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5−12 切ない恋心
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温かい…。
もっと温まりたくてその温もりに身体を押し付け…うす暗い部屋の中で不意に私は目が覚めた。そして自分の置かれている状況に気付き、ギョッとした。何故かと言うと、私はベッドの上で逞しい男性の胸に顔を押し付ける形でぴったり寄り添うように眠っていたからだ。そして男性の腕は私をしっかりと抱きしめている。
男性も眠っているのだろう。私の頭の上で気持ちよさげに寝息を立てているのが分る。
え?え?
あまりの事に頭はパニックを起こしていた。視線だけをグルリと動かせば、薄暗い中で、ここが自分の部屋であると言う事が分った。
ちょっと待って…。
私と同じベッドで眠っている男性は…この腕は一体誰の腕なのだろう?どうしてこんな事になっているのだろう?
ドク
ドク
ドク…
緊張で心臓の音が大きくなる。一体この人物は誰なのだろう…?顔を上に挙げて確認し…私は思わず悲鳴を上げそうになった。何と私のベッドで一緒に眠っていたのは他でもない、ユベールだったのだ。
嘘…?どうしてユベールがここにいるのだろうか?いや、それ以前にどうしてこのような事になっているのだろう…?
兎に角、この状況はいろいろまずい気がする。仮に誰かが部屋に入ってきてこんな姿を見られでもしたら勘違いされてしまう。
は、離れなくては…。
グイッ
「…」
グイッ
「…」
駄目だ、ユベールの力が強すぎて離れる事も出来ない。も、もう一度…
「駄目だ…もっと寝ていろ…」
突然頭の上でユベールの気怠げな声が聞こえてきて抱き寄せる力が強まった。
ドキッ!
妙に色気のあるその声に顔が真っ赤になるのが自分で分かった。心臓が口から飛び出るのではないかと思うくらい鼓動が早まる。ま、まさか目が覚めて…?恐る恐る上を見上げれば相変わらずユベールは気持ちよさげに眠っている。
それにしても…こうしてユベールを間近でじっくり見るのは初めてだけど、改めて思う。なんて美しい顔なのだろうと。まつげも長く、鼻筋も高く通っている。本当に男性にしておくには惜しい位の美男子だ。
胸に押し付けられたユベールの心臓の規則正しく波打つ音が聞こえてくる。
ユベールの身体からはオリエンタル系の香りがしている。
ドキ
ドキ
ドキ
ドキ…
さっきから心臓の音が早鐘をうち、とてもではないが寝ていられる状況ではない。
こんなに長い間異性に抱擁された経験がない私には刺激が強すぎる。ましてや相手はユベールなのだから尚更だ。ユベールの傍は安心する。やっぱり私はユベールが好きなんだ。ユベールの香りを吸い込みたくて、彼の胸に顔を擦り付けた時…。
「ジュリエッタ…」
ユベールがその名を口にした。
「!」
途端に我に返った。
あ…。
わ、私は一体何を…。今の一言で全身に冷水を浴びせられたかのように血の気が引いていく。
そうだった。すっかり忘れてしまっていたけれども…ユベールの好きな女性はジュリエッタなのだ。ユベールはジュリエッタがアンリ王子の恋人であってもユベールの気持ちは揺らぐことはない。そして私も…ユベールが好きだけれども、決してこの恋が叶うことは無い。
「ユベール様…」
気付けば私は泣いていた。過去12回の死を繰り返してきた時にもどうしようもない孤独と恐怖に苛まされて来たけれども、決して泣くことは無かったのに、今は叶わぬ恋に涙している自分がいた。
でも…泣いたら駄目だ。今ユベールが目を覚ませば何故泣いているのか追求されてしまうから。
私は必死で涙をこらえ、目をゴシゴシとこするとそっと、ユベールに自分の身体を預けた。
ごめんなさい、ユベール。貴方が誰を愛しているか知っているけれども…。
どうか今だけは…このままでいさせて下さい。
そして私は再び目を閉じた―。
もっと温まりたくてその温もりに身体を押し付け…うす暗い部屋の中で不意に私は目が覚めた。そして自分の置かれている状況に気付き、ギョッとした。何故かと言うと、私はベッドの上で逞しい男性の胸に顔を押し付ける形でぴったり寄り添うように眠っていたからだ。そして男性の腕は私をしっかりと抱きしめている。
男性も眠っているのだろう。私の頭の上で気持ちよさげに寝息を立てているのが分る。
え?え?
