【完結】私、実はサレ妻でした。

水沼早紀

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②崩れ落ちた日常

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「……ん?」 

 何かしら、これは……?
 
 夫の書斎の掃除を始めていくうちに、私は不思議な゙ある物゙を見つけてしまった。
 
「……レシート?」

 何のレシートかしら?……え、でもレシートはゴミだから、捨ててもいいわよね?
 なんて気持ちを持っていたけど、そのレシートを見て違和感を感じてしまった。

 ーーーん?



「……HOTEL ラブリー?」

 えっ、このレシートってもしかしてーーー。

「ラブ……ホテル?」

 このレシートはどう見ても、ラブホテルのレシートだ。
 気になっていた、そのレシートに書いている日付を確認してみるとーーー。

「4月10日……?」
 
 ちょっと待って、4月10日ってーーー。

 このラブホテルに行ったと思われる日付の4月10日は、私たち家族がバイキングを食べに行く日だった。
 だけど夫は、急に取引先との接待が入ってしまって行けなくなってしまった、と言ってきた日だ。
 
 子供たちも残念そうな表情をしていて「え~! パパ!バイキング、行けないの?」と言っていたのを、今でも覚えている。

 ーーー何かがおかしい。
 取引先との接待でバイキングに行けなくなってしまった、と言っていたのに。
 なのになぜその日、ラブホテルに行ったと思われるレシートがこんな所にあるのかしら……?

 しかもこのラブホテルのレシートに書かれている時間は、4月10日の午後15時からとなっている。
 チェックアウトしたのは、その日の夜19時過ぎとなっていた。   



「……もしかしてこれ、浮気ってこと?」

 夫は、私たちの予定を嘘をついてドタキャンした挙句、誰か他の女と浮気してたってことよね?
 
「……何それ、許せないわ」
  
 私たち家族という存在がいるのに、夫は浮気してるってこと?
 しかも嘘ついてまで、その女と会っているーーー。



 しかもこの浮気は、つい二ヶ月前のことだ。
 まさかこんな二ヶ月前に、私は浮気されていたということになる。

「……何でよ」
 
 あの人は、私じゃ物足りないって言うの? 

「っ……」

 そんなことを考えているうちに、私は手に持っていたそのレシートをクシャッと握りつぶしていた。

「……あなた、私の何がイケないって言うの?」

 教えてよ、あなた。私はちゃんとあなたのために尽くしてるつもりよ。
 家事もこなして、子育てだってちゃんとやってるわ。

 あなたが私を抱きたいと言えば、私はあなたに抱かれてだっている。
 子供がいても、夫婦の時間はちゃんと大切にしてるつもりだったわ。 誕生日も結婚記念日も、あなたが毎年お祝いしてくれているから、私はすごく嬉しかったのに。

 クリスマスのプレゼントだって、毎年お互いにちゃんと用意してたのに。
 あなたからの愛をたくさんもらって、すごく愛されていると、そう思っていたのにーーー。

「……何で浮気なんて、するのよ」
  
 あなたは浮気なんてする人じゃないって、家族を大切にしてくれる人だって、信じてたのにーーー。



「……私は、あなたの何なの?」

 私が悪いの? 私のせいであなたは、浮気なんてしてしまったの?
 私の何が悪かったって言うの?
 
「っ……許せない」

 私は今でもあなたのこと、こんなにも愛してるのに……。
 夫婦として、家族として、とても愛してるのにーーー。

「もう……信じられない」

 あなたのせいよ、あなたのーーー。
 私と子供たちを裏切ったこと、私は絶対に許さないからーーー。



 
「ただいま~」

「ママ~お腹空いた!」

「ママ~ボクもお腹空いた!」

 いつの間にかお昼になり、夫と子供たちは元気よく帰ってきた。

「……あ、おかえりなさい」

 やだもう、こんな時間だったんだ……。ボーッとしすぎてしまった。

「どうした?ママ」

 夫が不思議そうに顔をのぞき込んでくる。

「……ううん。なんでもないわ」

 夫の浮気をついさっき知ってしまった私は、どんな顔で夫と過ごせばいいのか分からない。
 子供には罪はないから、子供に当たることはしない。

「お腹空いたでしょ?オムライスでも作ろうか」

「やった!ボクオムライスだーいすき!」

「ボクも!」

 子供たちはオムライスに大はしゃぎの様子だ。

「ママ、俺も何か手伝うよ?」

「……え? あ、いいよ。座ってて」

 今は夫のそばには、いたくない。
 今一緒にいたら、夫を責めてしまいそうで怖い。
 
「そう?何か手伝うことあったら言ってくれよ?」

「う、うん。……ありがとうパパ」
 
 私はすぐにオムライス作りに取り掛かった。
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