嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第6章 7  領民達の噂話

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  パーティー会場へ戻ると、大広間は大勢の客たちで賑わっていた。貴族たちの中には精一杯着飾ったカウベリーの領民達の姿も見え、エドガーとあまり年の変わらない青年たちであった。彼等はエドガーが近くにいることに気付いていないのか、ヒルダの話をしていた。

「おい、見たか?ヒルダ様がさっきまでいたよな?」
「ああ、勿論見たさ。いい目の保養をさせてもらったよ」
「そうだよな、あれ程の美少女は早々町へ行っても見ることは出来ないものな」
「他の貴族の男たちもヒルダ様に話しかけたそうにしていたぞ」

(だが、お前たちは知らないだろうが…ヒルダは姿だけではなく、心だって綺麗なんだからな…)

その時、エドガーは領民達の会話を自分が聞き耳を立てていた事に気付き、顔が赤くなってしまった。

(駄目だな、俺は…ヒルダの話になると、つい敏感に反応してしまう…)

その時、エドガーの耳にまたしても不快な言葉が飛び込んできた。

「流石は魔性の女と言われるだけあるよな?」
「ああ、男だけじゃなく女も狂わせるだろう?」
「そうそう、ルドルフだけじゃなく、イワンやグレースだって、皆死んじまっただろう?」
「とんだ悪女だよ…」

その言葉にエドガーはカッと顔が熱くなるのを感じた。

(あいつら…!またしてもヒルダの事を…!)

文句を言いに行こうとした時、エドガーよりも先に声を掛けた人物がいた。

「お前たち…今、一体何と言った?ヒルダがどうしたって?誰が悪女だって?」

それはノワールだった。

「ヒッ!」

ヒルダを悪女と呼んだ若者が小さく悲鳴を上げた。何故ならノワールが身につけているスーツは誰が見ても高級な仕立てであり、一目で貴族である事が見て取れたからだ。

「お前たち…ヒルダの事を何も知らずにどの口が悪女だとか、魔性の女だと言えるんだ?その魔性の女の家のパーティーにタダで参加させてもらっているのはどこのどいつらなんだ?」

ノワールは恐ろしい形相で彼等を睨みつけている。エドガーはその姿を呆然と見ていた。

(…あの兄さんがあそこまで激昂するなんて…!それほどヒルダの事を大切に思っているのか…?ヒルダは兄さんの事を好意を持ってはいないと言っていたが…)

「す、すみません!」
「俺たち…帰りますっ!」

彼等はノワールの迫力に押され、 まるで逃げるようにパーティー会場から去って行った。そんな彼等を冷たい目で睨みつけていたノワールはやがてエドガーに視線を移し、近づいて来ると声を掛けてきた。

「どうだ?あれで良かったか?」

「兄さん…気付いていたのですか?」

「当たり前だろう?物凄い形相で彼等に近づいていったから、俺が引き留めようと思ったのさ。お前は…ヒルダの事になるとすぐに熱くなるから」

「…」

エドガーは俯いて話を聞いていたが…やがて顔を上げると言った。

「兄さん、ひょっとして兄さんはヒルダの事を…」

するとノワールはフッと口元に笑みを浮かべると言った。

「エドガー。いよいよお前を助け出せる時がやってきたぞ」

「え…?」

エドガーは戸惑いの表情を浮かべてノワールを見つめた―。
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