユベールが止めに入ってきた。

「ユベール!貴方からも言ってよ!勝手に魔石探しをやめるなって!貴方は私の言う事なら何でも聞いてくれのるでしょう?!」

涙ぐむジュリエッタにユベールの顔が辛そうに歪み、チラリと私を見る。

「シルビア…」

ユベールが口を開きかけた時、アンリ王子が私に言った。

「シルビア、僕たちのジュリエッタを泣かせないでくれないかな?君は僕たちがどれだけジュリエッタを大切に思っているか知ってるんだろう?君なら絶対に僕に興味を持たないと信頼しているからこそ、優遇してあげているんだよ?本来ならユベールをパートナーに指名しても却下するところだけど…シルビアだからこそ、短い間だったけれども彼を貸してあげたんだからね」

僕達…その言葉に驚くほど胸がズキリとなった。…その中には当然ユベールが含まれるのだ。ここではジュリエッタこそが2人にとっての本当の姫なのだから。

「は、はい…申し訳ございませんでした」

わたしはすぐに謝罪した。けれども…今の言い方ではアンリ王子たちが旅行から戻ったとしてもユベールを再度仲間にする事はもう許されないのかもしれない。

ズキンズキン

この訳の分からない胸の痛みは何だろう?アンリ皇子に脱落する事を許して貰えないから?ユベールにとって大切な女性はジュリエッタだから?もう…ユベールを魔石探しの仲間にする事が出来ないから…?いや、多分それらすべての事が胸を痛める理由なんだ‥‥。

「おい、アンリ。さっきから黙っていれば・・・・!」

するとそれまで黙っていたユベールが口を挟んできた。

「ユベール。君は僕に歯向かえない立場に置かれている事を忘れていないかい?」

「!」

ユベールの顔が一瞬青ざめ、私を見た。そして目が合うと視線をそらしてしまった。

「シルビア」

アンリ王子は私に近付くと言った。

「今日1日猶予を与えたんだから‥‥ユベールの代わりになる仲間を見つけるんだよ?分ったね」

「は、はい…分りました」

すると私の返事に満足したのかアンリ王子がニッコリ笑みを浮かべると言った。

「うん。そうそう。素直な女性は好きだよ」

そしてすぐに私に背を向けるとジュリエッタとユベールに声をかける。

「さあ、夕方にはここを出発するから準備をしに行こう」

「ええ」

「ああ…」

ジュリエッタとユベールが返事をする。そして3人は私を振り返ることも無く…部屋を出て行った。

私1人を残して―。



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】うちの大公妃は肥満専攻です!

ariya
恋愛
ルドヴィカは一度目の人生を虚しく終える時に神に願った。  神様、私を憐れむならどうか次の生は大事な方を守れるだけの知識と力を与えてください。 そして彼女は二度目の人生を現代日本で過ごす。 内科医として充実な人生を送っていたが、不慮の事故によりあえなく命を落とす。 そして目覚めた時は一度目の生の起点となった婚約破棄の場であった。 ------------------------------------ ※突然イメージ画像が挿絵で出ることがあります。 ※ストーリー内に出しているのはなんちゃって医学です。軽く調べて、脚色を加えているので現実と異なります。調べたい方、気になる方は該当学会HPなどで調べることをおすすめします。 ※※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

婚約破棄される前に、帰らせていただきます!

パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。 普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る

黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」 パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。 (ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)

結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。 幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。 でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです! ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...