11 / 119
第11話 私のお店
しおりを挟む
「それじゃジムさん。納品だけ済ませたらすぐに馬車に戻るのでここで待っていてもらえますか?」
ペリーヌと一緒に馬車を降りた私は御者のジムさんに言った。
「はい、お待ちしております。急がなくても大丈夫ですよ」
「ありがとう。それじゃ行ってくるわ。行きましょう、ペリーヌ」
「ええ」
傍らで待っていたペリーヌに声を掛け、鍵を開けてアーチ型の木の扉を開けるとお店の中へと入って行った。
約5坪の小さなお店…それが半月後にオープンする私の始めてのお店、その名も『アンジュ』。店舗としてはかなり小さいかもしれないけれども、週末に1人でお店を運営するのだから今の私にとっては丁度よい広さ。町の中心部にあり、しかも大通りに面している。立地条件は最高だ。
床も壁も天井も全て板張りになっていて、店内は仄かに優しい木の香りがする。
とても落ち着く空間になっている。
壁にピッタリ寄せた木製の陳列棚には既に納品済みの商品が種類ごとに工夫をこらしてディスプレイされている。
「まぁ…開店まで後半月もあるのに、もうこんなに沢山納品が済んでいたのね」
棚の上に綺麗に陳列された手作り雑貨を目にしたペリーヌが感嘆の声を上げる。
「フフフ…頑張って作っていたからね~」
私は上機嫌でエコバックの中から本日納品の為に持ってきた商品を籠に入れていく。
「ねぇ、今日は何を納品に来たの?」
ペリーヌが私の並べている商品に興味を持ったのか覗きにきた。
「これ?これはねぇ…化粧ポーチよ。中にもポケットが付いているから中身がごちゃつかないようになっているの」
「まぁ!なんて素敵なの?私、絶対にこれを買うわ!」
ペリーヌが目をキラキラさせながら言う。
「何言ってるの。ペリーヌからお金を取ろうなんて少しも思っていないわ。はい、これあげる」
一番カラフルなデザインの化粧ポーチをペリーヌに渡した。
「えっ?!そ、そんな…。貰えないわよ!ちゃんとお客として買うわ!」
慌てて首を振るペリーヌに言った。
「いいのよ、貰って頂戴。だってペリーヌは私の大切な親友であり、しかもこの店舗を貸してくれた恩人だもの」
「アンジェラ…。ありがとう。私…これ、大切に使わせて貰うわ」
ペリーヌは大事そうにひしと胸に化粧ポーチを抱きしめると、私を見て笑みを浮かべた。
「さて、それじゃ納品も済んだ事だし…屋敷まで送るわ」
「ええ、ありがとう」
そして私達は店を出ると、しっかり戸締まりをしてジムさんの待つ馬車へと向かった。
****
「それじゃ、また明日ね」
馬車から降りたペリーヌが手を振った。
「ええ、また明日」
馬車の中から手を振ると窓から顔を出してジムさんに言った。
「ジムさん、馬車を出して貰える?」
「はい、アンジェラ様」
そして手綱を握ったジムさんは馬車を走らせ、私は手を振るペリーヌに見送られながら帰路に着いた―。
****
屋敷に到着したのは17時半を過ぎていた。少しお店でゆっくり過ごしすぎてしまったかもしれない。
「ただいま戻りました」
扉を開けて屋敷の中へ入る、すぐに母とミルバが出迎えてくれた。
「おかえりさない、アンジェラ」
「お帰りなさいませ、アンジェラお嬢様」
しかし、出迎えてくれた母とミルバの顔色が何だか優れない。
「どうしたのですか?お母様。それにミルバも…何だか顔色が悪いようですけど?」
「え、ええ……実はニコラス様が来ているのよ」
「え?ニコラス様が?!」
珍しいこともあるものだ。彼の方から訪ねて来ることなど滅多に無いのに…。
「それが…何だかとても怒ってらっしゃるのよ…先程から早くアンジェラを呼んでこいと言って…」
「え?!そうのですか?!今、どちらにいらしてるのですか?」
「ええ。ニコラス様は応接室に…」
「!」
最後まで母の話を聞く前に私は廊下を走り出していた。ひょっとするとニコラスは今日の出来事に根に持ってやって来たのかもしれない。
「全く…なんて人なの…」
応接室が見えてきた次の瞬間…。
「遅いっ!いつまで待たせるんだっ!」
扉の奥でニコラスの怒声が響いてきた―。
ペリーヌと一緒に馬車を降りた私は御者のジムさんに言った。
「はい、お待ちしております。急がなくても大丈夫ですよ」
「ありがとう。それじゃ行ってくるわ。行きましょう、ペリーヌ」
「ええ」
傍らで待っていたペリーヌに声を掛け、鍵を開けてアーチ型の木の扉を開けるとお店の中へと入って行った。
約5坪の小さなお店…それが半月後にオープンする私の始めてのお店、その名も『アンジュ』。店舗としてはかなり小さいかもしれないけれども、週末に1人でお店を運営するのだから今の私にとっては丁度よい広さ。町の中心部にあり、しかも大通りに面している。立地条件は最高だ。
床も壁も天井も全て板張りになっていて、店内は仄かに優しい木の香りがする。
とても落ち着く空間になっている。
壁にピッタリ寄せた木製の陳列棚には既に納品済みの商品が種類ごとに工夫をこらしてディスプレイされている。
「まぁ…開店まで後半月もあるのに、もうこんなに沢山納品が済んでいたのね」
棚の上に綺麗に陳列された手作り雑貨を目にしたペリーヌが感嘆の声を上げる。
「フフフ…頑張って作っていたからね~」
私は上機嫌でエコバックの中から本日納品の為に持ってきた商品を籠に入れていく。
「ねぇ、今日は何を納品に来たの?」
ペリーヌが私の並べている商品に興味を持ったのか覗きにきた。
「これ?これはねぇ…化粧ポーチよ。中にもポケットが付いているから中身がごちゃつかないようになっているの」
「まぁ!なんて素敵なの?私、絶対にこれを買うわ!」
ペリーヌが目をキラキラさせながら言う。
「何言ってるの。ペリーヌからお金を取ろうなんて少しも思っていないわ。はい、これあげる」
一番カラフルなデザインの化粧ポーチをペリーヌに渡した。
