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1章2 若さって素晴らしい
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「素敵! 若さってなんて素晴らしいの!」
途中でヒールを脱ぐと、裸足で城の廊下を走っていた。
腰も膝も全く痛くない。目ははっきり見えるし、息切れもしない。
何て幸せなのだろう。この幸せは一度年を取ってみないと誰にも分からないだろう。
城を歩く人々に何度かすれ違ったけれども、全員がギョッとした顔つきで私を見つめる。けれどドレスをたくし上げ、素足で走る私の姿を見れば誰だって驚くに決まっている。
「確か、この辺りに御者たちの待つ待機所があったはず……あったわ!」
記憶を頼りに城内の出口付近にある待機所を見つけて、勢いよく扉を開けた。
バンッ!
室内で待機していた大勢の御者たちが驚いた様子で、一斉にこちらを振り向く。
すると赤い髪色の青年が立ち上がった。
「え!? オ、オフィーリア様!?」
「帰るわよ! ザック!」
私は自分の御者、ザックの名を笑顔で呼んだ——
****
「オフィーリア様。本当に帰ってよろしいのですか? まだパーティーは始まったばかりですよ? それにあれ程、アシル殿下と話をつけると仰っていたではありませんか」
馬繋場に停めておいた馬車の前に来ると、ザックが尋ねてきた。
「ええ、いいのよ。もう、この城に長居は無用。扉を開けてくれる?」
「はい、分かりました」
ザックが扉を開けると、早速私は乗り込んだ。
「では、閉めますね」
「ええ、その前に……ザック」
じっと私はザックを見つめた。
「な、何ですか?」
「……貴方ってとても若いわね。羨ましいわ」
この当時のザックは、確かまだ22歳だったはず。私から見れば、まるで孫のような存在だ。
「えええっ!? オフィーリア様! 一体何をおっしゃっていらっしゃるのですか!? 大体オフィーリア様の方がお若いじゃありませんか! 先週20歳になられたばかりですよね?」
青ざめた顔のザックが目を見開く。
「あ……」
そうだった! 今の私は過去に戻っていたのだ。先程迄は「若さって素晴らしい」と思っていたのに、そのことをすっかり忘れていた。
「そ、そうだったわね。今の話は忘れてちょうだい。ほんの冗談よ」
大真面目な顔で言う。
「冗談ですか……? オフィーリア様で冗談をもおっしゃるのですね。。では扉を閉めさせていただきますね」
ザックは不思議そうに首を傾げながら扉を閉め、御者台へ移動していく姿が見える。やがて馬車は城門目指して走り始めた。
ガラガラと音を立てて走る馬車の中で、私はため息をついた。
「ふぅ……うっかり変なことを口走ってしまったわ。過去に戻ってきたとはいえ、自分の顔を鏡で見ていないから、まだ実感が湧かないのね。でも……」
ドレスの色に合わせた、オレンジ色のグローブを外して自分の両手をじっと見つめる。
染み一つも無い、ハリのある肌。顔に触れると指先が肌に張り付いてくる。
手元はくっきり見えるし、遠くなりかけていた耳も今は良く聞こえる。
何より、腰も膝の痛みも感じられない。
馬車は走り続け、王都から一番近い町『テミス』へと入った。
窓から外を眺めれば、見覚えのある美しい町が広がっている。
「私……本当に、巻き戻ってきたのね」
もう二度とこの美しい町を見ることは無いと思っていたのに。
何故ならこの町は今から数年後、人が住めない場所に変わってしまうからだ——
途中でヒールを脱ぐと、裸足で城の廊下を走っていた。
腰も膝も全く痛くない。目ははっきり見えるし、息切れもしない。
何て幸せなのだろう。この幸せは一度年を取ってみないと誰にも分からないだろう。
城を歩く人々に何度かすれ違ったけれども、全員がギョッとした顔つきで私を見つめる。けれどドレスをたくし上げ、素足で走る私の姿を見れば誰だって驚くに決まっている。
「確か、この辺りに御者たちの待つ待機所があったはず……あったわ!」
記憶を頼りに城内の出口付近にある待機所を見つけて、勢いよく扉を開けた。
バンッ!
室内で待機していた大勢の御者たちが驚いた様子で、一斉にこちらを振り向く。
すると赤い髪色の青年が立ち上がった。
「え!? オ、オフィーリア様!?」
「帰るわよ! ザック!」
私は自分の御者、ザックの名を笑顔で呼んだ——
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「オフィーリア様。本当に帰ってよろしいのですか? まだパーティーは始まったばかりですよ? それにあれ程、アシル殿下と話をつけると仰っていたではありませんか」
馬繋場に停めておいた馬車の前に来ると、ザックが尋ねてきた。
「ええ、いいのよ。もう、この城に長居は無用。扉を開けてくれる?」
「はい、分かりました」
ザックが扉を開けると、早速私は乗り込んだ。
「では、閉めますね」
「ええ、その前に……ザック」
じっと私はザックを見つめた。
「な、何ですか?」
「……貴方ってとても若いわね。羨ましいわ」
この当時のザックは、確かまだ22歳だったはず。私から見れば、まるで孫のような存在だ。
「えええっ!? オフィーリア様! 一体何をおっしゃっていらっしゃるのですか!? 大体オフィーリア様の方がお若いじゃありませんか! 先週20歳になられたばかりですよね?」
青ざめた顔のザックが目を見開く。
「あ……」
そうだった! 今の私は過去に戻っていたのだ。先程迄は「若さって素晴らしい」と思っていたのに、そのことをすっかり忘れていた。
「そ、そうだったわね。今の話は忘れてちょうだい。ほんの冗談よ」
大真面目な顔で言う。
「冗談ですか……? オフィーリア様で冗談をもおっしゃるのですね。。では扉を閉めさせていただきますね」
ザックは不思議そうに首を傾げながら扉を閉め、御者台へ移動していく姿が見える。やがて馬車は城門目指して走り始めた。
ガラガラと音を立てて走る馬車の中で、私はため息をついた。
「ふぅ……うっかり変なことを口走ってしまったわ。過去に戻ってきたとはいえ、自分の顔を鏡で見ていないから、まだ実感が湧かないのね。でも……」
ドレスの色に合わせた、オレンジ色のグローブを外して自分の両手をじっと見つめる。
染み一つも無い、ハリのある肌。顔に触れると指先が肌に張り付いてくる。
手元はくっきり見えるし、遠くなりかけていた耳も今は良く聞こえる。
何より、腰も膝の痛みも感じられない。
馬車は走り続け、王都から一番近い町『テミス』へと入った。
窓から外を眺めれば、見覚えのある美しい町が広がっている。
「私……本当に、巻き戻ってきたのね」
もう二度とこの美しい町を見ることは無いと思っていたのに。
何故ならこの町は今から数年後、人が住めない場所に変わってしまうからだ——
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