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第7章 9 ルドルフ
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ヒルダが原因で教会が焼け落ちたという話は、僅か数日で町中に広がってしまった。人々は領主の娘が立ち入り禁止の教会へ行った事を神への冒涜だと非難した。
しかし、ただ一つ救いだったのは焼け落ちた教会から出てきた焼死体は警察の検視の結果、半月ほど前に死亡していた事が判明し、残された遺体が火事で焼かれてしまったのだろうという結果が出たのであった。それでも信仰深いカウベリーの町の人々は町の重要文化財に指定しようとしていたステンドグラスが焼失してしまった事には変わりは無いとして、ますますヒルダを憎み、ハリスはその火消しの為に奔走する日々が続いていた—。
「ヒルダ様が原因で教会が焼け落ちたなんて嘘に決まっているっ!」
父から教会の焼失事件を聞かされたルドルフは激しく否定した。
「落ち着け、ルドルフ。私だってヒルダお嬢様が犯人だとは思いたくはない。あの方はとても思慮深い方だ。そもそも立ち入り禁止の場所に進んで足を運ぶような方では無い。現にヒルダ様を乗せた馬車の御者から、グレースに無理やり馬車に乗せられて連れて行かれたと言う事実が判明しているんだ。」
「だったら何故・・・!」
「それはヒルダお嬢様が自分で証言したからだよ。自分で暖炉に火をつけて、火のついた薪を誤って床に落としてしまったと。だけど・・ヒルダお嬢様はマッチを持っていなかった。マッチを持っていたのはコリンだったのだよ。」
「え・・?!コリンが・・・っ?!」
「それに、彼らは決して何もあの火事の事について語ろうとしないし、グレースは口元の火傷が酷く、肌が引きつれて未だにまともに口を利く事が出来ないそうなんだ。だから警察が筆談を試みたが、拒否しているらしいんだよ。」
ルドルフは父親の話を聞いて目の前が真っ暗になるような感覚に陥ってしまった。これだけあの4人が頑なに口を閉ざすと言う事は・・・。
「コリン達と・・・グレースが原因で・・・あの教会の火事が起きたんだ・・・・!何故・・・何故皆ヒルダ様の証言を信じるんだっ?!どうして・・・ヒルダ様は彼らを庇ってるんだっ?!」
その口調は普段のルドルフからはおよそ想像もつかない程の乱暴な口調だった。
そしてルドルフは上着を掴むと、家を飛び出して自転車を小屋から引っ張り出した。
「待てっ!ルドルフッ!何処へ行くつもりだっ?!」
マルコは慌ててルドルフの後を追いかけて外に出てきた。
「そんなの決まっています。ヒルダ様の所へ行くんです。」
ルドルフはそれだけ言うと、自転車に飛び乗り、猛スピードで漕ぎだした。
「駄目だっ!行くな、ルドルフッ!ヒルダ様は今・・・っ!」
しかし、その言葉はルドルフの耳に届く事は無かった―。
ヒルダは父ハリスに屋敷を追い出され、敷地内に建てられた小さな離れに追いやられていた。
「お父様、迷惑をかけてごめんなさい。お母様・・・悲しませてごめんなさい・・。」
離れに追いやられてから2日―。ヒルダはショックのあまり、ベッドから起き上がる事が出来なくなっていた。本当なら今のヒルダには寝込んでいられる余裕など無かった。後3週間以内に、ここ『カウベリー』の町を離れなくてはならないのだ。当然今出してある高等学校への願書は父が取り下げている。たった3週間の間にヒルダは新しく住む場所と、進学先の高等学校を決めなくてはならないのだ。
しかし、お嬢様育ちのヒルダには自分の力で住む場所も・・進学先の高等学校を探す事も出来なかった。
おまけにヒルダには誰とも別れを告げる事が許されなかった。そのショックも重なり、今はベッドに伏しているのが精一杯だったのである。
