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第6章 17 これからの話
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翌朝―
ヒルダ達はホテルのレストランで朝食をとっていた。
「え?お兄様も『ロータス』に住むことにしたのですか?」
ヒルダは目を見張った。
「ああ、エドガーも俺と一緒に暮らす事になったんだ。俺のアパートメントは1人で暮らすには広過ぎだしな」
「お兄様…」
ヒルダはチラリとエドガーを見た。丁度食事を終えたエドガーはコーヒーを一口飲むと言った。
「取りあえず、今日は『エボニー』へ戻って家族に挨拶をしてくるけれども…明後日には『ロータス』へ行くつもりなんだ」
「あの…その後はどうするつもりなのですか?」
エドガーはフィールズ家では次期当主としての仕事を引き継ぐ為に忙しく働いていた。けれども今はフィールズ家との養子縁組は解かれ、自由の身となっている。
「新しく仕事を探すつもりだ。『ロータス』は都会だし、『カウベリー』に比べれば仕事も見つかりやすいと思うんだ」
「お兄様…」
エドガーはああ言っているが、ヒルダはエドガーの今後の事が心配だった。いくら頭が良く、優秀だとしてもエドガーは高校しか卒業していない。
(本当に良い仕事が見つかるのかしら…)
その時、ヒルダの脳裏をよぎったのはノラとコリンの事だった。2人は『ボルト』の工場で劣悪な環境で働かされていた。肺結核により命を落としたノラや…痩せ細り、お腹を空かしていたコリンの事を思い出してしまったのだ。
「どうした?ヒルダ?」
ノワールがヒルダに声を掛けた。
「い、いえ…お兄様が…心配で…」
ヒルダの今にも消え入りそうな声にエドガーが尋ねた。
「心配?俺の事が?」
「はい…」
コクリと頷くヒルダにノワールが言った。
「何も心配する事は無い。当面エドガーの仕事が決まるまでは俺のアシスタントをやってもらうつもりだからな。給料だってちゃんと支払うつもりだし」
「アシスタント…?」
エドガーが首を傾げた。
「ああ、そうだ。小説を書くには色々下調べをしないと書けない事がたくさんあるんだ。時には取材に出る時もある。写真が必要な場合だってあるし…今までは小説を書きながらそれを1人でやっていたけれども、もうすぐ卒業とはいえ俺はまだ学生だ。学業と小説家の両立は中々大変だ。だが、小説を書くのに手伝いをしてくれる人間がいてくれれば俺も大助かりだしな」
ノワールがエドガーとヒルダの顔を交互に見ながら説明する。
「兄さん…そんな事まで考えていてくれたのですか?」
エドガーは声を震わせて尋ねた。
「当り前だ、お前は…俺にとって大切な弟だからな」
「ありがとうございます。兄さん…」
「…」
ヒルダはそんな2人をじっと見つめていた。
(お兄様がフィールズ家の犠牲になったのは…元をただせば私が原因なのだわ。お兄様が『カウベリー』とフィールズ家から解放されたのだから…私はもうお兄様と距離を置くべきよね…だっていくら親子の縁が切れたとしても、私はフィールズ家の人間なのだから…)
ヒルダはテーブルの下で自分の手をギュッと握りしめるのだった―。
ヒルダ達はホテルのレストランで朝食をとっていた。
「え?お兄様も『ロータス』に住むことにしたのですか?」
ヒルダは目を見張った。
「ああ、エドガーも俺と一緒に暮らす事になったんだ。俺のアパートメントは1人で暮らすには広過ぎだしな」
「お兄様…」
ヒルダはチラリとエドガーを見た。丁度食事を終えたエドガーはコーヒーを一口飲むと言った。
「取りあえず、今日は『エボニー』へ戻って家族に挨拶をしてくるけれども…明後日には『ロータス』へ行くつもりなんだ」
「あの…その後はどうするつもりなのですか?」
エドガーはフィールズ家では次期当主としての仕事を引き継ぐ為に忙しく働いていた。けれども今はフィールズ家との養子縁組は解かれ、自由の身となっている。
「新しく仕事を探すつもりだ。『ロータス』は都会だし、『カウベリー』に比べれば仕事も見つかりやすいと思うんだ」
「お兄様…」
エドガーはああ言っているが、ヒルダはエドガーの今後の事が心配だった。いくら頭が良く、優秀だとしてもエドガーは高校しか卒業していない。
(本当に良い仕事が見つかるのかしら…)
その時、ヒルダの脳裏をよぎったのはノラとコリンの事だった。2人は『ボルト』の工場で劣悪な環境で働かされていた。肺結核により命を落としたノラや…痩せ細り、お腹を空かしていたコリンの事を思い出してしまったのだ。
「どうした?ヒルダ?」
ノワールがヒルダに声を掛けた。
「い、いえ…お兄様が…心配で…」
ヒルダの今にも消え入りそうな声にエドガーが尋ねた。
「心配?俺の事が?」
「はい…」
コクリと頷くヒルダにノワールが言った。
「何も心配する事は無い。当面エドガーの仕事が決まるまでは俺のアシスタントをやってもらうつもりだからな。給料だってちゃんと支払うつもりだし」
「アシスタント…?」
エドガーが首を傾げた。
「ああ、そうだ。小説を書くには色々下調べをしないと書けない事がたくさんあるんだ。時には取材に出る時もある。写真が必要な場合だってあるし…今までは小説を書きながらそれを1人でやっていたけれども、もうすぐ卒業とはいえ俺はまだ学生だ。学業と小説家の両立は中々大変だ。だが、小説を書くのに手伝いをしてくれる人間がいてくれれば俺も大助かりだしな」
ノワールがエドガーとヒルダの顔を交互に見ながら説明する。
「兄さん…そんな事まで考えていてくれたのですか?」
エドガーは声を震わせて尋ねた。
「当り前だ、お前は…俺にとって大切な弟だからな」
「ありがとうございます。兄さん…」
「…」
ヒルダはそんな2人をじっと見つめていた。
(お兄様がフィールズ家の犠牲になったのは…元をただせば私が原因なのだわ。お兄様が『カウベリー』とフィールズ家から解放されたのだから…私はもうお兄様と距離を置くべきよね…だっていくら親子の縁が切れたとしても、私はフィールズ家の人間なのだから…)
ヒルダはテーブルの下で自分の手をギュッと握りしめるのだった―。
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