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第37話 はた迷惑な男
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「しかし、何だ?そのみすぼらしい服は…流石にそんな服を着ているお前を連れ歩く事は出来ないな。俺の品位が疑われてしまう。よし、それならまず最初は服屋へ行こう。ここで待っているから早く財布を取って来い」
「…」
「おい?何黙ってるんだ?デートに行くんだから財布を持って来いと言ってるんだ。人の話をお前は聞いているのか?」
「あ、はい。聞こえていました」
あまりにも呆れて言葉を発する事も忘れていた。それにしても勝手に押しかけて一方的にデートに誘いに来たと言い、みすぼらしい服を着ているから服屋へ行こうとは。挙句に早く財布を取って来い?
前世の私はデートの時、男性におごってもらう事は殆ど無かった。お互い対等な関係でいたかったから、自分の分の買い物は自分で支払ったし、食事代だって割り勘だった。
なのに…何故、今目の前のニコラスに『財布を取って来い』と言われると無性に腹が立つのだろう?
落ちつけ私…。
今日はこれからパメラの父親の経営する農園に行って懲らしめ…もとい、取り締まりに行くのだから、こんな暇人に付き合ってる暇などないのだ。
「お断りします」
「何?今、何て言った」
「ですから、今日のデートはお断り致します」
「お、お前…人が折角デートに誘いにわざわざ迎えにきてやったのに断るだと?」
「ええ。そうです。私は忙しいのでニコラス様にお付き合いする時間が無いのです」
「お前…また俺を馬鹿に…!ゴホンッ!い、いや。何でもない。ひょっとしてそんな姿で何処かへ出かけるとでもいうつもりか?」
「ええ、そうです。その前に…今まで一度も私をデートに誘ったことが無いのに、何故突然いらしたのですか?」
全く迷惑極まりない。
「それは父と母に命じられて仕方なく来たんだ。何としてもお前の機嫌を取って少しでも好かれる努力をしろと言われたんだよ」
馬鹿正直なニコラスはぺらぺらと真実を口にする。
「そうですか。でも本当に私は今日は忙しいので、どうぞお引き取りを。デートの誘いならどうぞパメラを誘って下さい」
「それが駄目なんだよっ!パメラとはもう会うなと禁じられているんだよ!」
「別に黙ってお会いになればいいじゃないですか?」
「いや、それが無理なんだ。今、外に馬車が止っているんだが、中に付き人が乗っているんだよ。そいつが監視しているからパメラと会うのは無理なんだよ!」
「…は?」
その言葉に耳を疑った。
「つまり、ニコラス様…は監視者付きのデートに私を誘いに来たと言う事ですか?」
「ああ、そうだ。両親の命令だからな」
冗談じゃない。さっさと追い返してしまわないとこれではいつまでたってもパメラの父の農園へ行くことが出来ない。
「とにかく、今日はお帰り下さい。ニコラス様のお相手をするほど暇人ではありませんので」
「お前…!な、なら…馬車にいる付き人に説明してくれっ!」
ニコラスが喚く。全く…よほど信頼されていないのだろう。
「分かりました。ならその方を大至急連れてきて下さい」
「あ、ああっ!分かったっ!」
ニコラスは部屋を駆け足で出ていき…数分後、初老の男性を連れて戻ってきた。気の毒に…よほど急かされたのか、肩でハアハア息をしている。
「あ、あの…ア、アンジェラ様が…今日は用事があるとかで…ハアハア…」
「はい、申し訳ございませんがニコラス様のご両親にそう、お伝え下さい」
「か、かしこまりました…」
初老の男性は頷くと、ニコラスが言った。
「よし、爺やっ!屋敷に帰るぞっ!」
なんと!ニコラスには爺やがいたとはっ!
