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2章5 リオンの申し出
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リオンを困らせている……?
SSクラスの女子生徒に言われた言葉が気になり、この日の授業は全く身が入らなかった。
そのせいで今日は何度か授業中に先生から注意を受けてしまったのだった。
本日すべての授業が終わり、帰り支度をしているとエイダがやってきた。
「今日はどうしたの? 授業中に先生から注意をうけていたじゃない。いつも真面目に授業を受けているユニスなのに。もしかして朝の出来事のせい?」
「うん、それも少しあるけど……」
「ごめんなさい、ユニス」
すると、エイダが謝ってきた。
「どうしたの?」
「今朝、あんな目にあっていたのに……私、助けてあげられなかったわ」
「そのことなら気にしないでって言ったじゃない」
私は笑って、エイダを見つめた。
「だって、私……ユニスの親友なのに……」
余程申し訳ないと思ったのか、俯いている。
エイダは今日何度も、今朝の出来事の件で謝ってきた。挙げ句にお詫びがしたいから飲み物を奢らせて欲しいと言ってきたのだ。
勿論、親友から奢って貰うなんて出来ないと断ったけれども、まだエイダは気にしていたようだ。
「誰だって、あんな状況じゃ無理よ。だって、相手はSSクラスの生徒なんだから。ああいう場合はね、傍観しているのが一番なの。むしろ、止めに入らなくて良かったわよ。そんなことしたらエイダまで巻き込んでしまっていたわ」
するとエイダはため息をついた。
「ユニスは本当に大人よね……偉いわ。私よりもずっと大人びて見える。……ねぇ、今日は久しぶりに一緒に帰らない?」
「う~ん……そうしたいけど、実はリオンと会う約束があるの」
「あら、それじゃ一緒に帰るのね?」
「そういうことでは無いわ。中庭で話をすることになっているの」
「中庭で……? 放課後に中庭に行くなんて珍しいわね。大体の人はカフェに行くのに」
放課後中庭に行く生徒は殆いない。もしかしてあまり人に聞かれたくない話でもあるのだろうか?
「ごめんね、リオンを待たせるわけにはいかないから、もう行くわね」
カバンを持つと、席を立った。
「そうね。それじゃまた明日会いましょう」
「うん、また明日ね」
エイダに手を振ると、私は足早に中庭へ向かった――
****
中庭へ着くと、誰もいなかった。
「リオン……まだ来ていないのかしら」
そこで、ベンチに座って花壇の花を見つめながらリオンが来るのを待っていた。
ぼんやり花を見つめていると、不意に背後から声をかけられた。
「ユニス、お待たせ」
「リオン、話って……え?」
振り向き、思わず息を飲んだ。リオンの隣に女子生徒が立っていたからだ。少女には見覚えがあった。
リオンと腕を組んで一緒に帰宅していた少女。何度か私を威嚇してきたことがある人物だったのだ。
女子生徒は私と目が合うとリオンの手を握りしめ、彼の背後にサッと隠れた。
「どうかしたの? ロザリン」
リオンが背後に隠れた女子生徒に声をかけた。
「今、ユニスさんが私を睨んだわ」
「「え?」」
私とリオンの声が同時に重なる。
そんな……! 私は睨んでいないのに?
「ロザリン」
リオンはロザリンをじっと見つめる。
まさかリオンは彼女の言葉を信じるのだろうか?
