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第1章 9 ルドルフの確信
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「僕が・・・ヒルダ様のアパートメント迄荷物を持っていきます。」
ルドルフはヒルダを見つめながら言った。
「ル、ルドルフ・・・。」
ヒルダは狼狽えながらルドルフを見上げた。まっすぐ自分を見つめるルドルフの瞳に映る姿は自分だけだった。
「いいですよね?ヒルダ様。」
ヒルダ様・・・・。
ルドルフから名前を呼ばれたのはどのくらい久しいだろう。昨年、突然転入生としてセロニア学園高等学校にやって来たルドルフ。同じクラスメイトでありながら・・・ルドルフはどこかヒルダを避ける行動を取っており、名前を呼ばれること等一切無かった。なのでルドルフに完全にヒルダは嫌われていると思っていたのに・・。
気付けばヒルダの目に涙が浮かんでいた。
アンナの手引きで母マーガレットに再会できて枯れ果ていた涙が戻って来たヒルダ。
その為か・・・最近はほんの僅かな事でも涙ぐむようになっていたのだ。
一方、驚いたのはルドルフの方だった。
「え?ヒルダ様?」
突然涙ぐむヒルダを見てルドルフはすっかり驚いてしまった。
(どうしよう・・ひょっとして僕はきつい言い方をしてしまったのだろうか?どうしてもヒルダ様を前にすると・・・緊張してしまう・・。)
本当はヒルダの事が愛しくて仕方が無いのに、もっと優しく接してあげたいのに・・カウベリーでヒルダに冷たくあしらわれた記憶がルドルフの中に蘇ってきてしまうのだ。確証は無いけれども、ヒルダがあのような行動を取ったのは・・全てグレースのせいだと言う事が分かり切っているのに・・・。
「ヒルダ様・・・何故泣くのですか?僕は・・ひょっとしてヒルダ様を怖がらせていますか・・?」
ルドルフは恐る恐るヒルダに尋ねた。するとヒルダは首を振った。
「ううん・・・そうじゃないの・・・・ルドルフに名前を呼ばれたことが・・・話しかけてくれた事が・・嬉しくて・・・。」
そしてヒルダは恥ずかしそうに俯いた。
「!」
その言葉にルドルフは耳まで顔が赤く染まってしまった。頭の中にエドガーの言葉が蘇ってくる。
< 恐らく・・ヒルダはルドルフ・・君の事を愛している。 >
(本当に・・・?ヒルダ様・・僕の事を・・?)
「行きましょう、ヒルダ様。」
ルドルフは右手に荷物を持つと左手でヒルダの手を繋いできた。するとヒルダが驚いたように言う。
「だ、駄目よ。ルドルフ。」
「え・・?」
ルドルフはその言葉にショックを受けてパッとヒルダの手を離すと振り返った。
「・・・嫌でしたか?」
ショックを隠し切れない顔でルドルフはヒルダを見た。悲し気なルドルフの顔を見てヒルダは動揺しながらも言った。
「だ、だって・・・ルドルフはマドレーヌと・・お付き合いしているでしょう?私と手を繋いだりしたら・・誤解されてしまうわ。」
ヒルダは視線をそらせながら言う。
「え・・・?」
ルドルフはいきなりヒルダの口からマドレーヌの名前が出てきた事に驚いた。
「何故・・・僕がマドレーヌと付き合っていると思ったのですか?」
「だ、だって・・・わ、私・・・見てしまったの。マドレーヌと貴方が・・・2人で一緒に彼女のご両親が経営するお店に入って行くのを・・・。私も店の中に入ろうと思ったのだけど・・。」
「ヒルダ様・・・。」
(まさか見られていたなんて・・。)
「ごめんなさい。」
突然ヒルダが謝って来た。
「え?何故・・謝るのですか?」
「あの・・2人の後をつけるような真似をして・・つ、つい・・気になってしまって・・。」
真っ赤になって俯いて話すヒルダを見てルドルフは確信した。
(間違いない・・・!ヒルダ様は・・僕の事を・・・!)
