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第15話 両家の話し合い
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父が挨拶をしながら母と兄を引き連れて応接室に入ると、ニコラスの両親が立ち上がった。
「…」
ニコラスは両親が立ち上がった姿を見て、一瞬驚きの表情を浮かべ…渋々立ち上がった…かのように私の目には映った。
「突然の来訪に応じてもらい、感謝する。ありがとう、ベルモンド子爵」
コンラート伯爵が父に頭を下げると、夫人も頭を丁寧に下げる。
「…」
しかしニコラスは頭を下げない。
「お前も下げるのだっ!」
すると、伯爵がいきなりニコラスの頭を鷲掴みにすると、無理やり頭を下げさせた。
「ハハハハ…どうやらニコラス様はまだお若いから頭を下げるのが苦手なようですな」
父はサラリと嫌味を言う。
「ホホホ…お、お恥ずかしい限りですわ…まだまだ子供で…」
夫人は引きつった笑み浮かべながら、ジロリとニコラスを睨みつけたのを私は見た。
「どうぞお座り下さい、私達も掛けさせて頂きます」
父の言葉にニコラス親子はソファに座り、父たちも腰掛けた。すると早速伯爵が口を開いた。
「ベルモンド子爵…手紙を拝見したが、この度はうちのニコラスがアンジェラ嬢に非道な振る舞いをしたそうで…大変申し訳ない!」
そしてガバッと頭を下げる。
「本当に申し訳ございません!」
夫人も一緒になって頭を下げるが、やはりニコラスは頭を下げようとしない。
「お前も頭を下げろと言ってるだろうっ?!」
頭を下げたまま伯爵はニコラスに命じた。
「だ、だって俺は悪く…」
「黙って下げろっ!」
伯爵は再びニコラスの頭を鷲掴みにしてグイッと頭を下げさせた。
「どうか、私の愚息の行動を許して貰えないだろうかっ?!もう一度帰ったら強く言い聞かせるのでっ!」
伯爵はニコラスの頭を押さえつけ、頭を下げたまま頼み込んできた。
「どうか、婚約破棄の話…もう一度考え直して下さいっ!」
夫人まで懇願してくる。しかし、肝心の本人は無言のままだった。それはそうだろう。ニコラスは私と婚約破棄したくてしようがないのだから。
「伯爵、どうぞ頭を上げて下さい。何も伯爵と御婦人が頭を下げられる事を望んで手紙を送ったわけではありませんので」
父がやんわりと言う。
「ええ。そのとおりですわ。どうぞお顔を上げてくださいな?」
母も笑みを浮かべて声を掛けた。
「そ、そうだったのか?それでは許して貰えるのだな?」
伯爵はどこかホッとした様子で顔を上げた。
「まあ、そうでしたのね?」
夫人も安心しているように見えた。
「ええ、伯爵と夫人の謝罪は必要ありません。我々家族が望んでいるのは…ニコラス様の心からの謝罪の言葉ですから」
「えっ?!」
父の言葉にニコラスの眉間にシワが寄る。
「可哀想に…アンジェラは今日の事がショックで食事も満足に取れなかったのですよ」
母がため息をついた。
え?私は今夜の食事も、出されたデザートまで綺麗に完食しましたけど?
「嘘だっ!あいつはそんなしおらしい人間じゃないっ!」
するとニコラスが反論した。
…この状況で反論するなんてニコラスは余程私の事が嫌いなのか、馬鹿なのだろう。
「ニコラス様?そんな口を利ける立場なのでしょうか?あまり妹の事を悪く言うのであれば…どうなるか分かっていますよね?」
兄が意味深に笑う。
「ヒクッ!」
ニコラスが何故かしゃっくりをする。ひょっとして何かバラされたくない秘密でも兄に握られているのだろうか?
