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第1章
第26話 追加の登場人物
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パレットの端に作った赤色が目に留まった。先ほどのピンク髪の令嬢のドレスに使った色だ。わざわざドレスに入れるなら誰かの髪か瞳の色じゃないか?
燃えるような赤で、髪色でも瞳でもちょっと激しいイメージだな。
気分変えというか、思いつきで赤髪の男性を描く。想定は王子様と同じくらいの年齢だけどガタイが良くて、見た目はもう少し年上に見えなくもない感じ。
イメージは騎士だ。
手にするのは槍より剣かな。
騎士服はレオノールさんが着ていた騎士服を参考にさせてもらおう。でもレオノールさんより荒っぽい感じだ。
赤だと火属性っぽいな。兄上や父上とちょっと似たタイプ?
レオノールさんは……、オネエなのかな。
レオノールさんと会った時に思い浮かんだイメージも気になるんだよね。
「ああ!」
僕が描いた男性の髪を赤く塗り始めたら、メイリが身を乗り出して声を上げた。
「赤い髪!……そう!いました!脳筋!」
「脳筋……。ドレスの色に赤が入っていたから、髪色が赤の人を描いてみたんだよ。」
「思い出しました!赤髪の人です。脳筋はあまり好きでなくて忘れてました!」
「……そう……。」
メイリの夢の中の人だけど、残念な言われようだ。あれ?今のは僕が描いた人物が貶されたのか?
ーーー俺は父上に認められて、父上みたいな騎士団長になるんだ!
ーーーライアン様ならきっと成れますわ!ライアン様のお力だけでもきっと!
ーーーそうか。家同士の繋がりがどうとか頼らなくても!俺の実力で!
ーーーそうです!
ーーー騎士団長に!俺はなる!
ーーー素晴らしいです!ライアン様!
ーーーワハハ!王都が一望できる丘に行こう。俺が守る街を見にいくんだ!
また、妙な台詞が思い浮かんできた。ピンク髪の女子が騎士団長子息のライアン君を何か煽ってる。二人で手を取り合って丘の上に向かう絵が思い浮かんだんだけど。
さっきと似たような展開だな。
ふと、二人が丘に向かって歩いていく場面が遠ざかり、それを木の陰から見ている令嬢の姿が思い浮かんだ。大人しそうな雰囲気の令嬢が悲しそうに二人を見つめている。
あれ?リリ嬢?
メイリの話に影響されたかな。ライアン君の婚約者らしきリリ嬢が二人の様子を見ているってイメージだ。
「……クリス兄様は、もしかして私の夢の中を見たのですか?」
「へ?メイリの夢の中を僕が見られるわけないだろう?」
「でも、イメージぴったりです!そうでした!リリ嬢の婚約者が脳筋で!」
「そうなんだ。……メイリが読んだ本の話か何かなのかなぁ。思い出して夢に見たんじゃないの?」
色々台詞や場面が思い浮かんでくるし、メイリが夢にみたという場面と僕のイメージも結構合っている。
小さい頃に読み聞かせてもらった本か何かにあったんじゃないかって気がしてきた。
「そうかも!後でお母様に聞いてみます!本があるなら読んでみたいです!」
「まだメイリが読めない難しい本かもよ。」
「読めますよぅ!」
絵本なら僕もメイリも読んだことを覚えているだろうから、読み聞かせてもらった物語だとしたら、もっと字ばっかりの大人向けの本だろうと思う。
それだとちょっと疑問なのは「シェルたん」とかの妙な呼び名だけど。それは、メイリの夢の中で膨らんだイメージかな。
「マーサ、お母様はまだお戻りにならないの?」
「奥様は、お客様とのお話をされていますので遅くなるかもしれないとのことでした。先にお休みになるようにとおっしゃっておいででしたよ。」
「ええー?」
絵の道具を片付け終わっても、父上と母様はまだ戻ってこない。兄上もまだだ。
そろそろお風呂に入って寝る時間なのに。
そう思ってたら、食堂の扉が開いて兄上が顔を覗かせた。
「お、絵を描いてたのか。」
「ローレン兄様!おかえりなさい。」
メイリが椅子から降りて、兄上に駆け寄っていった。メイリが抱きつくと兄上がメイリの頭を撫でた。
メイリ、僕には抱きついてくれてない気がするんだけど。
「ただいま。……って、本館に居ただけだけどね。」
兄上がくしゃっと笑顔を浮かべる。ちょっと疲れた感じに見える。
燃えるような赤で、髪色でも瞳でもちょっと激しいイメージだな。
気分変えというか、思いつきで赤髪の男性を描く。想定は王子様と同じくらいの年齢だけどガタイが良くて、見た目はもう少し年上に見えなくもない感じ。
イメージは騎士だ。
手にするのは槍より剣かな。
騎士服はレオノールさんが着ていた騎士服を参考にさせてもらおう。でもレオノールさんより荒っぽい感じだ。
赤だと火属性っぽいな。兄上や父上とちょっと似たタイプ?
