嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第2章 25 ノラの行方

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 走り続ける馬車の中、ヒルダとルドルフは次の目的地・・ノラが働いている紡績工場へと向かっていた。
ヒルダは馬車から外を眺めながら言う。

「ここは・・本当に空気が悪い場所なのね・・。空の色もよく分らないし・・。カウベリーともロータスとも全く違う雰囲気の場所だわ・・。」

「ええ。そうですね・・・。時折町を歩く人の姿は見えますけど、皆・・どことなく暗い顔をしているようにも見えます。」

ヒルダの向かい側に座るルドルフが言い・・ノラの事を思い出していた。
ノラは数少ないグレースの女友達だったが、やはりとても貧しい農家の娘だった。

(多分・・ノラもグレースに何か甘い言葉を囁かれて・・・傍にいたのかもしれない・・。グレースは本当に卑怯な人間だ・・・。)

学校の先生に聞いた話では紡績工場はとても環境が悪く、そこで働く女性たちは身体を壊して仕事を辞めていく女性が多いと言う事で、あまり卒業生で紡績工場に就職する女子学生はいないそうだが・・。

(きっとあの教会の火事のせいで・・ノラもカウベリーに住みにくくなったんだ。だから『ボルト』の紡績工場に・・。)

「ルドルフ・・・また考え事しているけど・・大丈夫?」

ヒルダに声を掛けられてルドルフは顔を上げた。目の前には世界で一番愛する人が座っている。それだけでルドルフは幸せで胸が熱くなってくる。

「いいえ。何でもありません。ヒルダ様・・。」

そしてそっとヒルダの手を握りしめた―。



 今回も馬車から降りる時、ルドルフはヒルダを抱きかかえて馬車を降りた。それを真っ赤な顔をしながらヒルダは言う。

「そ、そんなに甘やかさないで。ルドルフ・・1人で馬車位降りられるから・・。」

しかし、ルドルフは首を振った。

「いいえ、ヒルダ様は僕の大切な女性です。大事にさせて下さい。」

「あ、ありがとう・・。わ、私もルドルフが大切よ。あ・・愛しているわ・・。」

「僕もです。ヒルダ様。では・・・行きましょうか?」

「ええ・・・行きましょう。」

そしてルドルフとヒルダは紡績工場へ向かった―。



****

「え・・?ここにはいない?一体どういうことですか?」

ノラの勤めている紡績工場の寮を訪れた2人は、管理人室にいる寮母と話をしていた。寮母は30代程の女性で、でっぷりと肥え太っていた。

「ああ、言葉通りだよ。ノラは3カ月程前までは女工として働いていたけど、身体を壊して今はずっと入院しているんだよ。」

「え?!入院・・・一体何所の病院ですか?それは。」

ルドルフは驚いて詰め寄った。

「ああ・・今、住所を書いてあげるよ。」

寮母はメモ紙にサラサラと病院名と住所を書き、ルドルフに手渡した。

「ありがとうございます。」

すると寮母が言った。

「あんた達・・・・随分身なりが良い恰好をしているけど・・貴族かい?」

「は、はい。そうですけど・・・?」

ルドルフが返事をすると寮母が忠告した。

「ここ、『ボルト』はね・・・空気も悪いし、物乞いも多いから・・悪い事は言わない。早々にこの町を出たほうがいいよ。」

「わ、分りました・・・。」

ルドルフは背後にいるヒルダの手をしっかり握りしめると返事をした―。



****

「それにしても驚いたわ・・まさかノラさんが入院していたなんて・・・。」

次の辻馬車の中でヒルダが言う。

「ええ・・・そうですね・・。寮母さんは何の病気か教えてくれなかったけれども・・ヒルダ様。」

ルドルフはヒルダの手を握りしめると言った。

「どうやら・・この『ボルト』はあまり治安が良くない町の様です。だから・・・町の中では僕から絶対離れないでくださいね?」

「ええ・・分かったわ。」

ヒルダはルドルフを見つめて頷いた―。

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