リオンの両親との交流は続いていたけれども、ここ最近リオン本人とはあまり話をする機会も無かった。
何故ならハイランド家に招かれて訪ねてみても、リオンは不在がちだったからだ。
叔母様の話では、クラスメイトたちと遊びに行っていると聞かされていたけれども……。
きっと、その中に彼女も含まれていたに違いない。
そうなると、どちらの話を信じるかは明白だ。
覚悟を決めて制服のスカートをギュッと握りしめたとき、リオンがニコリと笑った。
「それはロザリンの気のせいだよ。僕はユニスのことは良く知っている。彼女はそんんなことをするような人じゃないよ」
「リオン……」
リオンが私を信じてくれた! すると、ロザリンと呼ばれた少女が気まずそうな表情を浮かべた。
「そ、そうよね。多分私の気のせいよね。 ごめんなさい、ユニスさん」
ロザリンは私に謝ってきたけれども、敵意の込められた目を私に向けてくる。
「大丈夫。ユニスは大人だから、そんなこと気にしないよ。ね、ユニス」
「ええ、気にしないわ」
同意を求めてくるリオン。気にしないと言えば嘘になるけれども、口にするわけにはいかなかった。
「それで、リオン。話って何?」
「うん、ユニス……。悪いけど、僕たちの婚約を解消しない?」
リオンは私の予想通りの言葉を口にした――
SSクラスの女子生徒に言われた言葉が気になり、この日の授業は全く身が入らなかった。
そのせいで今日は何度か授業中に先生から注意を受けてしまったのだった。
本日すべての授業が終わり、帰り支度をしているとエイダがやってきた。
「今日はどうしたの? 授業中に先生から注意をうけていたじゃない。いつも真面目に授業を受けているユニスなのに。もしかして朝の出来事のせい?」
「うん、それも少しあるけど……」
「ごめんなさい、ユニス」
すると、エイダが謝ってきた。
「どうしたの?」
「今朝、あんな目にあっていたのに……私、助けてあげられなかったわ」
「そのことなら気にしないでって言ったじゃない」
私は笑って、エイダを見つめた。
「だって、私……ユニスの親友なのに……」
余程申し訳ないと思ったのか、俯いている。
エイダは今日何度も、今朝の出来事の件で謝ってきた。挙げ句にお詫びがしたいから飲み物を奢らせて欲しいと言ってきたのだ。
勿論、親友から奢って貰うなんて出来ないと断ったけれども、まだエイダは気にしていたようだ。
「誰だって、あんな状況じゃ無理よ。だって、相手はSSクラスの生徒なんだから。ああいう場合はね、傍観しているのが一番なの。むしろ、止めに入らなくて良かったわよ。そんなことしたらエイダまで巻き込んでしまっていたわ」
するとエイダはため息をついた。
「ユニスは本当に大人よね……偉いわ。私よりもずっと大人びて見える。……ねぇ、今日は久しぶりに一緒に帰らない?」
「う~ん……そうしたいけど、実はリオンと会う約束があるの」
「あら、それじゃ一緒に帰るのね?」
「そういうことでは無いわ。中庭で話をすることになっているの」
「中庭で……? 放課後に中庭に行くなんて珍しいわね。大体の人はカフェに行くのに」
放課後中庭に行く生徒は殆いない。もしかしてあまり人に聞かれたくない話でもあるのだろうか?
「ごめんね、リオンを待たせるわけにはいかないから、もう行くわね」
カバンを持つと、席を立った。
「そうね。それじゃまた明日会いましょう」
「うん、また明日ね」
エイダに手を振ると、私は足早に中庭へ向かった――
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中庭へ着くと、誰もいなかった。
「リオン……まだ来ていないのかしら」
そこで、ベンチに座って花壇の花を見つめながらリオンが来るのを待っていた。
ぼんやり花を見つめていると、不意に背後から声をかけられた。
「ユニス、お待たせ」
「リオン、話って……え?」
振り向き、思わず息を飲んだ。リオンの隣に女子生徒が立っていたからだ。少女には見覚えがあった。
リオンと腕を組んで一緒に帰宅していた少女。何度か私を威嚇してきたことがある人物だったのだ。
女子生徒は私と目が合うとリオンの手を握りしめ、彼の背後にサッと隠れた。
「どうかしたの? ロザリン」
リオンが背後に隠れた女子生徒に声をかけた。
「今、ユニスさんが私を睨んだわ」
「「え?」」
私とリオンの声が同時に重なる。
そんな……! 私は睨んでいないのに?
「ロザリン」
リオンはロザリンをじっと見つめる。
まさかリオンは彼女の言葉を信じるのだろうか?
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きっと、その中に彼女も含まれていたに違いない。
そうなると、どちらの話を信じるかは明白だ。
覚悟を決めて制服のスカートをギュッと握りしめたとき、リオンがニコリと笑った。
「それはロザリンの気のせいだよ。僕はユニスのことは良く知っている。彼女はそんんなことをするような人じゃないよ」
「リオン……」
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「そ、そうよね。多分私の気のせいよね。 ごめんなさい、ユニスさん」
ロザリンは私に謝ってきたけれども、敵意の込められた目を私に向けてくる。
「大丈夫。ユニスは大人だから、そんなこと気にしないよ。ね、ユニス」
「ええ、気にしないわ」
同意を求めてくるリオン。気にしないと言えば嘘になるけれども、口にするわけにはいかなかった。
「それで、リオン。話って何?」
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リオンは私の予想通りの言葉を口にした――
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