レオノールさんは……、オネエなのかな。
レオノールさんと会った時に思い浮かんだイメージも気になるんだよね。
「ああ!」
僕が描いた男性の髪を赤く塗り始めたら、メイリが身を乗り出して声を上げた。
「赤い髪!……そう!いました!脳筋!」
「脳筋……。ドレスの色に赤が入っていたから、髪色が赤の人を描いてみたんだよ。」
「思い出しました!赤髪の人です。脳筋はあまり好きでなくて忘れてました!」
「……そう……。」
メイリの夢の中の人だけど、残念な言われようだ。あれ?今のは僕が描いた人物が貶されたのか?
ーーー俺は父上に認められて、父上みたいな騎士団長になるんだ!
ーーーライアン様ならきっと成れますわ!ライアン様のお力だけでもきっと!
ーーーそうか。家同士の繋がりがどうとか頼らなくても!俺の実力で!
ーーーそうです!
ーーー騎士団長に!俺はなる!
ーーー素晴らしいです!ライアン様!
ーーーワハハ!王都が一望できる丘に行こう。俺が守る街を見にいくんだ!
また、妙な台詞が思い浮かんできた。ピンク髪の女子が騎士団長子息のライアン君を何か煽ってる。二人で手を取り合って丘の上に向かう絵が思い浮かんだんだけど。
さっきと似たような展開だな。
ふと、二人が丘に向かって歩いていく場面が遠ざかり、それを木の陰から見ている令嬢の姿が思い浮かんだ。大人しそうな雰囲気の令嬢が悲しそうに二人を見つめている。
あれ?リリ嬢?
メイリの話に影響されたかな。ライアン君の婚約者らしきリリ嬢が二人の様子を見ているってイメージだ。
「……クリス兄様は、もしかして私の夢の中を見たのですか?」
「へ?メイリの夢の中を僕が見られるわけないだろう?」
「でも、イメージぴったりです!そうでした!リリ嬢の婚約者が脳筋で!」
「そうなんだ。……メイリが読んだ本の話か何かなのかなぁ。思い出して夢に見たんじゃないの?」
色々台詞や場面が思い浮かんでくるし、メイリが夢にみたという場面と僕のイメージも結構合っている。
小さい頃に読み聞かせてもらった本か何かにあったんじゃないかって気がしてきた。
「そうかも!後でお母様に聞いてみます!本があるなら読んでみたいです!」
「まだメイリが読めない難しい本かもよ。」
「読めますよぅ!」
絵本なら僕もメイリも読んだことを覚えているだろうから、読み聞かせてもらった物語だとしたら、もっと字ばっかりの大人向けの本だろうと思う。
それだとちょっと疑問なのは「シェルたん」とかの妙な呼び名だけど。それは、メイリの夢の中で膨らんだイメージかな。
「マーサ、お母様はまだお戻りにならないの?」
「奥様は、お客様とのお話をされていますので遅くなるかもしれないとのことでした。先にお休みになるようにとおっしゃっておいででしたよ。」
「ええー?」
絵の道具を片付け終わっても、父上と母様はまだ戻ってこない。兄上もまだだ。
そろそろお風呂に入って寝る時間なのに。
そう思ってたら、食堂の扉が開いて兄上が顔を覗かせた。
「お、絵を描いてたのか。」
「ローレン兄様!おかえりなさい。」
メイリが椅子から降りて、兄上に駆け寄っていった。メイリが抱きつくと兄上がメイリの頭を撫でた。
メイリ、僕には抱きついてくれてない気がするんだけど。
「ただいま。……って、本館に居ただけだけどね。」
兄上がくしゃっと笑顔を浮かべる。ちょっと疲れた感じに見える。
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