乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第四章 『対話』する方法を見つけました!

勝負しろって言われても

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あの、これは?」
「これって、ケーキだろ」
「いえ、そういうことを言ってるわけでは」

 サロンでイアン様と向かい合って座っている。
 テーブルには大量のケーキ。

 イアン様は、なにやら鼻歌を唄っていて、上機嫌のようだ。

 そういえばイアン様って甘党だっけ。ゲームでよく主人公ヒロインがお菓子を渡してたな。

「おっし! んじゃ、準備はいいか。はじめるぞ」

 だから、なにが?

 今からちょっとしたパーティでもはじまるの。
 でも、勝負しろって言われたけど……。

 もしかして大食いですか、そうなのですか。

「え、えぇーっと。その前にちゃんと説明してほしいのですが」
「ああ。俺はお前に借りを返す。でも剣だと俺が有利になる。平等がいいと思って、ケーキ早食い対決にした」
「はぁ」

 借りって、多分私が困惑して蹴ったことを根に持ってるのね。

 あれは申し訳なかった。
 ここでやらないって言ったら、怒るよね。

 私は渋々頷いて、そのケーキ早食い対決を了承しようとしたが、私は絶対にイアン様に勝てない。

 かといって、ハンデをお願いするのは少し抵抗がある。

「イアン様はどうしてケーキ早食い対決にしようと思ったんでしょう? ほかにいろいろとあったはずですが」
「お前、甘党じゃないのか。オリヴァーから聞いたんだが」

 オリヴァーさん……。あんた、余計なことを。

「……やりましょう」

 私はイアン様のケーキ早食い対決を了承した。

 正直、やらないと今よりも睨まれそうな気がする。

 子猫の時は可愛かったのにな。

 なんで子猫の時、あんなに懐いてくれたんだろうか。

 謎だ。


 ーーーーーーーーーー


 三十分後、お腹が膨れてギブアップしたのは……。


 もちろん、私。……ではなく、イアン様。

 この流れだと私が先にギブアップしたと思うだろう。

 でも違った。

 イアン様はあまり体調がよろしくなかったんだ。

 それか、手加減してくれた。

 そうとしか思えない。だって私、少食よ。

 太るために沢山食べるようになってから前よりは食べられるようになったけど。

 めっちゃ悔しそうにこっちを睨んでる。

 そんな顔で見ないでください。
 元はといえば、私が蹴ってしまったからよね。

 やってしまったことはどうすることも出来ない。
 記憶から消せないのかな。こう、頭に衝撃を与えるとか。

 いっその事無かったことにしてしまいたい。

「……つ」

 睨んで来ていたイアン様が口を開いたので私は思わず息をのむ。

 なにを言われるんだろうと身構えてしまう。

「次こそは俺が勝つ。が、ノエルの言うとおりな奴だな。お前」

 私は、予想外な言葉に戸惑った。え、何。怒ってないの?

「なんだ。間抜けな顔して」
「……怒ってるものかと思ってたので、その」
「ああ。負けたのは悔しいが、そんくらいで怒るわけがない。俺をなんだと思ってんだよ」
「いや、だって」

 この間からめっちゃ睨んできてたじゃん。
 俺はお前に恨みがあるみたいな感じで憎悪むき出しにしてたじゃん。

「……もしかしてあの事気にしてんの? 俺、そんなに心狭くないんだけど」
「だって、酷いことを……」
「かわせなかった俺も悪い。女だからって油断してた」

 あれは事故だよと、イアン様は言う。

 イアン様やアレン殿下を見てると、考えが大人なのよね。
 いや、私の精神年齢が子供なのだろうけど。

「イアン様は大人ですね」

 私はつい思ってることを言ってしまった。
 イアン様は「……お前が思ってるほど、大人じゃない」と、少し寂しそうな顔をする。

「あっ、そうです! イアン様」

 私は立ち上がると、イアン様は驚いた顔をする。

「私に剣術教えてくれませんか?」

 話をわざとらしく逸らしたかもしれないと後悔したが、イアン様は了承してくれた。

 なんというか、イアン様の悲しい顔は見たくないと思ってしまった。

 正直、運動はしたくないけど……剣術を覚える良い機会だと思った。

 それにしてもノエルは、私のことをどんな風に伝えているんだか。

 
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