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第1章
第177話 二人の問題だけど
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兄上はゆっくりと振り向き、僕を見つめながら首を傾げた。
「どうした?」
「……ハロルド君とシェリル嬢のこと、あのままじゃ、、まずいかも……」
「今の庭園の会話?……うーん、プライベートな話だから放っておくしかないと思うよ」
兄上は少し身を屈めて僕の両肩に手を置いた。
「気になるのはわかるけど、あの二人の問題だからね」
僕の目を見つめ、諭すようにニコリと微笑む兄上。兄上の言うことはその通りなんだけど、やっぱりこのままにして良いのかと考えてしまう。無理にハロルド君とシェリル嬢をくっつけようとかって話ではない。ざわつく気持ちをどう伝えたら良いんだろう。
「でも……。夢で見たんだ。シェリル嬢に弟さんができたら、シェリル嬢は……」
「夢か……」
どう伝えようか迷いながら絞り出すように僕が言うと、兄上は考え込むように俯いて、指先で顎を撫でた。ほんの数秒で顔をあげ、庭園の奥の先ほど灯りが動いていた辺りに目を向けた。
「……夢で見たってことは何か意味があるかもしれないね。……気になることは言っておいた方が良いかもな。明日にも領地に帰るかもしれないなら、言うなら今言っておいた方が良いかもしれない」
「……明日帰るのかな……」
「それは聞いてないけどな」
兄上が肩を竦めた。明日か明後日帰るかもって言う話も気にはなる。狩りの訓練は終わりって言ってたから、そろそろ帰るんだろうけど出発の日にちは誰が決めてどこまで話が通ってるんだろうか。食事の準備だってあるんだから、しっかり予定を決めて欲しい。ジャックだって困っちゃうよ。
だけど、今はシェリル嬢とハロルド君の間の話が先だ。
本館の正面玄関に入り、広間に向かう。広間から庭園に出入りができるから。シェリル嬢とハロルド君も広間を経由して庭園に出たんじゃ無いかと考えている。
広間の入り口は特に警備されていなかったけど、広間から庭園に出る場所には騎士が立っていた。
ハロルド君の家の騎士だ。僕と兄上が広間に入ると、じろりと鋭い目線を向けてきた。
「こんばんは。テッセン伯爵令息を見かけませんでしたか?」
兄上が、余裕のある微笑みを浮かべて騎士に尋ねた。
騎士が眉を顰めた。
「ハロルド様は今はお話中です」
「そうなんですね。すみませんが、ちょっと急ぎなんです。明日の朝のネイサン殿下も交えた訓練のことで……」
兄上がサラッと適当なことを言った。
騎士がピクッと肩を揺らした。殿下の名前を言ったからかな。
あっさりと脇によけて、庭園へ通してくれた。
「明日の訓練の話は、本当に話したいことではあるんだよな」
庭園に足を踏み入れ、広間の明かりが届かない薄暗い場所まで来て兄上が言った。
「そうなんだ」
てっきり、庭園に入るための出任せかと思ったら、違っていたらしい。
「今日みたいなのをもう一度やって終わったら、微妙だろ」
「うーん……」
また、ハロルド君が手加減して……ってやつ。殿下が手加減に気がついているなら確かに気まずいよね。兄上は何か良いアイデアがあるのかな。
「どうした?」
「……ハロルド君とシェリル嬢のこと、あのままじゃ、、まずいかも……」
「今の庭園の会話?……うーん、プライベートな話だから放っておくしかないと思うよ」
兄上は少し身を屈めて僕の両肩に手を置いた。
「気になるのはわかるけど、あの二人の問題だからね」
僕の目を見つめ、諭すようにニコリと微笑む兄上。兄上の言うことはその通りなんだけど、やっぱりこのままにして良いのかと考えてしまう。無理にハロルド君とシェリル嬢をくっつけようとかって話ではない。ざわつく気持ちをどう伝えたら良いんだろう。
「でも……。夢で見たんだ。シェリル嬢に弟さんができたら、シェリル嬢は……」
「夢か……」
どう伝えようか迷いながら絞り出すように僕が言うと、兄上は考え込むように俯いて、指先で顎を撫でた。ほんの数秒で顔をあげ、庭園の奥の先ほど灯りが動いていた辺りに目を向けた。
「……夢で見たってことは何か意味があるかもしれないね。……気になることは言っておいた方が良いかもな。明日にも領地に帰るかもしれないなら、言うなら今言っておいた方が良いかもしれない」
「……明日帰るのかな……」
「それは聞いてないけどな」
兄上が肩を竦めた。明日か明後日帰るかもって言う話も気にはなる。狩りの訓練は終わりって言ってたから、そろそろ帰るんだろうけど出発の日にちは誰が決めてどこまで話が通ってるんだろうか。食事の準備だってあるんだから、しっかり予定を決めて欲しい。ジャックだって困っちゃうよ。
だけど、今はシェリル嬢とハロルド君の間の話が先だ。
本館の正面玄関に入り、広間に向かう。広間から庭園に出入りができるから。シェリル嬢とハロルド君も広間を経由して庭園に出たんじゃ無いかと考えている。
広間の入り口は特に警備されていなかったけど、広間から庭園に出る場所には騎士が立っていた。
ハロルド君の家の騎士だ。僕と兄上が広間に入ると、じろりと鋭い目線を向けてきた。
「こんばんは。テッセン伯爵令息を見かけませんでしたか?」
兄上が、余裕のある微笑みを浮かべて騎士に尋ねた。
騎士が眉を顰めた。
「ハロルド様は今はお話中です」
「そうなんですね。すみませんが、ちょっと急ぎなんです。明日の朝のネイサン殿下も交えた訓練のことで……」
兄上がサラッと適当なことを言った。
騎士がピクッと肩を揺らした。殿下の名前を言ったからかな。
あっさりと脇によけて、庭園へ通してくれた。
「明日の訓練の話は、本当に話したいことではあるんだよな」
庭園に足を踏み入れ、広間の明かりが届かない薄暗い場所まで来て兄上が言った。
「そうなんだ」
てっきり、庭園に入るための出任せかと思ったら、違っていたらしい。
「今日みたいなのをもう一度やって終わったら、微妙だろ」
「うーん……」
また、ハロルド君が手加減して……ってやつ。殿下が手加減に気がついているなら確かに気まずいよね。兄上は何か良いアイデアがあるのかな。
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