嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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1章 11 濡れ衣

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「さあ、アデルさん。全員の私物を机の上に出させたので自分の目で確かめなさい。」

「はい、ありがとうございます。先生。」

アデルは礼を言うと、廊下側の生徒から調べて行った。

(フフフ・・・ヒルダさん・・・きっと内心焦っているでしょうねえ・・・嫌われ者同士・・・一体どんなことになるのかしら。楽しみだわ・・。)

ダフネは腕組みをしながらヒルダの様子を伺ったが、ヒルダは前をまっすぐ見つめているだけで、全く動じた様子を見せていない。

「どうですか?アデルさん?財布はありましたか?」

クラスの半分以上の生徒の机の中身のチェックを終えたアデルに教師は尋ねた。

「いいえ・・・ありませんね・・・。」

言いながらアデルはダフネを睨み付けた。実は先程アデルはダフネの机の上を確認したばかりだったのだ。

(フフ・・・アデルの財布が無かった時のあの反応・・・まさに見ものだったわ・・・。)

ダフネは内心ほくそえんでいた。そしてついにヒルダの机の上を確認する番がやってきた。

「え・・?な、何よ・・これは・・・。」

アデルはヒルダの机の上を見て顔色を変えた。

「どうかしたのですか?アデルさん。」

背後から教師がアデルに声を掛けてきた。しかし、アデルはそれに答えずにヒルダを睨み付けた。

「ヒルダさんっ!貴女だったのね?!私の財布を盗んだのは・・・っ!」

途端に教室中にざわめきが起こった。

(え・・・?そ、そんなヒルダが・・・?!)

フランシスは信じられない思いで前方に座るヒルダを見た。そしてステラも心配そうな目でヒルダを見守っている。クラスのほとんどの生徒たちはヒルダが犯人だとは思ってもいなかったが、貴族令嬢達だけは違っていた。何故なら彼女たちは皆ヒルダを嫌っていたからだ。

「いいえ、私は盗んでないわ。ただ、机の中を覗いてみたらこのお財布が入っていただけよ。」

ヒルダはアデルの目をしっかり見つめながら言った。その瞳には疚しさは何所にも無かった。

「それじゃあ、どうして貴女の机の中に私の財布が入っていたのかしら?」

アデルはイライラしながらヒルダに尋ねる。

「それは私にも分からないわ。だって昼休みが終わって教室に戻ったらお財布が中に入っていたんですもの。」

アデルとは対照的にヒルダは淡々と語る。

「ヒ、ヒルダさん・・・!あ、貴女って人は・・・何所までしらばっくれるの?!そ、それじゃ・・証拠を出しなさいよっ!貴女が犯人ではないって証拠をっ!」

するとヒルダは答えた。

「証拠はないわ。だけど・・・私が盗んだっていう証拠も無いわ。」

「だけどねえっ!現に貴女の机の中から私の財布が出てきたのよっ?!これが立派な証拠よっ!」

ついにアデルはヒステリックに叫んだ。そして見かねた教師が口を挟んできた。

「ヒルダさん!君の机の中から財布が出てきたって事は、もう何の言い訳も出来ないんだよ?早くアデルさんに謝りなさい!」

この教師の言葉にクラス中がざわめいた。

「くっ・・・!」

フランシスは何か言ってやりたいと思ったが、何を言えばいいかわからず唇を噛みしめた。するとそこへマイクが突然話に割って入って来た。

「落ち着いて、アデルさん。まずは財布の中身を確認してみたらどうなんだい?」

「そ、そうね!」

アデルはヒルダの机の上からひったくるように財布を掴むと、すぐに中を改めた。

「大丈夫だったわ・・・何も盗られていないみたい・・・。」

「そうかい、良かったじゃないか。」

マイクが言うも、アデルは首を振った。

「だけど、ヒルダさんが盗んだことに違いは無いわっ!」

「だから私は何も知らないわ。」

するとダフネが声を上げた。

「ねーえ、もういい加減にしてくれないかしら?来週には試験も始まるのにこんなくだらないことで皆の時間を奪わないでくれる?」

その言葉はアデルとヒルダに向けた非難の言葉であった。それを聞いた教師はヒルダに言った。

「ヒルダさんっ!早くアデルさんに謝りなさいっ!」

ヒルダには教師の言葉が早く罪を認めろと言っているようにしか聞こえなかった。

(私さえ、我慢すればいいって事ね・・・。)

ヒルダは溜息をつくと言った。

「アデルさん・・・ごめんなさい。」

ヒルダは頭を下げた。
するとより一層教室のざわめきが大きくなった。

「嘘・・・謝った・・・。」
「やっぱり犯人だったのかしら・・?」
「どうしてあんな真似を・・・。」
「幻滅したな・・。」

フランシスはそれらのざわめきを聞き、ヒルダはそんな真似をするような人間じゃないと叫びたかった。が・・・勇気が出せなかった。

「・・・。」

ヒルダは黙ってアデルを見つめている。すると教師が言った。

「では・・ヒルダさん。後で職員室へ来るように。」

「はい、分かりました。」

ヒルダは素直に返事をする。

「フン・・・・!」

そんなヒルダをアデルは忌々し気に睨み付けるのだった―。
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