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プロローグ 1
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私は目を閉じていた。
ザワザワ……
先程迄静まり返った部屋にいたはずなのに、人々のざわめきが聞こえてくるので目を開けてみる。
「え……?」
気が付いてみると、私は見覚えのある場所に立っていた。
美しい大理石が敷き詰められた大ホール。見上げる程に高い天井からは眩いシャンデリアが吊り下げられている。
そして私の周囲には煌びやかな衣装に身を包んだ人々の姿があり、誰もが私に険しい目を向けて、小声で文句を言っている。
「よくも図々しくここに来られたものだ」
「命知らずもいいところね」
「命よりもプライドを優先したのだろう」
もしかしてここは……?
周囲を見渡した次の瞬間。
「おい! 聞いているのか!? オフィーリア・ドヌーブ!」
突然怒鳴り声が響き渡った。
驚いて視線を向けると、壇上に栗毛色の髪に青い瞳の青年がこちらを睨みつけていた。彼の隣には女性の姿もある。
そうだ、思い出した。
彼は王太子、アシル・バスチエ。私の婚約者だった人だ。そして隣にいるのは、この国の聖女ソネットだった。
ある日突然彼女がこの国に現れたことにより、私は一方的にアシルから婚約を破棄されてしまった。そして今は彼女がアシルの婚約者となっている。
腰まで伸びた銀の髪に真っ白な肌、そして赤い瞳を持つソネット。
彼女は神殿に祭られている聖女像にそっくりという理由だけで聖女になったのだ。
だが恐らく外見がそっくりなだけで、ソネットに神聖力など無いだろう。実際、誰も彼女が奇跡のような力を使ったのを見たことがないのだから。
真っ白いローブ姿のソネットはアシルにピタリと寄り添い、怯えた目を私に向けている。
「あぁ……そうだわ。思い出した、この光景は……」
思わず口から小さく言葉が洩れた。
今日は記念すべきアシルとソネットの婚約パーティの日で、私は招かれてもいないのに参加したのだ。
そこでアシルに見つかり……今、この場に立たされている。
次に彼から出てくる台詞は分かっていた。
「オフィーリアッ! よくも俺たちの前に顔を出せたものだな! 貴様は聖女であるソネットに度々の嫌がらせをし、命の危機にまで晒した! よって今この場でドヌーブ家から除籍し、辺境の村『ルーズ』へ追放する! 二度とこの地に足を踏み入れることを断じて禁ずる!」
確かに私は彼女に嫌がらせをしてきた。しかし、命の危機に晒すような嫌がらせは断じてしていないけれども……。
「はい! 承知いたしました!」
私は笑顔で返事をした。
だって……私はこの時が来るのを60年以上も待ち望んでいたのだから――
ザワザワ……
先程迄静まり返った部屋にいたはずなのに、人々のざわめきが聞こえてくるので目を開けてみる。
「え……?」
気が付いてみると、私は見覚えのある場所に立っていた。
美しい大理石が敷き詰められた大ホール。見上げる程に高い天井からは眩いシャンデリアが吊り下げられている。
そして私の周囲には煌びやかな衣装に身を包んだ人々の姿があり、誰もが私に険しい目を向けて、小声で文句を言っている。
「よくも図々しくここに来られたものだ」
「命知らずもいいところね」
「命よりもプライドを優先したのだろう」
もしかしてここは……?
周囲を見渡した次の瞬間。
「おい! 聞いているのか!? オフィーリア・ドヌーブ!」
突然怒鳴り声が響き渡った。
驚いて視線を向けると、壇上に栗毛色の髪に青い瞳の青年がこちらを睨みつけていた。彼の隣には女性の姿もある。
そうだ、思い出した。
彼は王太子、アシル・バスチエ。私の婚約者だった人だ。そして隣にいるのは、この国の聖女ソネットだった。
ある日突然彼女がこの国に現れたことにより、私は一方的にアシルから婚約を破棄されてしまった。そして今は彼女がアシルの婚約者となっている。
腰まで伸びた銀の髪に真っ白な肌、そして赤い瞳を持つソネット。
彼女は神殿に祭られている聖女像にそっくりという理由だけで聖女になったのだ。
だが恐らく外見がそっくりなだけで、ソネットに神聖力など無いだろう。実際、誰も彼女が奇跡のような力を使ったのを見たことがないのだから。
真っ白いローブ姿のソネットはアシルにピタリと寄り添い、怯えた目を私に向けている。
「あぁ……そうだわ。思い出した、この光景は……」
思わず口から小さく言葉が洩れた。
今日は記念すべきアシルとソネットの婚約パーティの日で、私は招かれてもいないのに参加したのだ。
そこでアシルに見つかり……今、この場に立たされている。
次に彼から出てくる台詞は分かっていた。
「オフィーリアッ! よくも俺たちの前に顔を出せたものだな! 貴様は聖女であるソネットに度々の嫌がらせをし、命の危機にまで晒した! よって今この場でドヌーブ家から除籍し、辺境の村『ルーズ』へ追放する! 二度とこの地に足を踏み入れることを断じて禁ずる!」
確かに私は彼女に嫌がらせをしてきた。しかし、命の危機に晒すような嫌がらせは断じてしていないけれども……。
「はい! 承知いたしました!」
私は笑顔で返事をした。
だって……私はこの時が来るのを60年以上も待ち望んでいたのだから――
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