しかし、そんなヒルダを見捨てなかったのは母であるマーガレットと仲の良いメイドのカミラだったのだ。
そしてマーガレットとカミラはヒルダの為にある計画を練っていた—。
しかし、ただ一つ救いだったのは焼け落ちた教会から出てきた焼死体は警察の検視の結果、半月ほど前に死亡していた事が判明し、残された遺体が火事で焼かれてしまったのだろうという結果が出たのであった。それでも信仰深いカウベリーの町の人々は町の重要文化財に指定しようとしていたステンドグラスが焼失してしまった事には変わりは無いとして、ますますヒルダを憎み、ハリスはその火消しの為に奔走する日々が続いていた—。
「ヒルダ様が原因で教会が焼け落ちたなんて嘘に決まっているっ!」
父から教会の焼失事件を聞かされたルドルフは激しく否定した。
「落ち着け、ルドルフ。私だってヒルダお嬢様が犯人だとは思いたくはない。あの方はとても思慮深い方だ。そもそも立ち入り禁止の場所に進んで足を運ぶような方では無い。現にヒルダ様を乗せた馬車の御者から、グレースに無理やり馬車に乗せられて連れて行かれたと言う事実が判明しているんだ。」
「だったら何故・・・!」
「それはヒルダお嬢様が自分で証言したからだよ。自分で暖炉に火をつけて、火のついた薪を誤って床に落としてしまったと。だけど・・ヒルダお嬢様はマッチを持っていなかった。マッチを持っていたのはコリンだったのだよ。」
「え・・?!コリンが・・・っ?!」
「それに、彼らは決して何もあの火事の事について語ろうとしないし、グレースは口元の火傷が酷く、肌が引きつれて未だにまともに口を利く事が出来ないそうなんだ。だから警察が筆談を試みたが、拒否しているらしいんだよ。」
ルドルフは父親の話を聞いて目の前が真っ暗になるような感覚に陥ってしまった。これだけあの4人が頑なに口を閉ざすと言う事は・・・。
「コリン達と・・・グレースが原因で・・・あの教会の火事が起きたんだ・・・・!何故・・・何故皆ヒルダ様の証言を信じるんだっ?!どうして・・・ヒルダ様は彼らを庇ってるんだっ?!」
その口調は普段のルドルフからはおよそ想像もつかない程の乱暴な口調だった。
そしてルドルフは上着を掴むと、家を飛び出して自転車を小屋から引っ張り出した。
「待てっ!ルドルフッ!何処へ行くつもりだっ?!」
マルコは慌ててルドルフの後を追いかけて外に出てきた。
「そんなの決まっています。ヒルダ様の所へ行くんです。」
ルドルフはそれだけ言うと、自転車に飛び乗り、猛スピードで漕ぎだした。
「駄目だっ!行くな、ルドルフッ!ヒルダ様は今・・・っ!」
しかし、その言葉はルドルフの耳に届く事は無かった―。
ヒルダは父ハリスに屋敷を追い出され、敷地内に建てられた小さな離れに追いやられていた。
「お父様、迷惑をかけてごめんなさい。お母様・・・悲しませてごめんなさい・・。」
離れに追いやられてから2日―。ヒルダはショックのあまり、ベッドから起き上がる事が出来なくなっていた。本当なら今のヒルダには寝込んでいられる余裕など無かった。後3週間以内に、ここ『カウベリー』の町を離れなくてはならないのだ。当然今出してある高等学校への願書は父が取り下げている。たった3週間の間にヒルダは新しく住む場所と、進学先の高等学校を決めなくてはならないのだ。
しかし、お嬢様育ちのヒルダには自分の力で住む場所も・・進学先の高等学校を探す事も出来なかった。
おまけにヒルダには誰とも別れを告げる事が許されなかった。そのショックも重なり、今はベッドに伏しているのが精一杯だったのである。
しかし、そんなヒルダを見捨てなかったのは母であるマーガレットと仲の良いメイドのカミラだったのだ。
そしてマーガレットとカミラはヒルダの為にある計画を練っていた—。
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