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9-23 ロイの報告
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午後6時―
コンコン
アリアドネの部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「はーい」
自室で本を読んでいたアリアドネは返事をすると、扉が音を立てて開かれた。
「リアッ!」
「食事を持ってきたよ!」
部屋の中に入ってきたのはミカエルとウリエルだった。2人は料理の乗ったワゴンを押している。
「え?どうしたのですか?御二人とも」
アリアドネは突然現れた2人に驚いた。
「うん、リアは足が不自由で歩けないでしょう?」
「だから僕達でリアの分の料理を運んできたんだよ。一緒に食べよう?
ウリエルとミカエルが口々に言った。
「ミカエル様、ウリエル様…私を気遣ってくださるなんて…ありがとうございます」
2人の心遣いに感動したアリアドネは感謝を述べた。
「それでは準備を致しましょう」
不自由な足で椅子から立ち上がろうとしたアリアドネを2人は止めた。
「あ、待って。リア」
「うん、いいからいいから。僕とウリエルで準備をするからリアは座っていてよ」
「ありがとうございます、ミカエル様、ウリエル様」
アリアドネは頭を下げた。
「よし、ウリエル。それじゃ早速料理をテーブルに並べよう」
「うん!」
そして幼い子供達はワゴンの上の料理をテーブルに並べ始め…その様子をアリアドネは笑みを浮かべながら見つめていた―。
****
「…それで?話とは何だ?」
オズワルドは突然部屋を訪ねてきたロイを椅子に座ったままジロリと見上げた。
「エルウィン様についての報告で参りました」
「ほう…?」
オズワルドの眉があがる。
「初めてじゃないか?お前からエルウィンについての報告があるなど。やはりそれほどまでして護衛騎士を続けたいのか?」
「別に…そういうわけではありません。どんな些細なことでもエルウィン様についての情報は知らせる様にオズワルド様に言われていたからです」
ロイは無表情で答えた。
「ふん…まぁいい。それで?エルウィンについてどんな報告をしにきたのだ?」
「はい。エルウィン様はシュミットにダリウスという名前の領民の素性を調べるように命じていました」
「何?ダリウスだと?」
オズワルドはその名前に反応した。
「…ひょっとして、その名前に心当たりでもあるのですか?」
「いや…別に心当たりは何も無い。それで何故エルウィンはダリウスという人物を調べるように命じたのだ?」
「城主である自分に反抗的な態度を取っているダリウスに不信感を抱いているようでした。自分の評判を知っているくせに…とも話しておりました」
「なる程な…」
「オズワルド様」
「何だ?」
「ダリウスと言う人物はどうやらアリアドネと仲が良かったようです…」
「そうか」
「…」
オズワルドが短く返事をするとロイは何故か黙ってしまった。
「どうした?他に何かあるのか?」
「いえ、何もありません」
「分かった。ならもう下がってよいぞ」
「はい…では失礼します」
頭を下げたロイは踵を返し、部屋を出ていこうとしたその時―。
「待て、ロイ」
背後でオズワルドが呼び止めた。
「何でしょうか?」
「良いか?これからもエルウィンに関する情報を掴んだら、必ず私に報告するのだ。分かったな?」
「はい、分かりました」
ロイは背中を向けたまま返事をすると、そのままオズワルドの部屋を出て行った。
バタン…
扉が閉ざれると、オズワルドは膝を組んだ。
(ロイの奴…大分ダリウスのことを気にしていたようだな…。このまま少し様子をみていることにするか…)
そしてテーブルの上に置いたベルを鳴らした―。
コンコン
アリアドネの部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「はーい」
自室で本を読んでいたアリアドネは返事をすると、扉が音を立てて開かれた。
「リアッ!」
「食事を持ってきたよ!」
部屋の中に入ってきたのはミカエルとウリエルだった。2人は料理の乗ったワゴンを押している。
「え?どうしたのですか?御二人とも」
アリアドネは突然現れた2人に驚いた。
「うん、リアは足が不自由で歩けないでしょう?」
「だから僕達でリアの分の料理を運んできたんだよ。一緒に食べよう?
ウリエルとミカエルが口々に言った。
「ミカエル様、ウリエル様…私を気遣ってくださるなんて…ありがとうございます」
2人の心遣いに感動したアリアドネは感謝を述べた。
「それでは準備を致しましょう」
不自由な足で椅子から立ち上がろうとしたアリアドネを2人は止めた。
「あ、待って。リア」
「うん、いいからいいから。僕とウリエルで準備をするからリアは座っていてよ」
「ありがとうございます、ミカエル様、ウリエル様」
アリアドネは頭を下げた。
「よし、ウリエル。それじゃ早速料理をテーブルに並べよう」
「うん!」
そして幼い子供達はワゴンの上の料理をテーブルに並べ始め…その様子をアリアドネは笑みを浮かべながら見つめていた―。
****
「…それで?話とは何だ?」
オズワルドは突然部屋を訪ねてきたロイを椅子に座ったままジロリと見上げた。
「エルウィン様についての報告で参りました」
「ほう…?」
オズワルドの眉があがる。
「初めてじゃないか?お前からエルウィンについての報告があるなど。やはりそれほどまでして護衛騎士を続けたいのか?」
「別に…そういうわけではありません。どんな些細なことでもエルウィン様についての情報は知らせる様にオズワルド様に言われていたからです」
ロイは無表情で答えた。
「ふん…まぁいい。それで?エルウィンについてどんな報告をしにきたのだ?」
「はい。エルウィン様はシュミットにダリウスという名前の領民の素性を調べるように命じていました」
「何?ダリウスだと?」
オズワルドはその名前に反応した。
「…ひょっとして、その名前に心当たりでもあるのですか?」
「いや…別に心当たりは何も無い。それで何故エルウィンはダリウスという人物を調べるように命じたのだ?」
「城主である自分に反抗的な態度を取っているダリウスに不信感を抱いているようでした。自分の評判を知っているくせに…とも話しておりました」
「なる程な…」
「オズワルド様」
「何だ?」
「ダリウスと言う人物はどうやらアリアドネと仲が良かったようです…」
「そうか」
「…」
オズワルドが短く返事をするとロイは何故か黙ってしまった。
「どうした?他に何かあるのか?」
「いえ、何もありません」
「分かった。ならもう下がってよいぞ」
「はい…では失礼します」
頭を下げたロイは踵を返し、部屋を出ていこうとしたその時―。
「待て、ロイ」
背後でオズワルドが呼び止めた。
「何でしょうか?」
「良いか?これからもエルウィンに関する情報を掴んだら、必ず私に報告するのだ。分かったな?」
「はい、分かりました」
ロイは背中を向けたまま返事をすると、そのままオズワルドの部屋を出て行った。
バタン…
扉が閉ざれると、オズワルドは膝を組んだ。
(ロイの奴…大分ダリウスのことを気にしていたようだな…。このまま少し様子をみていることにするか…)
そしてテーブルの上に置いたベルを鳴らした―。
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