「そう言えば、アンジェラ嬢の姿が見えないが…どうしたのだね?」
伯爵が父に尋ねてきた。
「ええ、それがアンジェラはニコラス様が来たと言う知らせを聞いた途端、会いたくないと言って部屋に閉じこもってしまったのですよ。我々も説得したのですが、応じてくれなくて…今日のことが相当ショックだったようですね」
父はため息をつきながら言う。
「まぁ…あの聞き分けの良いアンジェラ嬢が…ニコラスッ!貴方はアンジェラ嬢の許婚なのよっ!何故乱暴を働こうとしたのっ?!」
夫人がニコラスを叱りつけた。
「ああ、そうだ!今すぐ土下座でも何でもしてアンジェラ嬢の許しを請え!」
「分かったよ!謝ればいいんだろう?!謝ればっ!ベルモンド子爵!アンジェラを連れて来てくれっ!…いや、下さい」
ニコラスは半ばやけくその様に言った。
「そうですか。では我々家族全員でアンジェラの様子を見てまいりますので、皆様はこちらでお待ち下さい。では行くぞ」
父が声を掛けると母と兄も立ち上がり、応接室を出て行く。その時、父がチラリとこちらを振りむいた。
『そのまま様子を見ていなさい』
私には父がそう訴えているように思えた。
そこで私はうちの家族が全員出て行った後のコンラート家の様子をここから伺う事にした―。
「…」
ニコラスは両親が立ち上がった姿を見て、一瞬驚きの表情を浮かべ…渋々立ち上がった…かのように私の目には映った。
「突然の来訪に応じてもらい、感謝する。ありがとう、ベルモンド子爵」
コンラート伯爵が父に頭を下げると、夫人も頭を丁寧に下げる。
「…」
しかしニコラスは頭を下げない。
「お前も下げるのだっ!」
すると、伯爵がいきなりニコラスの頭を鷲掴みにすると、無理やり頭を下げさせた。
「ハハハハ…どうやらニコラス様はまだお若いから頭を下げるのが苦手なようですな」
父はサラリと嫌味を言う。
「ホホホ…お、お恥ずかしい限りですわ…まだまだ子供で…」
夫人は引きつった笑み浮かべながら、ジロリとニコラスを睨みつけたのを私は見た。
「どうぞお座り下さい、私達も掛けさせて頂きます」
父の言葉にニコラス親子はソファに座り、父たちも腰掛けた。すると早速伯爵が口を開いた。
「ベルモンド子爵…手紙を拝見したが、この度はうちのニコラスがアンジェラ嬢に非道な振る舞いをしたそうで…大変申し訳ない!」
そしてガバッと頭を下げる。
「本当に申し訳ございません!」
夫人も一緒になって頭を下げるが、やはりニコラスは頭を下げようとしない。
「お前も頭を下げろと言ってるだろうっ?!」
頭を下げたまま伯爵はニコラスに命じた。
「だ、だって俺は悪く…」
「黙って下げろっ!」
伯爵は再びニコラスの頭を鷲掴みにしてグイッと頭を下げさせた。
「どうか、私の愚息の行動を許して貰えないだろうかっ?!もう一度帰ったら強く言い聞かせるのでっ!」
伯爵はニコラスの頭を押さえつけ、頭を下げたまま頼み込んできた。
「どうか、婚約破棄の話…もう一度考え直して下さいっ!」
夫人まで懇願してくる。しかし、肝心の本人は無言のままだった。それはそうだろう。ニコラスは私と婚約破棄したくてしようがないのだから。
「伯爵、どうぞ頭を上げて下さい。何も伯爵と御婦人が頭を下げられる事を望んで手紙を送ったわけではありませんので」
父がやんわりと言う。
「ええ。そのとおりですわ。どうぞお顔を上げてくださいな?」
母も笑みを浮かべて声を掛けた。
「そ、そうだったのか?それでは許して貰えるのだな?」
伯爵はどこかホッとした様子で顔を上げた。
「まあ、そうでしたのね?」
夫人も安心しているように見えた。
「ええ、伯爵と夫人の謝罪は必要ありません。我々家族が望んでいるのは…ニコラス様の心からの謝罪の言葉ですから」
「えっ?!」
父の言葉にニコラスの眉間にシワが寄る。
「可哀想に…アンジェラは今日の事がショックで食事も満足に取れなかったのですよ」
母がため息をついた。
え?私は今夜の食事も、出されたデザートまで綺麗に完食しましたけど?
「嘘だっ!あいつはそんなしおらしい人間じゃないっ!」
するとニコラスが反論した。
…この状況で反論するなんてニコラスは余程私の事が嫌いなのか、馬鹿なのだろう。
「ニコラス様?そんな口を利ける立場なのでしょうか?あまり妹の事を悪く言うのであれば…どうなるか分かっていますよね?」
兄が意味深に笑う。
「ヒクッ!」
ニコラスが何故かしゃっくりをする。ひょっとして何かバラされたくない秘密でも兄に握られているのだろうか?
「そう言えば、アンジェラ嬢の姿が見えないが…どうしたのだね?」
伯爵が父に尋ねてきた。
「ええ、それがアンジェラはニコラス様が来たと言う知らせを聞いた途端、会いたくないと言って部屋に閉じこもってしまったのですよ。我々も説得したのですが、応じてくれなくて…今日のことが相当ショックだったようですね」
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