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4-10 心を偽って
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「シルビア…」
俯いて震えを押さえていると、ユベールが私の名を呼んだ。その声は…今まで聞いたことが無い位、穏やかな声だった。
「は、はい…」
袋をギュッと握りしめ、私は顔を上げた。
「どうした?シルビア。酷く震えているじゃないか」
「あ、こ・これは…緊張…しているからです」
ユベールに余計な気を使わせたくは無かった。明日からユベールがいなくて不安だとはとてもではないが言えない。
「緊張…?」
ユベールが美しい眉をひそめる。
「はい。この魔石を入れる袋を持っていると…き、緊張して来るんです。何というか‥気を引き締めなくちゃって…言うか…」
「そうか…そんな様子で本当に明日から大丈夫か?」
ユベール…ひょっとして私の事心配してくれている…?
「は、はい。大丈夫です。ご安心下さい。アンリ王子が戻ってきた時には『すごいじゃないか!こんなに魔石を集めたんだね?!』と言って貰える程に張り切って集めておきますから」
そんな自信全く無かった。ただ私はユベールを安心させたかっただけだった。だって…彼の事が好きだから。心置きなくアンリ王子の護衛任務に就いて欲しかったのだ。
「それは…何とも心強い事を言ってくれるな?」
ユベールは口元をほころばせた。
「!」
まさか…ユベールがこんな表情を私に向けてくれるとは思わなかった。でもいい、それだけで私は十分だ。
「シルビア、それじゃ俺はそろそろ行くが…俺が戻ってくるまで勝手にいなくなったりするなよ?」
きっと魔石探しを断念して逃げるなと言いたいのだろう。
「はい、約束します」
「じゃあな」
ユベールは言うと私に背を向けて去って行く。
「ユベール様…本当に今までありがとうございました‥」
私は彼の背中に向けて小声でお礼を言った。その時、視界が滲むのを感じた。
「あ…」
気付けば目に涙が滲んでいた。黙って涙を拭うと私も町へ向かう為に廊下を歩きだした―。
****
エントランスへ向かって歩いている途中、王宮の騎士たちのいる訓練場の広場が見える渡り廊下に出た。
「…」
いつもならユベールと一緒だったから通り過ぎているところだが、私はふと足を止めて何気なくその光景をぼんやり眺めていた。彼らは剣術の訓練をしていた。互いに木刀で1対1になって剣術の訓練で打ち合っていたが、誰もユベールよりは強そうに見えなかった。
しかし、1人だけ強い人物がいた。その人物は4人を相手に戦っていたが、それは見事な戦いぶりだった。軽々と攻撃を避け、1人、また1人と着実に相手の木刀を叩き落としている。素人の私でも分る。彼は…とても強いと。恐らくユベールと互角に近いだろう。
「…」
本当なら次の仲間もこの城の騎士に頼めば良いのかも知れないけれど、どうも私は騎士たちにあまり好かれてはいないようだった。ユベールと一緒に歩いていると騎士たちが彼に挨拶をしてくる。そこで私も挨拶をすると、何故か視線をそらされたり、ビクリとされることがあった。そんな彼らに正面から仲間になって欲しいと頼んでも恐らく引き受けてはくれないだろう。
「…町にいる傭兵たちの中に…彼位強人がいてくれればいいのだけど…」
ポツリと呟き、背を向けて歩き始めた時に背後から名前を呼ばれた。
「シルビアッ!」
「え?」
騎士に知り合いなどいないはずなのに…?一体誰だろう?振り向くと、私の方に駆け寄って来る人物がいた。
「あ!キリアン様」
立ち止まって待っているとキリアンが掛けつけ、私の前に来るとピタリと止まった。
「シルビア、今俺の剣術の訓練を見ていただろう?」
キリアンは笑顔で語り掛けてきた―。
俯いて震えを押さえていると、ユベールが私の名を呼んだ。その声は…今まで聞いたことが無い位、穏やかな声だった。
「は、はい…」
袋をギュッと握りしめ、私は顔を上げた。
「どうした?シルビア。酷く震えているじゃないか」
「あ、こ・これは…緊張…しているからです」
ユベールに余計な気を使わせたくは無かった。明日からユベールがいなくて不安だとはとてもではないが言えない。
「緊張…?」
ユベールが美しい眉をひそめる。
「はい。この魔石を入れる袋を持っていると…き、緊張して来るんです。何というか‥気を引き締めなくちゃって…言うか…」
「そうか…そんな様子で本当に明日から大丈夫か?」
ユベール…ひょっとして私の事心配してくれている…?
「は、はい。大丈夫です。ご安心下さい。アンリ王子が戻ってきた時には『すごいじゃないか!こんなに魔石を集めたんだね?!』と言って貰える程に張り切って集めておきますから」
そんな自信全く無かった。ただ私はユベールを安心させたかっただけだった。だって…彼の事が好きだから。心置きなくアンリ王子の護衛任務に就いて欲しかったのだ。
「それは…何とも心強い事を言ってくれるな?」
ユベールは口元をほころばせた。
「!」
まさか…ユベールがこんな表情を私に向けてくれるとは思わなかった。でもいい、それだけで私は十分だ。
「シルビア、それじゃ俺はそろそろ行くが…俺が戻ってくるまで勝手にいなくなったりするなよ?」
きっと魔石探しを断念して逃げるなと言いたいのだろう。
「はい、約束します」
「じゃあな」
ユベールは言うと私に背を向けて去って行く。
「ユベール様…本当に今までありがとうございました‥」
私は彼の背中に向けて小声でお礼を言った。その時、視界が滲むのを感じた。
「あ…」
気付けば目に涙が滲んでいた。黙って涙を拭うと私も町へ向かう為に廊下を歩きだした―。
****
エントランスへ向かって歩いている途中、王宮の騎士たちのいる訓練場の広場が見える渡り廊下に出た。
「…」
いつもならユベールと一緒だったから通り過ぎているところだが、私はふと足を止めて何気なくその光景をぼんやり眺めていた。彼らは剣術の訓練をしていた。互いに木刀で1対1になって剣術の訓練で打ち合っていたが、誰もユベールよりは強そうに見えなかった。
しかし、1人だけ強い人物がいた。その人物は4人を相手に戦っていたが、それは見事な戦いぶりだった。軽々と攻撃を避け、1人、また1人と着実に相手の木刀を叩き落としている。素人の私でも分る。彼は…とても強いと。恐らくユベールと互角に近いだろう。
「…」
本当なら次の仲間もこの城の騎士に頼めば良いのかも知れないけれど、どうも私は騎士たちにあまり好かれてはいないようだった。ユベールと一緒に歩いていると騎士たちが彼に挨拶をしてくる。そこで私も挨拶をすると、何故か視線をそらされたり、ビクリとされることがあった。そんな彼らに正面から仲間になって欲しいと頼んでも恐らく引き受けてはくれないだろう。
「…町にいる傭兵たちの中に…彼位強人がいてくれればいいのだけど…」
ポツリと呟き、背を向けて歩き始めた時に背後から名前を呼ばれた。
「シルビアッ!」
「え?」
騎士に知り合いなどいないはずなのに…?一体誰だろう?振り向くと、私の方に駆け寄って来る人物がいた。
「あ!キリアン様」
立ち止まって待っているとキリアンが掛けつけ、私の前に来るとピタリと止まった。
「シルビア、今俺の剣術の訓練を見ていただろう?」
キリアンは笑顔で語り掛けてきた―。
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