嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第2章 1 目撃

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 ルドルフが風邪を引いたと聞かされてから早いもので2週間が経過しようとしている。あれ以来ヒルダはルドルフと会う事は無かった。そしてお見合いの話もピタリと無くなってしまった。

「「はあ~・・・。」」

ヒルダと父ハリスは溜息をつきながら食事をしていた。

「あなた方、いい加減にして下さい。朝から一体何ですか?2人そろってため息ばかりついて・・・よして下さい。折角の食事がまずくなってしまいます。」

たまりかねた母マーガレットがカチャンとフォークを置くと言った。

「すまない・・・。ただ・・・やはりあれ以来見合いの話が来なくなってしまったから・・・。はあ~・・・・。」

そして再びハリスは深いため息をついた。

「だから言ったではありませんか。あのラッセル家のギルバートはとんでもないろくでなしだと。」

「ろ、ろくでなしって・・・お、お前身もふたもない台詞を・・・・。」

ハリスはギョッとした表情でマーガレットを見た。一方のヒルダは2人の会話は一切耳に入っては来なかった。ただ頭にあるのは恋するルドルフの事のみだった。

(やっぱり・・あの2人はただの同級生では無かったのかしら・・・てっきり仲の良いクラスメイトかと思っていたけれども・・・それに私が玄関に置いておいた差し入れ・・・ルドルフ食べてくれたのかしら・・・。)

そこで再びヒルダは深いため息をつくのだった―。

 
 ルドルフと会わなくなってから、ヒルダは通学ルートを変えた。何故ならルドルフの友人達とすれ違うのすら惨めに感じてしまったからだ。彼らの通学ルートとは違う、1本外れた道を今は馬車で通うようにしていた。

(いっその事・・・私もルドルフと同じ平民だったら良かったのに・・・。)

いつしかヒルダはそんな風に思うようになっていた。

(そうだ。もしこの先仮に平民になった時の事も考えて家事も出来るようにならなくちゃね。今日から家に帰ったら皆に家事を教えて貰おう。そうすれば・・・ルドルフの事も忘れていられるかも・・・。)

ヒルダは心に決めるのだった―。



放課後―

「ねえ、ヒルダ。今日少し町に出て見ない?可愛らしい雑貨屋さんがオープンしたらしいのよ。」

親友のシャーリーが声を掛けてきた。

(本当は・・家に帰ったらお料理を教えて貰おうと思ったけど・・・今日くらいはいいわよね?)

そこでヒルダは返事をした。

「ええ。勿論よ、一緒に行きましょう?」

そしてヒルダは自分の御者には先に帰ってもらい、シャーリーの馬車で一緒に町へ向かった。

「こうして2人で町に出るのは久しぶりね?」

ヒルダと石畳の街を並んで歩きながら、シャーリーが話しかけてきた。

「ええ。そうね。ところでシャーリー。そのお店ってどこにあるの?」

「ほら、あれよ。見て。」

シャーリーが指さした方角には赤い屋根が特徴的なレンガ造りのお店があった。店内は既に人で溢れているのか。入り口付近にも行列が出来ていた。

「うわあ・・・大盛況ね・・・。」

ヒルダが言った。

「ええ・・・本当ね。どうする?並ぶ?それともまた今度にする?」

シャーリーが尋ねてきた。

「こんなに混んでいるならきっと素敵なお店なんじゃないかしら?シャーリーさえ良ければ・・・並んで待ちたいわ。」

「そう、それじゃ並びましょう?」

2人で最後尾に並んでいる時、ヒルダはとんでもない光景を見てしまった。
それはルドルフがグレースと一緒に仲良さげに店から出てきた姿だったのである。

(ルドルフッ!)

ヒルダの顔色は真っ青になってしまった。

「どうしたの?!ヒルダッ?!」

シャーリーは突然青ざめたヒルダを見て驚いた。

「具合でも悪いのっ?!」

「え、ええ・・・急に気分が・・・わ、悪いけど・・・帰らせてもらっていもいい・・・?」

「ええ。勿論よ。」

そしてヒルダはシャーリーに支えてもらうように馬車まで歩き、彼女の馬車で自宅まで送り届けて貰った。

「ごめんね・・・シャーリー。折角二人で町まで出てきたのに・・・。」

「いいのよ?気にしないで?また明日ね。」

「うん・・・また明日・・・。」

ヒルダは力なく手を振り、親友を見送った。

その夜は全く食欲など皆無だった。ヒルダは早々にベッドに潜り込み・・枕に顔を押しつけ、いつまでも泣き続けた―。
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