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第5章 14 婚約破棄宣言
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「ヒルダ様・・・どうか・・・僕から逃げないで下さい。僕は・・ヒルダ様の事が好きなんです・・・。貴女を愛しています・・・。」
ルドルフは背後からヒルダを抱きしめ、髪に顔を埋めながら縋りついている。その声は涙声だった。
ヒルダは抱き締められている恥ずかしさや、愛していると言われた事よりもルドルフの涙声の方に驚いていた。
(ルドルフ・・・まさか・・泣いてるの・・?でも何故・・?むしろ泣きたいのは私の方なのに・・・!どうして貴方はまだそんな事を言うの?グレースさんが恋人なんでしょう?そんなにお父様とお母様の脅迫が怖いの・・?)
ヒルダはルドルフの恋人はグレースだと言う事を信じて疑っていなかったのだ。
一方のルドルフは、ヒルダを抱きしめて愛を告げているのに息を潜めたように無反応なヒルダの様子に不安を掻き立てられ、ますます強く抱きしめながら言った。
「ヒルダ様・・・僕の声・・・聞こえているんですよね・・?何故・・返事をしてくれないのですか・・?お願いです・・。こんなに側にいるのに・・聞こえないふりをしないで下さい・・・。」
ルドルフの熱い涙がヒルダの髪を通して伝わってきた。その様子は・・・とても演技には見えなかった。
(ルドルフ・・私は貴方の思いに・・答えてもいいの・・・?)
しかし、そう思った矢先にヒルダの脳裏にはグレースの言葉が蘇ってきた。
<貴女の両親はルドルフに爵位を与え、脅迫して貴女と婚約させたのよっ!この・・・泥棒猫っ!私の・・・私のルドルフを返しなさいよっ!>
涙をボロボロとこぼしながらヒルダに訴えて来るグレースの様子はとても演技でもななければ嘘をついているとも思えなかった。
(それに・・・私が貴族社会でどんな風に言われてるかは分かってる。私みたいな足の不自由な人間がルドルフの側にいれば・・この先彼の足を引っ張ってしまうのは目に見えて分かってる・・。)
だからヒルダは思った。ルドルフの事を愛しているからこそ、やはり自分は側に居てはいけないのだと。今・・ここでルドルフに別れを告げるのが一番なのだと心に決めた。
「ヒルダ様・・・・お願いです。何か話して下さい・・。」
ルドルフはヒルダを抱きしめたまま、未だに離さない。ヒルダは意を決して口を開いた。
「この手を離して、ルドルフ。」
ヒルダ自身が驚くほど冷静な声が出た。
「え・・?」
ルドルフの戸惑う声がヒルダの耳元で聞こえる。
(嘘よ・・・っ!本当は・・ルドルフ、貴方の腕の中にいたいのに・・・っ!)
ヒルダは自分で吐いた言葉なのに、心はナイフで抉られているかのようにズキズキと痛んでいた。
「ルドルフ・・・貴方こそ私の言葉が聞こえているの?早くその手を離して頂戴。」
「す、すみませんでしたっ!」
ルドルフが慌ててヒルダから手を離して。距離を空けた。ルドルフの身体の温もりが消えて、ヒルダはどうしようもなく寂しい気持ちでいっぱいになってしまった。
(でも・・もうこれ以上ルドルフに深入りしては駄目・・今だってお別れるするのが十分すぎるほど辛いのに・・時間が経てば経つほど辛くなるばかりだもの・・!)
ヒルダは深呼吸するとルドルフに背中を向けたまま言った。
「ルドルフ、私は貴方の事は好きじゃないの。やっぱり婚約するなら本当に好きな人とじゃ無いと嫌なの。」
「え・・・?そ、そんな・・・嘘ですよね・・?ヒルダ様・・・。」
ルドルフの悲し気な声が背後で聞こえる。
「こんな事・・・嘘をついてどうするの?・・やっぱり私思ったのよ。どうせ結婚するなら私より爵位が上の相手がいいって。それで誰にも相手にされないなら・・一生1人でいた方がマシだって。」
「!」
ルドルフの息を飲む気配が聞こえた。
(嘘だ・・そんな・・ヒルダ様は身分なんか・・気にするような方では無かったはず・・。)
しかし、追い打ちをかけるようにヒルダは言った。
「だいたい、私はルドルフの事を一度でもはっきり『好き』と伝えた事は無いはずよ?」
「ヒルダ様・・・っ!」
(そうだった・・・。確かに僕は一度でもヒルダ様から『好き』と言う言葉を貰った事が無かった。ただヒルダ様は僕に好意がある素振りを見せてくれていただけで・・・。僕は・・・なんて愚かだったんだろう・・・。ヒルダ様が好き過ぎて・・自分の事しか見えていなかったんだ・・・。)
「ルドルフ・・・私達の婚約は破棄よ。お父様とお母様には私から伝えておくから・・・。もう二度と私には構わないで・・・帰って頂戴。」
「・・・。」
しかし、ルドルフは立ち去る気配が無い。
「いいわ、貴方が帰らないなら・・・私がここから立去るから。」
そしてヒルダは一度もルドルフを振り返る事無く、杖をつきながら屋敷へ向かった。
何故ならルドルフの方を見ようものなら彼の胸に飛び込んで行きたくなってしまうからだった。
(さよなら・・・ルドルフ・・・。私は貴方を愛していました・・・。)
ヒルダは涙が止まらなかった。
そしてそんなヒルダの後姿を見送るルドルフの目にも涙が浮かんでいた—。
ルドルフは背後からヒルダを抱きしめ、髪に顔を埋めながら縋りついている。その声は涙声だった。
ヒルダは抱き締められている恥ずかしさや、愛していると言われた事よりもルドルフの涙声の方に驚いていた。
(ルドルフ・・・まさか・・泣いてるの・・?でも何故・・?むしろ泣きたいのは私の方なのに・・・!どうして貴方はまだそんな事を言うの?グレースさんが恋人なんでしょう?そんなにお父様とお母様の脅迫が怖いの・・?)
