嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
315 / 566

第2章 24 コリンとの約束。そして・・・

しおりを挟む
「コリンさん・・・もう、いいわ・・・。」

ヒルダが静かに言う。

「だ、だけど・・・。」

「いいのよ、だってコリンさんは・・・蜂の巣を叩き落とそうとしたイワンさんやグレースさんを止めようとしてくれたんでしょう?」

「は、はい・・・。」

「だったら・・もう気にしないで。こんな言い方をしたら不謹慎かもしれないけど・・足を怪我してしまった事で失ってしまったものもあるけど・・でもその代わりに・・ルドルフがいてくれるから・・。」

そしてヒルダはルドルフを見た。

「ヒルダ様・・・。」

ルドルフはヒルダの肩を自分の方へ引き寄せるとコリンを見た。

「コリン・・・。」

「は、はい・・・。」

コリンは震えながら返事をした。

「良かったな。ヒルダ様がお優しい方で・・・。」

「・・・。」

コリンは無言で頷く。それを見たルドルフが言った。

「コリン。教会の火事の原因は・・グレースだったんだよね?火のついた薪を持っていたのは・・。」

「あ、ああ。間違いない。・・ごめん・・・!お、俺達・・本当に怖くて・・大人たちに追及されたとき、怖くて何も言えなかったんだよ・・!」

コリンは再び嗚咽した。

「分った・・・もういい。その代り・・コリン。」

ルドルフは静かに言った。

「万一・・教会の火事の件を警察に伝える時は・・証言してもらうよ。いいね?」

「あ、ああ・・・わ、分った。約束するよ・・・。」

コリンはガタガタ震えながらも頷いた―。



「それじゃ、コリン。元気で・・・。」

喫茶店を出るとルドルフはコリンに言った。

「あ、ああ・・・。」

コリンはオドオドしながら返事をした。そんなコリンをルドルフは見て、改めて思った。カウベリーにいた時からコリンは痩せていたが、今はさらに身体がやせ細っている。栄養状況も悪いのだろう、顔も青ざめて今にも倒れそうだった。

「これから・・・ノラに会いに行くんだろう・・?ノラのいる紡績工場も酷いところだって聞いてるんだ・・。よ、よろしく伝えて置いてくれよ・・・。」

「分ったよ、コリン。」

「コリンさん、お元気でね。」

「は、はい・・・ヒルダ様も・・お元気で・・・。」

コリンは頭を下げると、ヒルダ達に背を向けて去って行った。それをじっと見送りながらルドルフは言った。

「ヒルダ様・・・足の怪我の事ですが・・・。すみません、こんな事になったのは・・・全て僕のせいなんです・・!」

ルドルフはヒルダの手を握りしめると言った。

「何故ルドルフが謝るの?」

ヒルダは首を傾げた。

「それは・・僕に執着していたグレースがヒルダ様を傷つけたからです・・。」

「でも、それは貴方のせいじゃないわ。」

「ですが・・僕はヒルダ様にお詫びを・・。」

「お詫びなんて、そんな・・。」

ヒルダが首を振るとルドルフは言った。

「だから・・僕のお詫びは・・。」

ルドルフはヒルダを抱き寄せ、柔らかな髪に顔をうずめると言った。

「ずっと・・貴女の傍にいて・・守ることです・・。いいですか?ずっとヒルダ様の傍にいさせてもらっても・・・。」

「!」

ヒルダの肩がピクリと動いた。それは・・とても早いプロポーズの言葉だった。

「い、いいの・・?ルドルフ・・・。私はこんな足なのに・・?」

「はい、僕は貴女でなければ駄目なんです。ヒルダ様。愛しています・・。」

「ル・・・ルドルフ・・・。」

(神様・・・私は今・・とても幸せです・・・。)

ヒルダはルドルフの胸に顔をうずめ・・涙を流すのだった―。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

【完結】お世話になりました

⚪︎
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

私達、婚約破棄しましょう

アリス
恋愛
余命宣告を受けたエニシダは最後は自由に生きようと婚約破棄をすることを決意する。 婚約者には愛する人がいる。 彼女との幸せを願い、エニシダは残りの人生は旅をしようと家を出る。 婚約者からも家族からも愛されない彼女は最後くらい好きに生きたかった。 だが、なぜか婚約者は彼女を追いかけ……

処理中です...