「は、はい…」
そしてニコラスと爺やさんは部屋を出て行った。
ふぅ…全くはた迷惑な…。するとそこへタイミングよく父と兄が現れた。
「2人とも帰ったようだね?」
「はい、お父様」
「全くあの馬鹿男…よりにもよって『財布を取って来い』と言うとは…」
兄は忌々しげに言う。
「でも怒りを抑えただけマシでしたよ。それでは行きましょうか?」
「ああ、そうだな。悪い奴を裁きにな」
私の言葉に父が頷く。
「「はい」」
私と兄は同時に返事をした。
フフフ…見てらっしゃい。パメラ。
今までの借りを返してあげる。
私は心のなかでほくそ笑んだ―。
「…」
「おい?何黙ってるんだ?デートに行くんだから財布を持って来いと言ってるんだ。人の話をお前は聞いているのか?」
「あ、はい。聞こえていました」
あまりにも呆れて言葉を発する事も忘れていた。それにしても勝手に押しかけて一方的にデートに誘いに来たと言い、みすぼらしい服を着ているから服屋へ行こうとは。挙句に早く財布を取って来い?
前世の私はデートの時、男性におごってもらう事は殆ど無かった。お互い対等な関係でいたかったから、自分の分の買い物は自分で支払ったし、食事代だって割り勘だった。
なのに…何故、今目の前のニコラスに『財布を取って来い』と言われると無性に腹が立つのだろう?
落ちつけ私…。
今日はこれからパメラの父親の経営する農園に行って懲らしめ…もとい、取り締まりに行くのだから、こんな暇人に付き合ってる暇などないのだ。
「お断りします」
「何?今、何て言った」
「ですから、今日のデートはお断り致します」
「お、お前…人が折角デートに誘いにわざわざ迎えにきてやったのに断るだと?」
「ええ。そうです。私は忙しいのでニコラス様にお付き合いする時間が無いのです」
「お前…また俺を馬鹿に…!ゴホンッ!い、いや。何でもない。ひょっとしてそんな姿で何処かへ出かけるとでもいうつもりか?」
「ええ、そうです。その前に…今まで一度も私をデートに誘ったことが無いのに、何故突然いらしたのですか?」
全く迷惑極まりない。
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馬鹿正直なニコラスはぺらぺらと真実を口にする。
「そうですか。でも本当に私は今日は忙しいので、どうぞお引き取りを。デートの誘いならどうぞパメラを誘って下さい」
「それが駄目なんだよっ!パメラとはもう会うなと禁じられているんだよ!」
「別に黙ってお会いになればいいじゃないですか?」
「いや、それが無理なんだ。今、外に馬車が止っているんだが、中に付き人が乗っているんだよ。そいつが監視しているからパメラと会うのは無理なんだよ!」
「…は?」
その言葉に耳を疑った。
「つまり、ニコラス様…は監視者付きのデートに私を誘いに来たと言う事ですか?」
「ああ、そうだ。両親の命令だからな」
冗談じゃない。さっさと追い返してしまわないとこれではいつまでたってもパメラの父の農園へ行くことが出来ない。
「とにかく、今日はお帰り下さい。ニコラス様のお相手をするほど暇人ではありませんので」
「お前…!な、なら…馬車にいる付き人に説明してくれっ!」
ニコラスが喚く。全く…よほど信頼されていないのだろう。
「分かりました。ならその方を大至急連れてきて下さい」
「あ、ああっ!分かったっ!」
ニコラスは部屋を駆け足で出ていき…数分後、初老の男性を連れて戻ってきた。気の毒に…よほど急かされたのか、肩でハアハア息をしている。
「あ、あの…ア、アンジェラ様が…今日は用事があるとかで…ハアハア…」
「はい、申し訳ございませんがニコラス様のご両親にそう、お伝え下さい」
「か、かしこまりました…」
初老の男性は頷くと、ニコラスが言った。
「よし、爺やっ!屋敷に帰るぞっ!」
なんと!ニコラスには爺やがいたとはっ!
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そしてニコラスと爺やさんは部屋を出て行った。
ふぅ…全くはた迷惑な…。するとそこへタイミングよく父と兄が現れた。
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私の言葉に父が頷く。
「「はい」」
私と兄は同時に返事をした。
フフフ…見てらっしゃい。パメラ。
今までの借りを返してあげる。
私は心のなかでほくそ笑んだ―。
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