あまりの事に頭はパニックを起こしていた。視線だけをグルリと動かせば、薄暗い中で、ここが自分の部屋であると言う事が分った。
ちょっと待って…。
私と同じベッドで眠っている男性は…この腕は一体誰の腕なのだろう?どうしてこんな事になっているのだろう?
ドク
ドク
ドク…
緊張で心臓の音が大きくなる。一体この人物は誰なのだろう…?顔を上に挙げて確認し…私は思わず悲鳴を上げそうになった。何と私のベッドで一緒に眠っていたのは他でもない、ユベールだったのだ。
嘘…?どうしてユベールがここにいるのだろうか?いや、それ以前にどうしてこのような事になっているのだろう…?
兎に角、この状況はいろいろまずい気がする。仮に誰かが部屋に入ってきてこんな姿を見られでもしたら勘違いされてしまう。
は、離れなくては…。
グイッ
「…」
グイッ
「…」
駄目だ、ユベールの力が強すぎて離れる事も出来ない。も、もう一度…
「駄目だ…もっと寝ていろ…」
突然頭の上でユベールの気怠げな声が聞こえてきて抱き寄せる力が強まった。
ドキッ!
妙に色気のあるその声に顔が真っ赤になるのが自分で分かった。心臓が口から飛び出るのではないかと思うくらい鼓動が早まる。ま、まさか目が覚めて…?恐る恐る上を見上げれば相変わらずユベールは気持ちよさげに眠っている。
それにしても…こうしてユベールを間近でじっくり見るのは初めてだけど、改めて思う。なんて美しい顔なのだろうと。まつげも長く、鼻筋も高く通っている。本当に男性にしておくには惜しい位の美男子だ。
胸に押し付けられたユベールの心臓の規則正しく波打つ音が聞こえてくる。
ユベールの身体からはオリエンタル系の香りがしている。
ドキ
ドキ
ドキ
ドキ…
さっきから心臓の音が早鐘をうち、とてもではないが寝ていられる状況ではない。
こんなに長い間異性に抱擁された経験がない私には刺激が強すぎる。ましてや相手はユベールなのだから尚更だ。ユベールの傍は安心する。やっぱり私はユベールが好きなんだ。ユベールの香りを吸い込みたくて、彼の胸に顔を擦り付けた時…。
「ジュリエッタ…」
ユベールがその名を口にした。
「!」
途端に我に返った。
あ…。
わ、私は一体何を…。今の一言で全身に冷水を浴びせられたかのように血の気が引いていく。
そうだった。すっかり忘れてしまっていたけれども…ユベールの好きな女性はジュリエッタなのだ。ユベールはジュリエッタがアンリ王子の恋人であってもユベールの気持ちは揺らぐことはない。そして私も…ユベールが好きだけれども、決してこの恋が叶うことは無い。
「ユベール様…」
気付けば私は泣いていた。過去12回の死を繰り返してきた時にもどうしようもない孤独と恐怖に苛まされて来たけれども、決して泣くことは無かったのに、今は叶わぬ恋に涙している自分がいた。
でも…泣いたら駄目だ。今ユベールが目を覚ませば何故泣いているのか追求されてしまうから。
私は必死で涙をこらえ、目をゴシゴシとこするとそっと、ユベールに自分の身体を預けた。
ごめんなさい、ユベール。貴方が誰を愛しているか知っているけれども…。
どうか今だけは…このままでいさせて下さい。
そして私は再び目を閉じた―。
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