ヒルダはルドルフの恋人はグレースだと言う事を信じて疑っていなかったのだ。
一方のルドルフは、ヒルダを抱きしめて愛を告げているのに息を潜めたように無反応なヒルダの様子に不安を掻き立てられ、ますます強く抱きしめながら言った。
「ヒルダ様・・・僕の声・・・聞こえているんですよね・・?何故・・返事をしてくれないのですか・・?お願いです・・。こんなに側にいるのに・・聞こえないふりをしないで下さい・・・。」
ルドルフの熱い涙がヒルダの髪を通して伝わってきた。その様子は・・・とても演技には見えなかった。
(ルドルフ・・私は貴方の思いに・・答えてもいいの・・・?)
しかし、そう思った矢先にヒルダの脳裏にはグレースの言葉が蘇ってきた。
<貴女の両親はルドルフに爵位を与え、脅迫して貴女と婚約させたのよっ!この・・・泥棒猫っ!私の・・・私のルドルフを返しなさいよっ!>
涙をボロボロとこぼしながらヒルダに訴えて来るグレースの様子はとても演技でもななければ嘘をついているとも思えなかった。
(それに・・・私が貴族社会でどんな風に言われてるかは分かってる。私みたいな足の不自由な人間がルドルフの側にいれば・・この先彼の足を引っ張ってしまうのは目に見えて分かってる・・。)
だからヒルダは思った。ルドルフの事を愛しているからこそ、やはり自分は側に居てはいけないのだと。今・・ここでルドルフに別れを告げるのが一番なのだと心に決めた。
「ヒルダ様・・・・お願いです。何か話して下さい・・。」
ルドルフはヒルダを抱きしめたまま、未だに離さない。ヒルダは意を決して口を開いた。
「この手を離して、ルドルフ。」
ヒルダ自身が驚くほど冷静な声が出た。
「え・・?」
ルドルフの戸惑う声がヒルダの耳元で聞こえる。
(嘘よ・・・っ!本当は・・ルドルフ、貴方の腕の中にいたいのに・・・っ!)
ヒルダは自分で吐いた言葉なのに、心はナイフで抉られているかのようにズキズキと痛んでいた。
「ルドルフ・・・貴方こそ私の言葉が聞こえているの?早くその手を離して頂戴。」
「す、すみませんでしたっ!」
ルドルフが慌ててヒルダから手を離して。距離を空けた。ルドルフの身体の温もりが消えて、ヒルダはどうしようもなく寂しい気持ちでいっぱいになってしまった。
(でも・・もうこれ以上ルドルフに深入りしては駄目・・今だってお別れるするのが十分すぎるほど辛いのに・・時間が経てば経つほど辛くなるばかりだもの・・!)
ヒルダは深呼吸するとルドルフに背中を向けたまま言った。
「ルドルフ、私は貴方の事は好きじゃないの。やっぱり婚約するなら本当に好きな人とじゃ無いと嫌なの。」
「え・・・?そ、そんな・・・嘘ですよね・・?ヒルダ様・・・。」
ルドルフの悲し気な声が背後で聞こえる。
「こんな事・・・嘘をついてどうするの?・・やっぱり私思ったのよ。どうせ結婚するなら私より爵位が上の相手がいいって。それで誰にも相手にされないなら・・一生1人でいた方がマシだって。」
「!」
ルドルフの息を飲む気配が聞こえた。
(嘘だ・・そんな・・ヒルダ様は身分なんか・・気にするような方では無かったはず・・。)
しかし、追い打ちをかけるようにヒルダは言った。
「だいたい、私はルドルフの事を一度でもはっきり『好き』と伝えた事は無いはずよ?」
「ヒルダ様・・・っ!」
(そうだった・・・。確かに僕は一度でもヒルダ様から『好き』と言う言葉を貰った事が無かった。ただヒルダ様は僕に好意がある素振りを見せてくれていただけで・・・。僕は・・・なんて愚かだったんだろう・・・。ヒルダ様が好き過ぎて・・自分の事しか見えていなかったんだ・・・。)
「ルドルフ・・・私達の婚約は破棄よ。お父様とお母様には私から伝えておくから・・・。もう二度と私には構わないで・・・帰って頂戴。」
「・・・。」
しかし、ルドルフは立ち去る気配が無い。
「いいわ、貴方が帰らないなら・・・私がここから立去るから。」
そしてヒルダは一度もルドルフを振り返る事無く、杖をつきながら屋敷へ向かった。
何故ならルドルフの方を見ようものなら彼の胸に飛び込んで行きたくなってしまうからだった。
(さよなら・・・ルドルフ・・・。私は貴方を愛していました・・・。)
ヒルダは涙が止まらなかった。
そしてそんなヒルダの後姿を見送るルドルフの目にも涙が浮かんでいた—。
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