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3章1 目覚め
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私は前世の頃の夢を見ていた。
『はぁ……また、リオンはヒロインに逃げられてしまったのね……どうして、こんなに嫌がられるんだろう? 何か深い事情があるのかな? ヒロインの……には……』
私はヒロインの名前を呟き……。
「ん……」
突然、モヤが晴れていくように目が覚めた。見渡してみると私の周囲は、何かキラキラ光る物で覆われている。
「え?」
一瞬、自分の置かれている状況が分からず身体を起こそうとし……。
「あっ!」
全く身体に力が入らず、ベッドに再び倒れ込んでしまった。
「な、何……?」
まるで全身が鉛のように重たくて、身体が自由に動かない。ひょっとすると、突然力が覚醒して禁断魔法を使ってしまったせいだろうか?
「何がどうなっているの……それに、一体ここは…?」
良く見れば、私が眠っていたベッドは薄い膜のような物に覆われていた。何か特殊な魔法でもかけられているのだろうか?
膜はキラキラと光っている。
ここがどこか起き上がって探ってみたいけれど、今の私は一歩も動けそうに無かった。
「困ったわ……せめて、誰か来てくれればいいのに……」
バタバタバタッ!
ポツリと呟いたき、足音が響き渡って顔を上げた。するとメガネをかけた白衣姿の見知らぬ青年が駆け寄って来る姿が目に飛び込んできた。
「目が覚めたんだねっ!? 今、そこから出してあげよう」
青年は手を伸ばすと、膜に触れて何やら口の中で呟いている。次の瞬間、ベッドを包みこんでいた薄い膜が、煙のように消えていった。
「それにしてもよく目が覚めたね? 半ば諦めていただけに、本当に良かったよ。今、君の両親に連絡を入れたところだよ。きっとすぐにここへ来ることだろう」
そして、私に笑いかけてきた。ただ目が覚めただけなのに、随分大げさな態度をとっているこの人は誰だろう?
「あの……一体、ここはどこですか?」
「ここは病院で、私は医者だよ」
「病院……」
言われてみれば、確かに目の前の青年は白衣を着ている。
そのとき、重要な事を思い出した。
「先生! リオンは無事なのですか!? それに他の生徒たちは? リオンの両親はどうなりましたか!」
「リオン……?」
先生は首を傾げる。
「リオンは火事の中から私が助け出した男の子です! 誕生日パーティーで火災が起きたんです! 先生はその時の状況を聞いていないのですか?」
もどかしくて、つい大きな声を出してしまった。
「あぁ、あの火事の話だね? ごめんごめん、大丈夫。思い出したよ」
「思い出したって……」
ついさっきの出来事なのに? 一体この先生は何を言っているのだろう?
「ハイランド家の人々は全員無事だよ。リオンも、彼の両親たちもね」
「無事……だった……? 誰も怪我をしていないってことですか? 火傷も?」
「そうだね、ハイランド家の人々は怪我をしなかったよ。でも、確か1人顔に火傷を負った人がいたな……誰だったかな……ごめん。名前までは覚えていなくて」
申し訳無さそうに先生が謝ってきた。
「顔に火傷……?」
一体誰のことだろう?
その時。
「「ユニスッ!!」」
両親が部屋の中に現れ、駆け寄ってきた。
「お父様、お母様……」
何とか身体を起こそうとしても、未だに力が入らない。一体、この身体はどうなってしまったのだろう?
「いいんだよ、無理に起き上がろうとしなくても」
「だけど、本当に目が覚めて良かったわ……」
両親が涙ぐんでいる。私はそんなに危険な状態だったのだろうか?
それにしても……。
私は両親の顔をじっと見つめた。
「何だい? どうかしたのか? ユニス」
父が私に声をかけてきた。
「い、いえ……私、随分心配かけてしまったのですね。何だかお父様もお母様も少し顔つきが変わったようなので」
正確に言えば、少し老けてしまったようだ。けれど、気が引けて言えなかった。
すると、両親は互いに顔を見合わせ……父から衝撃の言葉が飛び出してきた。
「まぁ、それも無理はないな。何しろユニスは6年ぶりに目が覚めたのだから」
「え……? 6年……ぶり……?」
それは、耳を疑うような衝撃の言葉だった――
『はぁ……また、リオンはヒロインに逃げられてしまったのね……どうして、こんなに嫌がられるんだろう? 何か深い事情があるのかな? ヒロインの……には……』
私はヒロインの名前を呟き……。
「ん……」
突然、モヤが晴れていくように目が覚めた。見渡してみると私の周囲は、何かキラキラ光る物で覆われている。
「え?」
一瞬、自分の置かれている状況が分からず身体を起こそうとし……。
「あっ!」
全く身体に力が入らず、ベッドに再び倒れ込んでしまった。
「な、何……?」
まるで全身が鉛のように重たくて、身体が自由に動かない。ひょっとすると、突然力が覚醒して禁断魔法を使ってしまったせいだろうか?
「何がどうなっているの……それに、一体ここは…?」
良く見れば、私が眠っていたベッドは薄い膜のような物に覆われていた。何か特殊な魔法でもかけられているのだろうか?
膜はキラキラと光っている。
ここがどこか起き上がって探ってみたいけれど、今の私は一歩も動けそうに無かった。
「困ったわ……せめて、誰か来てくれればいいのに……」
バタバタバタッ!
ポツリと呟いたき、足音が響き渡って顔を上げた。するとメガネをかけた白衣姿の見知らぬ青年が駆け寄って来る姿が目に飛び込んできた。
「目が覚めたんだねっ!? 今、そこから出してあげよう」
青年は手を伸ばすと、膜に触れて何やら口の中で呟いている。次の瞬間、ベッドを包みこんでいた薄い膜が、煙のように消えていった。
「それにしてもよく目が覚めたね? 半ば諦めていただけに、本当に良かったよ。今、君の両親に連絡を入れたところだよ。きっとすぐにここへ来ることだろう」
そして、私に笑いかけてきた。ただ目が覚めただけなのに、随分大げさな態度をとっているこの人は誰だろう?
「あの……一体、ここはどこですか?」
「ここは病院で、私は医者だよ」
「病院……」
言われてみれば、確かに目の前の青年は白衣を着ている。
そのとき、重要な事を思い出した。
「先生! リオンは無事なのですか!? それに他の生徒たちは? リオンの両親はどうなりましたか!」
「リオン……?」
先生は首を傾げる。
「リオンは火事の中から私が助け出した男の子です! 誕生日パーティーで火災が起きたんです! 先生はその時の状況を聞いていないのですか?」
もどかしくて、つい大きな声を出してしまった。
「あぁ、あの火事の話だね? ごめんごめん、大丈夫。思い出したよ」
「思い出したって……」
ついさっきの出来事なのに? 一体この先生は何を言っているのだろう?
「ハイランド家の人々は全員無事だよ。リオンも、彼の両親たちもね」
「無事……だった……? 誰も怪我をしていないってことですか? 火傷も?」
「そうだね、ハイランド家の人々は怪我をしなかったよ。でも、確か1人顔に火傷を負った人がいたな……誰だったかな……ごめん。名前までは覚えていなくて」
申し訳無さそうに先生が謝ってきた。
「顔に火傷……?」
一体誰のことだろう?
その時。
「「ユニスッ!!」」
両親が部屋の中に現れ、駆け寄ってきた。
「お父様、お母様……」
何とか身体を起こそうとしても、未だに力が入らない。一体、この身体はどうなってしまったのだろう?
「いいんだよ、無理に起き上がろうとしなくても」
「だけど、本当に目が覚めて良かったわ……」
両親が涙ぐんでいる。私はそんなに危険な状態だったのだろうか?
それにしても……。
私は両親の顔をじっと見つめた。
「何だい? どうかしたのか? ユニス」
父が私に声をかけてきた。
「い、いえ……私、随分心配かけてしまったのですね。何だかお父様もお母様も少し顔つきが変わったようなので」
正確に言えば、少し老けてしまったようだ。けれど、気が引けて言えなかった。
すると、両親は互いに顔を見合わせ……父から衝撃の言葉が飛び出してきた。
「まぁ、それも無理はないな。何しろユニスは6年ぶりに目が覚めたのだから」
「え……? 6年……ぶり……?」
それは、耳を疑うような衝撃の言葉だった――
2,006
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