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第3章 3 少し早めのクリスマス
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今、ホテルの1階にあるレストランにヒルダとルドルフは来ていた。2人は大きな窓際のボックス席に向かい合って座っている。窓の外は工場の大きな影がシルエットのように浮かんで見えた。
「ヒルダ様、お腹が空いたのではありませんか?何しろ今日は・・昼食後は飲み物しか飲んでいませんでしたから、何でも好きなものを頼んでください。」
ルドルフはヒルダにメニュー表を差し出しながら言う。
「ありがとう。」
ヒルダは笑顔で答えるとメニューをじっと見つめた。
テーブルの上に置かれたオイルランプのユラユラと揺れ動く明かりはヒルダの儚げな美しさをより一層際立てていた。
(本当に夢のようだ・・こんなに美しい人が僕の恋人なんて・・。)
ルドルフはヒルダに見惚れるあまり、呼びかけられている事にも気づかなかった。
「・・ねえ。ルドルフ・・。」
何度目かの呼びかけで、ルドルフは我に返った。
「どうしたの?ルドルフ・・さっきから何度か呼びかけていたのだけど・・・?」
ヒルダが首を傾げて聞いてくる。その仕草も愛しくてたまらなかった。
「すみません・・ヒルダ様に見惚れていて・・・呼びかけられている事に気づきませんでした。」
「ル、ルドルフ・・・。」
ヒルダはルドルフのあまりのストレートな言葉に顔が真っ赤になってしまったし、胸の動悸が止まらない。そしてカウベリーにいた時の何倍もルドルフを好きになっていることに改めて気づかされた。
「ヒルダ様、メニューは決まったのですか?」
ルドルフが優しい声で尋ねてきた。
「え、ええ・・・あのね、クリスマス特別限定メニューというのがあるみたいなの・・それにしたいわ。だって・・・今年のクリスマスはルドルフと・・一緒には過ごせないから・・。」
真っ赤な顔でルドルフに説明するヒルダを見て思わずルドルフは強く抱きしめたくなってしまった。
「そ、そうですか・・・?では僕もそれにします。」
ルドルフは自分の気持ちを悟られないようにコホンと咳払いすると、手を挙げてウェイターを呼んだ。
「すみません。お願いします。」
レストランにはほとんど客がいなかった為、すぐにウェイターが2人の元へやってきた。
「ご注文はお決まりですか?」
「はい、この『クリスマス限定メニュー』を2つお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ち下さい。」
ウェイターが頭を下げて去るとルドルフが言った。
「明日の予定なのですが、このホテルの近くに結核患者を治療してくれる病院があるそうなので・・ロータスへ戻る前に寄ってもいいですか?」
「それって・・ひょっとしてノラさんの・・?」
「はい。ノラの命があとどれくらい持つのかは分かりませんが・・もし、今から治療を受けて治るなら・・入院させてあげたいのです。あのままじゃ・・あまりにも気の毒で・・。」
「ええ、そうね・・。私もそう思っていたの。ノラさんがあれではあまりに気の毒だもの。実は私も同じことを考えていたのよ。」
「ヒルダ様・・・・ありがとうございます。」
「あの・・ね、ルドルフ。実は・・貴方に渡したいものがあるの。」
ヒルダは恥ずかしそうに言う。
「渡したいもの・・・?」
「ええ。これなんだけど・・。」
ヒルダは持っていたバッグから細長い包み紙を取り出し、ルドルフのテーブルの前に置いた。
「これは・・?」
「ちょっと早いけど・・・クリスマスプレゼントなの。受け取ってもらえると嬉しいわ・・。」
「クリスマスプレゼント・・・僕にですかっ?!」
ルドルフは驚きのあまり大きな声が出てしまった。
「ええ・・・気に入ってもらえると嬉しいけど・・。」
「中を開けてみてもいいですか?」
「え?ええ。もちろんよ。」
それを聞いたルドルフははやる気持ちを押さえて包み紙を開けた―。
「ヒルダ様、お腹が空いたのではありませんか?何しろ今日は・・昼食後は飲み物しか飲んでいませんでしたから、何でも好きなものを頼んでください。」
ルドルフはヒルダにメニュー表を差し出しながら言う。
「ありがとう。」
ヒルダは笑顔で答えるとメニューをじっと見つめた。
テーブルの上に置かれたオイルランプのユラユラと揺れ動く明かりはヒルダの儚げな美しさをより一層際立てていた。
(本当に夢のようだ・・こんなに美しい人が僕の恋人なんて・・。)
ルドルフはヒルダに見惚れるあまり、呼びかけられている事にも気づかなかった。
「・・ねえ。ルドルフ・・。」
何度目かの呼びかけで、ルドルフは我に返った。
「どうしたの?ルドルフ・・さっきから何度か呼びかけていたのだけど・・・?」
ヒルダが首を傾げて聞いてくる。その仕草も愛しくてたまらなかった。
「すみません・・ヒルダ様に見惚れていて・・・呼びかけられている事に気づきませんでした。」
「ル、ルドルフ・・・。」
ヒルダはルドルフのあまりのストレートな言葉に顔が真っ赤になってしまったし、胸の動悸が止まらない。そしてカウベリーにいた時の何倍もルドルフを好きになっていることに改めて気づかされた。
「ヒルダ様、メニューは決まったのですか?」
ルドルフが優しい声で尋ねてきた。
「え、ええ・・・あのね、クリスマス特別限定メニューというのがあるみたいなの・・それにしたいわ。だって・・・今年のクリスマスはルドルフと・・一緒には過ごせないから・・。」
真っ赤な顔でルドルフに説明するヒルダを見て思わずルドルフは強く抱きしめたくなってしまった。
「そ、そうですか・・・?では僕もそれにします。」
ルドルフは自分の気持ちを悟られないようにコホンと咳払いすると、手を挙げてウェイターを呼んだ。
「すみません。お願いします。」
レストランにはほとんど客がいなかった為、すぐにウェイターが2人の元へやってきた。
「ご注文はお決まりですか?」
「はい、この『クリスマス限定メニュー』を2つお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ち下さい。」
ウェイターが頭を下げて去るとルドルフが言った。
「明日の予定なのですが、このホテルの近くに結核患者を治療してくれる病院があるそうなので・・ロータスへ戻る前に寄ってもいいですか?」
「それって・・ひょっとしてノラさんの・・?」
「はい。ノラの命があとどれくらい持つのかは分かりませんが・・もし、今から治療を受けて治るなら・・入院させてあげたいのです。あのままじゃ・・あまりにも気の毒で・・。」
「ええ、そうね・・。私もそう思っていたの。ノラさんがあれではあまりに気の毒だもの。実は私も同じことを考えていたのよ。」
「ヒルダ様・・・・ありがとうございます。」
「あの・・ね、ルドルフ。実は・・貴方に渡したいものがあるの。」
ヒルダは恥ずかしそうに言う。
「渡したいもの・・・?」
「ええ。これなんだけど・・。」
ヒルダは持っていたバッグから細長い包み紙を取り出し、ルドルフのテーブルの前に置いた。
「これは・・?」
「ちょっと早いけど・・・クリスマスプレゼントなの。受け取ってもらえると嬉しいわ・・。」
「クリスマスプレゼント・・・僕にですかっ?!」
ルドルフは驚きのあまり大きな声が出てしまった。
「ええ・・・気に入ってもらえると嬉しいけど・・。」
「中を開けてみてもいいですか?」
「え?ええ。もちろんよ。」
それを聞いたルドルフははやる気持ちを押さえて包み紙を開けた―。
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