「えっ?!そ、そんな…。貰えないわよ!ちゃんとお客として買うわ!」
慌てて首を振るペリーヌに言った。
「いいのよ、貰って頂戴。だってペリーヌは私の大切な親友であり、しかもこの店舗を貸してくれた恩人だもの」
「アンジェラ…。ありがとう。私…これ、大切に使わせて貰うわ」
ペリーヌは大事そうにひしと胸に化粧ポーチを抱きしめると、私を見て笑みを浮かべた。
「さて、それじゃ納品も済んだ事だし…屋敷まで送るわ」
「ええ、ありがとう」
そして私達は店を出ると、しっかり戸締まりをしてジムさんの待つ馬車へと向かった。
****
「それじゃ、また明日ね」
馬車から降りたペリーヌが手を振った。
「ええ、また明日」
馬車の中から手を振ると窓から顔を出してジムさんに言った。
「ジムさん、馬車を出して貰える?」
「はい、アンジェラ様」
そして手綱を握ったジムさんは馬車を走らせ、私は手を振るペリーヌに見送られながら帰路に着いた―。
****
屋敷に到着したのは17時半を過ぎていた。少しお店でゆっくり過ごしすぎてしまったかもしれない。
「ただいま戻りました」
扉を開けて屋敷の中へ入る、すぐに母とミルバが出迎えてくれた。
「おかえりさない、アンジェラ」
「お帰りなさいませ、アンジェラお嬢様」
しかし、出迎えてくれた母とミルバの顔色が何だか優れない。
「どうしたのですか?お母様。それにミルバも…何だか顔色が悪いようですけど?」
「え、ええ……実はニコラス様が来ているのよ」
「え?ニコラス様が?!」
珍しいこともあるものだ。彼の方から訪ねて来ることなど滅多に無いのに…。
「それが…何だかとても怒ってらっしゃるのよ…先程から早くアンジェラを呼んでこいと言って…」
「え?!そうのですか?!今、どちらにいらしてるのですか?」
「ええ。ニコラス様は応接室に…」
「!」
最後まで母の話を聞く前に私は廊下を走り出していた。ひょっとするとニコラスは今日の出来事に根に持ってやって来たのかもしれない。
「全く…なんて人なの…」
応接室が見えてきた次の瞬間…。
「遅いっ!いつまで待たせるんだっ!」
扉の奥でニコラスの怒声が響いてきた―。
168
あなたにおすすめの小説
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
最後の誕生日会
まるまる⭐️
恋愛
「お父様のことを……お願いね……」
母は亡くなる間際、まだ小さかった私の手を握り締めてそう言った。
それから8年……。
母の残したこの言葉は、まるで呪文のようにずっと私の心を縛り付けてきた。
でも、それももう限界だ。
ねぇ、お母様。
私……お父様を捨てて良いですか……?
******
宮廷貴族ゾールマン伯爵家の娘アイリスは、愛する母を病気で亡くして以来、父ヨーゼフと2人肩を寄せ合い暮らしてきた。
そんな日々が続いたある日、父ヨーゼフはいきなり宰相から筆頭補佐官への就任を命じられる。それは次の宰相への試金石とも言える重要な役職。日頃からの父の働きぶりが認められたことにアイリスは大きな喜びを感じるが、筆頭補佐官の仕事は激務。それ以来、アイリスが父と過ごす時間は激減してしまう。
そんなある日、父ヨーゼフは彼の秘書官だったメラニアを後妻に迎えると屋敷に突然連れて帰って来た。
「彼女にはお前と一つ違いの娘がいるんだ。喜べアイリス。お前に母と妹が一度に出来るんだ! これでもう寂しくはないだろう?」
父は満面の笑みを浮かべながらアイリスにそう告げるが……。
婚約破棄されたので公爵令嬢やめます〜私を見下した殿下と元婚約者が膝をつく頃、愛を囁くのは冷酷公爵でした〜
nacat
恋愛
婚約者に裏切られ、蔑まれ、全てを失った公爵令嬢リリアナ。
「あなたのような女、誰が愛すると?」そう言い放った王太子と元友人に嘲られても、彼女は涙を見せなかった。
だが、冷たく美しい隣国の公爵セドリックと出会った瞬間、運命は静かに動き出す。
冷酷と噂された男の腕のなかで、彼女は再び自分を取り戻していく。
そして――彼女を捨てた者たちは、彼女の眩い幸福の前に膝をつく。
「これは、ざまぁを通り越して愛された令嬢の物語。」
悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした
まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」
王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。
大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。
おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。
ワシの怒りに火がついた。
ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。
乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!!
※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
婚約破棄?ああ、どうぞお構いなく。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢アミュレットは、その完璧な美貌とは裏腹に、何事にも感情を揺らさず「はぁ、左様ですか」で済ませてしまう『塩対応』の令嬢。
ある夜会で、婚約者であるエリアス王子から一方的に婚約破棄を突きつけられるも、彼女は全く動じず、むしろ「面倒な義務からの解放」と清々していた。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる