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5章 8 思いがけない話
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「ロザリンの火傷がいつのものだったのかは、まだ話していなかったと思うけど。何故そのことを君が知っているんだい?」
答えられずにいると、再びリオンが尋ねてきた。
「あ、あの……そ、それはエイダが教えてくれたからよ」
「エイダ? あぁ、彼女か……確かに初等部の頃から一緒だった彼女ならロザリンのことを知っているか」
リオンは肩をすくめた。
「そうよ、だから知っているの」
「エイダか……」
すると何故かフッとリオンは笑う。
「それにしても、エイダが女子学生と仲良くするとは思わなかった。今まで、ずっと彼女は友達を作らずに学園内でも1人で過ごしていたのに」
「え……?」
その話に耳を疑う。
だって、私はエイダの親友だったのに?
アンディもザカリーもそんなこと一度も話してくれたことは無かった。
私の知っているエイダは……明るくて、人懐こかったはず……それなのに、友人がいなかった?
「何だい? その顔は随分意外そうだね?」
「だって、エイダは明るくて社交的だし……」
「俺の知る限り女子学生の親しい友人はいなかったと思うよ。……たった1人を除いてはね」
「え……」
その言葉にドキリとする。
「エイダには初等部の頃に親友がいたんだよ。そして彼女は俺の婚約者だった……」
「!」
危うく驚きで声が漏れそうになってしまった。
「今思うと、彼女は俺には勿体ないほどの素敵な婚約者だったよ。だけど、あの頃の俺はまだ子供で、そんなことに少しも気づかなかったんだ。だから……彼女を蔑ろにして、失ったばかりか、今……こんな……ことに……」
リオンは俯くと、目をこすった。
まさか……私のことで泣いているのだろうか?
心臓の音が激しくなり、胸が痛い。するとリオンが顔を上げた。
「ごめん。変な話をしてしまったね」
「いいえ……。でもどうして私にその話を……?」
なるべく平静を装いながら尋ねる。
けれど、今にも心臓が口から飛び出しそうだ。ひょっとするとリオンに何か気づかれてしまったのだろうか?
あれほど兄やセシル達からリオンと関わらないように警告されていたのに……それでも彼の口から聞きたかった。6年前……私とリオンは、殆ど交流を持つことは無かったから。
「自分でも……よく分らない。だけど、エイダが君と一緒に楽しそうにしている姿を見たときに何故か彼女のことを思い出したんだよ。まるで、あの頃に戻ったかのように感じて……でも、そんなことあるはず無いのに。だって、彼女は俺のせいで……」
その時。
「何をしているの!!」
いきなり乱暴に扉が開け放たれ、部屋の中にヒステリックな声が響き渡った。
現れたのは黒いヴェールを被ったロザリンだ。
「あ……ロザリン」
狼狽えた様子でリオンが振り返る。
彼女はズカズカと部屋の中に入ってくると、リオンの胸ぐらを掴んだ。
「リオンッ!! この女と2人きりで一体何をしていたのよ!!」
「何もしていないよ。ただ目が覚めた彼女と話をしていただけさ」
「嘘言わないで!! 本当は2人でやましいことでもしていたんじゃないの!?」
ロザリンは両手でリオンの胸ぐらを掴むとギリギリと締め上げる。
「ほ、本当だ……よ。話をしていただけだって……」
「嘘を言うんじゃないわよ!!」
突如、ロザリンの指が赤く光った。その光は指輪からだった。
その途端……。
「うっ……ガハッ!」
突如、リオンが苦しみ始めた。見ると彼の首周りが赤く光り、締め上げているようにも見える。
まさか……!
「やめて! 本当にただ話をしていただけよ! 彼はあなたの婚約者なのでしょう!? 大切な人を苦しめていいの!?」
すると……。
「何ですって……?」
ロザリンはリオンの胸ぐらを掴んでいた手を離した。
「うっ! ゴホッ! ゴホッ!」
リオンが喉元を押さえて激しく咳き込む。そんな彼を見向きもせずに、ロザリンはこちらを向いた。
「生意気な口聞くんじゃないわよ!! あんたもリオンと同じ目に遭わしてやるわ!!」
ロザリンは叫ぶと、指輪を私に向けた――
答えられずにいると、再びリオンが尋ねてきた。
「あ、あの……そ、それはエイダが教えてくれたからよ」
「エイダ? あぁ、彼女か……確かに初等部の頃から一緒だった彼女ならロザリンのことを知っているか」
リオンは肩をすくめた。
「そうよ、だから知っているの」
「エイダか……」
すると何故かフッとリオンは笑う。
「それにしても、エイダが女子学生と仲良くするとは思わなかった。今まで、ずっと彼女は友達を作らずに学園内でも1人で過ごしていたのに」
「え……?」
その話に耳を疑う。
だって、私はエイダの親友だったのに?
アンディもザカリーもそんなこと一度も話してくれたことは無かった。
私の知っているエイダは……明るくて、人懐こかったはず……それなのに、友人がいなかった?
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「俺の知る限り女子学生の親しい友人はいなかったと思うよ。……たった1人を除いてはね」
「え……」
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「!」
危うく驚きで声が漏れそうになってしまった。
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けれど、今にも心臓が口から飛び出しそうだ。ひょっとするとリオンに何か気づかれてしまったのだろうか?
あれほど兄やセシル達からリオンと関わらないように警告されていたのに……それでも彼の口から聞きたかった。6年前……私とリオンは、殆ど交流を持つことは無かったから。
「自分でも……よく分らない。だけど、エイダが君と一緒に楽しそうにしている姿を見たときに何故か彼女のことを思い出したんだよ。まるで、あの頃に戻ったかのように感じて……でも、そんなことあるはず無いのに。だって、彼女は俺のせいで……」
その時。
「何をしているの!!」
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「あ……ロザリン」
狼狽えた様子でリオンが振り返る。
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ロザリンは両手でリオンの胸ぐらを掴むとギリギリと締め上げる。
「ほ、本当だ……よ。話をしていただけだって……」
「嘘を言うんじゃないわよ!!」
突如、ロザリンの指が赤く光った。その光は指輪からだった。
その途端……。
「うっ……ガハッ!」
突如、リオンが苦しみ始めた。見ると彼の首周りが赤く光り、締め上げているようにも見える。
まさか……!
「やめて! 本当にただ話をしていただけよ! 彼はあなたの婚約者なのでしょう!? 大切な人を苦しめていいの!?」
すると……。
「何ですって……?」
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「生意気な口聞くんじゃないわよ!! あんたもリオンと同じ目に遭わしてやるわ!!」
ロザリンは叫ぶと、指輪を私に向けた――
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