26 / 119
第26話 悪女はどちら?
しおりを挟む
「そうね…とりあえず、これは私の物だから返してもらうわ」
パメラがテーブルの上に置いたペン立てを手に取ると私は言った。
「ええ、そうね。また誰かさんに捕られる前にしまっておいた方がいいわ」
ペリーヌがパメラを見ながら嫌味たっぷりに言う。
「だ、だから私じゃないって言ってるでしょう?全てそこのシビルが勝手にやった事よ!」
パメラは涙目になっているシビルを指さした。
「そう言えばパメラ…さっき、貴女私に言ったわよね?私からそこの彼女を職員室に連れて行くかどうか…」
「え、ええ?言ったけど…?」
「なら実行させて貰うわ。今から彼女を連れて職員室に行く事にするから」
「「「「えっ?!」」」」
パメラと3人の女生徒達が全員ギョッとした顔で声を揃えて私を見た。
「あら?まさかひょっとして盗んだ物を返したから、それでもう許して貰えるかと思ったのかしら?」
腕組みしながらパメラに尋ねると、サッとパメラは視線をそらせた。
「ま、まさか…そ、そんなはず…無いわよ…」
けれどパメラの表情には動揺が隠せない。その証拠に視線が泳いでいる。
「そうよね?そこのシビルの事を先生に報告し、それ相応の罰を彼女に受けて貰うようにするわ。元々は貴女の提案だしね。どう思う?ペリーヌ」
隣に立つペリーヌに意見を求めた。
「ええ、それがいいと思うわ。だって勝手にアンジェラの鞄をあさって盗みを働いたのだから。これはれっきとした犯罪よ。ちゃんと先生方から罰を与えて貰わないとね。」
すると突然パメラが態度を変えて来た。
「あ、あの…い、いくら何でも犯罪というのは少し言い過ぎじゃないかしら?ただ少し魔がさしただけなのかもしれないし…」
「あら?随分この人を擁護するような言い方をするけれど…初めに先生に報告すると言い出したのは貴女の方よ?」
私はパメラをじっと見た。
パメラの考えなどお見通しだった。恐らくペン立てを私に返したから見逃して貰えると思ったのだろう。そしてシビルに全ての罪を押し付け、自分で職員室に言って報告すると言ったけれどもパメラの事だ。絶対にそんな事はしないだろう。
私からシビルを職員室に連れていくかと尋ねたのも、私が断るだろうと思っての事に違いない。
「分ったわよ。だったらアンジェラさんがシビルを職員室に連れて行くといいわ」
パメラは吐き捨てるように言う。
「そ、そんなっ!パメラッ!貴女が私に命じたんじゃないのっ!アンジェラさんから…っ!」
するとシビルがパメラに叫んだ。
「シビルッ!悪あがきはやめなさいっ!」
涙目になって訴えるシビルをパメラは一喝した。その言葉にシビルの肩がビクリと跳ねる。
「それじゃ行くわよ?」
私はシビルに声を掛けた。
「…」
シビルは真っ青になりながらも観念したのか、ガタンと席を立った。
「アンジェラ。私もついていくわ。いいでしょう?」
「ええ、勿論よ。それじゃ行くわよ、シビル」
私はシビルに声を掛けた。
「は、はい…」
その時、パメラがボソリと言った。
「…本当に悪女ね…」
「何ですって?」
またもやパメラは私を悪女呼ばわりしてきた。
「何故私が悪女なのよ?」
「そうでしょうっ?!たった1度の過ちを許さないなんて…何て狭い心の持ち主なのよっ!」
するとペリーヌが言った。
「本当に呆れた女ね。アンジェラのどこが悪女なの?あんたの方が余程悪女よ。自分は手を汚さずに命令を下して実行させて…いざとなったら切り捨てるんだから!アンジェラ。パメラの言う事なんか聞かなくていいわよ」
「な、何ですって…!」
パメラは身体を震わせて悔しそうにペリーヌを睨み付けている。
「それじゃ職員室へ行くわよ。早く行かないとお昼休みが終わってしまうわ」
私はシビルに声を掛けると、観念したかのようにシビルは無言でコクリと頷く。
そして私達は悔しがるパメラと怯える2人の女子生徒達をその場に残し、シビルを連れて学食を後にした―。
パメラがテーブルの上に置いたペン立てを手に取ると私は言った。
「ええ、そうね。また誰かさんに捕られる前にしまっておいた方がいいわ」
ペリーヌがパメラを見ながら嫌味たっぷりに言う。
「だ、だから私じゃないって言ってるでしょう?全てそこのシビルが勝手にやった事よ!」
パメラは涙目になっているシビルを指さした。
「そう言えばパメラ…さっき、貴女私に言ったわよね?私からそこの彼女を職員室に連れて行くかどうか…」
「え、ええ?言ったけど…?」
「なら実行させて貰うわ。今から彼女を連れて職員室に行く事にするから」
「「「「えっ?!」」」」
パメラと3人の女生徒達が全員ギョッとした顔で声を揃えて私を見た。
「あら?まさかひょっとして盗んだ物を返したから、それでもう許して貰えるかと思ったのかしら?」
腕組みしながらパメラに尋ねると、サッとパメラは視線をそらせた。
「ま、まさか…そ、そんなはず…無いわよ…」
けれどパメラの表情には動揺が隠せない。その証拠に視線が泳いでいる。
「そうよね?そこのシビルの事を先生に報告し、それ相応の罰を彼女に受けて貰うようにするわ。元々は貴女の提案だしね。どう思う?ペリーヌ」
隣に立つペリーヌに意見を求めた。
「ええ、それがいいと思うわ。だって勝手にアンジェラの鞄をあさって盗みを働いたのだから。これはれっきとした犯罪よ。ちゃんと先生方から罰を与えて貰わないとね。」
すると突然パメラが態度を変えて来た。
「あ、あの…い、いくら何でも犯罪というのは少し言い過ぎじゃないかしら?ただ少し魔がさしただけなのかもしれないし…」
