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第二十一章 悪魔は嗤う
仲間外れにしないでください
しおりを挟む「喉渇きましたよね」
「勝手に使っていいのでしょうか?」
今いる部屋には食器棚や色んな種類の茶葉がある。クロエ様は飲み物を出てないのに気付いて食器棚に手をかける。
私は慌てて立ち上がり、制止した。
エレノアさんの留守中に部屋を使っていいと言われたとしても部屋をなので、勝手に食器を使っていいものか抵抗ある。
「良いんですよ。だってほら」
クロエ様は私に文字が書いてある羊皮紙を見せる。
両手で受け取ると内容を確認した。
『自由に使って良いですからね』と、語尾にハートマークをつけて書いてあった。
「それなら直接言ってても良いような」
「滅多に人は来ない所なので、いつ客人が来て、留守の時の為に置き手紙は常に置いといてるみたいですよ」
「そうなんですね」
私は羊皮紙を見ながらも苦笑した。
クロエ様は慣れた手付きで紅茶の準備をする。私も手伝おうか聞いたら大丈夫だと言われたのでソファに座った。
準備が出来たのか、テーブルに近付き、私の前にソーサーとティーカップを置くと、ティーポットで紅茶を注ぐ。
湯気が立ち上り、良い匂いがする。クロエ様は優しい口調で「お熱いのでお気を付けて」と言い、自分の分の紅茶を用意して向かいのソファに座る。
私は紅茶を飲もうとしたら、
クロエ様が「ところで」と口を開くと、一呼吸置いてから続きを話しはじめる。
「アレン王太子殿下には、直接聞かないんですか?」
「!!!!!?」
私が飲み込もうとした紅茶を思わず噴き出しそうになったのを必死に堪えたら変なところに入ってしまいむせた。
「ゴホッゴホッ。なっ、……え!?」
「す、すみません。そんなに驚くとは思わなかったもので」
クロエ様は慌てて私の元に駆け寄り背中を撫でる。
しばらくして落ち着いてから、ゆっくりと口を開いた。
「......婚約者がいるとは思えません。だったら、私にあんな事は言わない、筈なんです」
「あんな事?」
「あっ......その」
そういえば、クロエ様は私の事を推しだと言っていた。
推しでも色んな感情がある。
クロエ様はどういった感情を私に向けてるのかよく分かってないからイタズラに感情を弄ぶような言動はしたくはない。
戸惑っていると、クロエ様は苦笑して話を変えた。
「言いずらかったら、大丈夫ですよ。それよりも気になることがあります。恐らく、ディビッド様は悪魔と契約してる可能性が高いかと。それならば急な噂の拡張と行動にも納得がいきます」
「ディビッド様が!!? 大変じゃないですか!?」
「いやですが、それはあくまで推測に過ぎません。もっと確実な証拠を……って、ソフィア様!!!?」
私は立ち上がり、走り出そうとしたらクロエ様に手を掴まれて止められた。
「調べますのでソフィア様は待っていてください。危険ですから」
「危険……ですか。そうでしょうね。私は常に死亡フラグが立っているんです。だからこそ、自分を守れるように周りを守れるようにと自分の魔力と向き合ってきたんです。いつまでもか弱いと思わないでください。それに、私のやり方で調べてみますので、仲間外れにしないでください」
私はクロエ様の顔を見るとニコッと笑う。クロエ様は苦虫を噛み潰したような顔をすると、息を吐く。
「すみません。過保護過ぎましたね。わかりました。それならば絶対にアレン王太子殿下にも相談してください」
「どうして?」
「……ソフィア様に何かあると、殿下に怒られるだけじゃ済まなさそうですし。それに、相談しないと拗ねるかもしれませんからね」
「そうですよね。いつも気にかけてくださってるのに、相談しないと仲間外れにされてる気分になって嫌ですものね」
「そういうことじゃないけど、そういうことにしときます」
「?」
クロエ様が何が言いたいのかよく分からず首を傾げると、「なんでもありません」と言い、手を離してくれた。
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