「ヒルダ様・・・。」
嬉しくなったルドルフは先ほど離したヒルダの左手を再び握り締めた―。
ルドルフはヒルダを見つめながら言った。
「ル、ルドルフ・・・。」
ヒルダは狼狽えながらルドルフを見上げた。まっすぐ自分を見つめるルドルフの瞳に映る姿は自分だけだった。
「いいですよね?ヒルダ様。」
ヒルダ様・・・・。
ルドルフから名前を呼ばれたのはどのくらい久しいだろう。昨年、突然転入生としてセロニア学園高等学校にやって来たルドルフ。同じクラスメイトでありながら・・・ルドルフはどこかヒルダを避ける行動を取っており、名前を呼ばれること等一切無かった。なのでルドルフに完全にヒルダは嫌われていると思っていたのに・・。
気付けばヒルダの目に涙が浮かんでいた。
アンナの手引きで母マーガレットに再会できて枯れ果ていた涙が戻って来たヒルダ。
その為か・・・最近はほんの僅かな事でも涙ぐむようになっていたのだ。
一方、驚いたのはルドルフの方だった。
「え?ヒルダ様?」
突然涙ぐむヒルダを見てルドルフはすっかり驚いてしまった。
(どうしよう・・ひょっとして僕はきつい言い方をしてしまったのだろうか?どうしてもヒルダ様を前にすると・・・緊張してしまう・・。)
本当はヒルダの事が愛しくて仕方が無いのに、もっと優しく接してあげたいのに・・カウベリーでヒルダに冷たくあしらわれた記憶がルドルフの中に蘇ってきてしまうのだ。確証は無いけれども、ヒルダがあのような行動を取ったのは・・全てグレースのせいだと言う事が分かり切っているのに・・・。
「ヒルダ様・・・何故泣くのですか?僕は・・ひょっとしてヒルダ様を怖がらせていますか・・?」
ルドルフは恐る恐るヒルダに尋ねた。するとヒルダは首を振った。
「ううん・・・そうじゃないの・・・・ルドルフに名前を呼ばれたことが・・・話しかけてくれた事が・・嬉しくて・・・。」
そしてヒルダは恥ずかしそうに俯いた。
「!」
その言葉にルドルフは耳まで顔が赤く染まってしまった。頭の中にエドガーの言葉が蘇ってくる。
< 恐らく・・ヒルダはルドルフ・・君の事を愛している。 >
(本当に・・・?ヒルダ様・・僕の事を・・?)
「行きましょう、ヒルダ様。」
ルドルフは右手に荷物を持つと左手でヒルダの手を繋いできた。するとヒルダが驚いたように言う。
「だ、駄目よ。ルドルフ。」
「え・・?」
ルドルフはその言葉にショックを受けてパッとヒルダの手を離すと振り返った。
「・・・嫌でしたか?」
ショックを隠し切れない顔でルドルフはヒルダを見た。悲し気なルドルフの顔を見てヒルダは動揺しながらも言った。
「だ、だって・・・ルドルフはマドレーヌと・・お付き合いしているでしょう?私と手を繋いだりしたら・・誤解されてしまうわ。」
ヒルダは視線をそらせながら言う。
「え・・・?」
ルドルフはいきなりヒルダの口からマドレーヌの名前が出てきた事に驚いた。
「何故・・・僕がマドレーヌと付き合っていると思ったのですか?」
「だ、だって・・・わ、私・・・見てしまったの。マドレーヌと貴方が・・・2人で一緒に彼女のご両親が経営するお店に入って行くのを・・・。私も店の中に入ろうと思ったのだけど・・。」
「ヒルダ様・・・。」
(まさか見られていたなんて・・。)
「ごめんなさい。」
突然ヒルダが謝って来た。
「え?何故・・謝るのですか?」
「あの・・2人の後をつけるような真似をして・・つ、つい・・気になってしまって・・。」
真っ赤になって俯いて話すヒルダを見てルドルフは確信した。
(間違いない・・・!ヒルダ様は・・僕の事を・・・!)
「ヒルダ様・・・。」
嬉しくなったルドルフは先ほど離したヒルダの左手を再び握り締めた―。
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