「あら?随分この人を擁護するような言い方をするけれど…初めに先生に報告すると言い出したのは貴女の方よ?」
私はパメラをじっと見た。
パメラの考えなどお見通しだった。恐らくペン立てを私に返したから見逃して貰えると思ったのだろう。そしてシビルに全ての罪を押し付け、自分で職員室に言って報告すると言ったけれどもパメラの事だ。絶対にそんな事はしないだろう。
私からシビルを職員室に連れていくかと尋ねたのも、私が断るだろうと思っての事に違いない。
「分ったわよ。だったらアンジェラさんがシビルを職員室に連れて行くといいわ」
パメラは吐き捨てるように言う。
「そ、そんなっ!パメラッ!貴女が私に命じたんじゃないのっ!アンジェラさんから…っ!」
するとシビルがパメラに叫んだ。
「シビルッ!悪あがきはやめなさいっ!」
涙目になって訴えるシビルをパメラは一喝した。その言葉にシビルの肩がビクリと跳ねる。
「それじゃ行くわよ?」
私はシビルに声を掛けた。
「…」
シビルは真っ青になりながらも観念したのか、ガタンと席を立った。
「アンジェラ。私もついていくわ。いいでしょう?」
「ええ、勿論よ。それじゃ行くわよ、シビル」
私はシビルに声を掛けた。
「は、はい…」
その時、パメラがボソリと言った。
「…本当に悪女ね…」
「何ですって?」
またもやパメラは私を悪女呼ばわりしてきた。
「何故私が悪女なのよ?」
「そうでしょうっ?!たった1度の過ちを許さないなんて…何て狭い心の持ち主なのよっ!」
するとペリーヌが言った。
「本当に呆れた女ね。アンジェラのどこが悪女なの?あんたの方が余程悪女よ。自分は手を汚さずに命令を下して実行させて…いざとなったら切り捨てるんだから!アンジェラ。パメラの言う事なんか聞かなくていいわよ」
「な、何ですって…!」
パメラは身体を震わせて悔しそうにペリーヌを睨み付けている。
「それじゃ職員室へ行くわよ。早く行かないとお昼休みが終わってしまうわ」
私はシビルに声を掛けると、観念したかのようにシビルは無言でコクリと頷く。
そして私達は悔しがるパメラと怯える2人の女子生徒達をその場に残し、シビルを連れて学食を後にした―。
184
あなたにおすすめの小説
王命って何ですか?
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした
まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」
王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。
大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。
おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。
ワシの怒りに火がついた。
ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。
乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!!
※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。
最後の誕生日会
まるまる⭐️
恋愛
「お父様のことを……お願いね……」
母は亡くなる間際、まだ小さかった私の手を握り締めてそう言った。
それから8年……。
母の残したこの言葉は、まるで呪文のようにずっと私の心を縛り付けてきた。
でも、それももう限界だ。
ねぇ、お母様。
私……お父様を捨てて良いですか……?
******
宮廷貴族ゾールマン伯爵家の娘アイリスは、愛する母を病気で亡くして以来、父ヨーゼフと2人肩を寄せ合い暮らしてきた。
そんな日々が続いたある日、父ヨーゼフはいきなり宰相から筆頭補佐官への就任を命じられる。それは次の宰相への試金石とも言える重要な役職。日頃からの父の働きぶりが認められたことにアイリスは大きな喜びを感じるが、筆頭補佐官の仕事は激務。それ以来、アイリスが父と過ごす時間は激減してしまう。
そんなある日、父ヨーゼフは彼の秘書官だったメラニアを後妻に迎えると屋敷に突然連れて帰って来た。
「彼女にはお前と一つ違いの娘がいるんだ。喜べアイリス。お前に母と妹が一度に出来るんだ! これでもう寂しくはないだろう?」
父は満面の笑みを浮かべながらアイリスにそう告げるが……。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
「失礼いたしますわ」と唇を噛む悪役令嬢は、破滅という結末から外れた?
パリパリかぷちーの
恋愛
「失礼いたしますわ」――断罪の広場で令嬢が告げたのは、たった一言の沈黙だった。
侯爵令嬢レオノーラ=ヴァン=エーデルハイトは、“涙の聖女”によって悪役とされ、王太子に婚約を破棄され、すべてを失った。だが彼女は泣かない。反論しない。赦しも求めない。ただ静かに、矛盾なき言葉と香りの力で、歪められた真実と制度の綻びに向き合っていく。
「誰にも属さず、誰も裁かず、それでもわたくしは、生きてまいりますわ」
これは、断罪劇という筋書きを拒んだ“悪役令嬢”が、沈黙と香りで“未来”という舞台を歩んだ、静かなる反抗と再生の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる