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第6章 16 エドガーの決意
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その日の夜、ヒルダはあまり眠ることが出来なかった。エドガーには自分は今まで通りロータスで暮らすだけだと伝えたけれども、それは側にカミラがいるからだ。
(いずれ、遅かれ早かれ…カミラは多分アレン先生と結婚するわ。そうしたらあのアパートメントを出ていくに決まっている。私1人では…あの部屋に住むのは広すぎだわ…。それに家賃の問題もあるし…)
大学を卒業するまでは問題ないが、そこから先の生活は正直に言うと不安で一杯だった。けれどもただでさえ、自分のことを気にしているエドガーにはとても相談できないとヒルダは思っていたのだ。
「女性が1人でも働いて生活出来るような時代が早く来ればいいのに…」
ヒルダは小さくため息をつくのだった―。
****
ここはノワールとエドガーが宿泊している部屋である。
静かな部屋に時計の音がカチコチと響いている。エドガーとノワールは互いのベッドに入っていた。
「エドガー、寝たか?」
ノワールはベッドの中から声を掛けた。
「…いいえ、起きてます」
「そうか…なら一杯やらないか?」
ノワールはベッドから起き上がるとエドガーに尋ねる。
「…ええ、そうですね…」
エドガーもベッドから起き上がると、返事をする。
「この部屋には宿泊客用にワインが置かれているんだ。それを飲もう」
暖炉の明かりを頼りにノワールは部屋に置かれた棚からワインとワイングラスを手に取り、テーブルに置いた。
「はい、頂きます」
エドガーとノワールは互いにテーブルを挟んで向かい側に座ると、早速ノワールはワインの栓を開けた。
ポンッ
コルクの抜ける小気味よい音と共に開栓すると、ノワールは2人のグラスにワインを注ぎ入れた。
「それじゃ、飲もうか?」
「はい」
2人はグラスを手に取り、互いにカチンと鳴らした。
「「乾杯」」
兄弟2人で少しの間、無言でワインを飲んでいたが…やがてノワールが口を開いた。
「エドガー。これからどうする?当然…『エボニー』へ帰るんだろう?」
「兄さん…」
「今迄フィールズ家で散々お前は苦労して行きてきたんだ。実家に戻って少しゆっくり過ごしたほうがいい。そう思わないか?」
「…」
しかし、エドガーは返事をしない。
(そう言えば…ヒルダにも同じ事を言われたな…だけど…)
エドガーは『エボニー』へ帰るつもりは無かった。両親は大切だが、あの家には跡取りであるデイビットが妻であるローラと一緒に住んでいる。三男である自分に取って、あの家は居場所は無いと思っていた。
(いや…それは違うな。こんなのは単なる言い訳だ。俺はただ…」
「エドガー。お前は…本当は『ロータス』に行きたいんだろう?ヒルダの側にいたいんじゃないのか?」
「!」
エドガーの肩がピクリと動いた。
「やっぱりな…ならエドガー。俺と一緒にアパートメントで暮らすか?」
「え…?」
「俺の借りているアパートメントは中々広いんだ。2人で暮らしてもどうってことは無い。どうする?」
「…お願いします」
エドガーはノワールの顔をしっかり見ると言った。
「俺も一緒に『ロータス』に連れて行って下さい。そこで仕事を見つけます」
「…分かった。一緒に行こう」
ノワールは口元に笑みを浮かべた―。
(いずれ、遅かれ早かれ…カミラは多分アレン先生と結婚するわ。そうしたらあのアパートメントを出ていくに決まっている。私1人では…あの部屋に住むのは広すぎだわ…。それに家賃の問題もあるし…)
大学を卒業するまでは問題ないが、そこから先の生活は正直に言うと不安で一杯だった。けれどもただでさえ、自分のことを気にしているエドガーにはとても相談できないとヒルダは思っていたのだ。
「女性が1人でも働いて生活出来るような時代が早く来ればいいのに…」
ヒルダは小さくため息をつくのだった―。
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「…いいえ、起きてます」
「そうか…なら一杯やらないか?」
ノワールはベッドから起き上がるとエドガーに尋ねる。
「…ええ、そうですね…」
エドガーもベッドから起き上がると、返事をする。
「この部屋には宿泊客用にワインが置かれているんだ。それを飲もう」
暖炉の明かりを頼りにノワールは部屋に置かれた棚からワインとワイングラスを手に取り、テーブルに置いた。
「はい、頂きます」
エドガーとノワールは互いにテーブルを挟んで向かい側に座ると、早速ノワールはワインの栓を開けた。
ポンッ
コルクの抜ける小気味よい音と共に開栓すると、ノワールは2人のグラスにワインを注ぎ入れた。
「それじゃ、飲もうか?」
「はい」
2人はグラスを手に取り、互いにカチンと鳴らした。
「「乾杯」」
兄弟2人で少しの間、無言でワインを飲んでいたが…やがてノワールが口を開いた。
「エドガー。これからどうする?当然…『エボニー』へ帰るんだろう?」
「兄さん…」
「今迄フィールズ家で散々お前は苦労して行きてきたんだ。実家に戻って少しゆっくり過ごしたほうがいい。そう思わないか?」
「…」
しかし、エドガーは返事をしない。
(そう言えば…ヒルダにも同じ事を言われたな…だけど…)
エドガーは『エボニー』へ帰るつもりは無かった。両親は大切だが、あの家には跡取りであるデイビットが妻であるローラと一緒に住んでいる。三男である自分に取って、あの家は居場所は無いと思っていた。
(いや…それは違うな。こんなのは単なる言い訳だ。俺はただ…」
「エドガー。お前は…本当は『ロータス』に行きたいんだろう?ヒルダの側にいたいんじゃないのか?」
「!」
エドガーの肩がピクリと動いた。
「やっぱりな…ならエドガー。俺と一緒にアパートメントで暮らすか?」
「え…?」
「俺の借りているアパートメントは中々広いんだ。2人で暮らしてもどうってことは無い。どうする?」
「…お願いします」
エドガーはノワールの顔をしっかり見ると言った。
「俺も一緒に『ロータス』に連れて行って下さい。そこで仕事を見つけます」
「…分かった。一緒に行こう」
ノワールは口元に笑みを浮かべた―。
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