53 / 240
第五章 庭師『クラレンス』
夢と現実【アレン視点
しおりを挟む
今から二週間前。
俺は奇妙な夢を見たんだ。それは前にも見たことがある。だが、そこは曖昧だ。
なにせ夢の世界はとてもぼんやりとしている。
その夢はベネチアンマスクをつけている男にソフィア嬢と、幼い子供達が魔法陣の中にいるというもの。
ソフィア嬢は堂々とした振る舞いをしていたが、その態度は好ましくなかった。
というのも、横暴な発言が目立つんだ。
それは俺・が・知・っ・て・る・ソフィア嬢ではなかった。
その夢を見始めるようになってから毎晩のように夢を見るようになった。その内容もはっきりとまではいかないが、覚えている。
今までの夢の内容を整理すると、俺は何回も同じ人生を歩んでいるということ。それも一度や二度じゃない。もう何十回、何百回と繰り返している。
そして、必ずソフィア嬢を処刑したり、追放していた。
その夢のソフィア嬢は現実のソフィア嬢とは真逆の性格だったんだ。
そんなソフィア嬢を嫌っていたが、俺の不注意でつけてしまった傷の責任を取るために婚約した。
ソフィア嬢の振る舞いは目に余るものが多かったので何回も指摘したのだが、ソフィア嬢は斜め横に解釈してしまい拗れることが多かった。
理由まで説明したのに、だ。彼女の言い分を聞くと「わたくしがお嫌いなのですか!?」「貴族の血が流れてないから殿下はわたくしに冷たくされるのですね!? わたくしはこんなにも愛しているというのに」と、このありさま。
そもそも王族にそんな口の利き方したらすぐに侮辱罪になりかねないのだが、俺はいつも二人になった時に指摘をする。
なので、聞いている人が居ないから罪になることはない。
ソフィア嬢のことで頭を悩ましていた。
そんなある日のこと。
気品は無いものの、何事も一生懸命に取り組み、笑顔が素敵な女性に出会った。
運命の人とは、こういう人のことを言うのだろう。
その時に確信した。だが、ソフィア嬢は俺がその子に気があると疑った。
俺に直接言うならまだ良かったのだが、ソフィア嬢はその子に陰湿な嫌がらせを始めたんだ。
命に関わることをしようとしたソフィア嬢を俺は殺した。息絶える間際、俺に呪いの言葉を浴びせた。
それからだ。
俺が同じ人生を歩み始めたのは。
前の記憶は、成長につれ不意に思い出す。
思い出した時にはすでに遅いということが何回もあった。
それが何十回も続いたある日、ソフィア嬢がこの無限に繰り返される人生と関係があると考えた。
そこで俺はこんな約束をした。「約束してほしい。人の痛みや苦しみを理解し、耳を傾けられるような貴婦人になってほしい」
それは勝手な願いだ。
ソフィア嬢は、自分に傷をつけ、婚約させられたのになにを言うのだろう。と、怒るのではないかと内心ヒヤヒヤしたが、これ以上ソフィア嬢を好き勝手にさせる訳にはいかなかった。
ソフィア嬢は唖然とした後「そんなことですの?」
と、そんなことは簡単だとでも思ったのだろう。
だけど、きっと本人は気付いていない。思いやりがないということに。
結局は一度もその約束を守らずに禁忌を犯してしまった。
全くもって救いようがない。
その夢は妙にリアルだから、現実と夢の区別が付かなくなりそうだ。
だが、今回のあの一件でこれは予知夢なのではと思い始めた。
あの一件とは、カース殿が犯した一件だ。俺は何が起こるのか夢で見ていたから作戦も立てやすかった。
これはたまたまなのだろう。そう思ったが、たまたまにしてはあんなにうまくいくとは思わなかった。
思わぬハプニングはあった。
それは、ソフィア嬢の行動だ。
彼女の行動は全く、夢とは違っていたのだから。
俺はソフィア嬢を利用するために婚約しようとした。
でも、ソフィア嬢は婚約を望まない。
それは俺のことが嫌いだから、ということでは無さそうだ。
最初は恋をしてようがしてまいが、嫌われようがなんだって良かったんだ。婚約をして、結婚をして仮面夫婦になろうが。
少なくとも今はソフィア嬢に嫌われたくないと思ってる。だからこそ、ソフィア嬢の気持ちを尊重したい。
この感情は恋というよりも友に近いだろうが、ソフィア嬢とほとんど歳が変わらない異性が彼女に近付いて仲良く話してるのを見ると邪魔してしまいたくなる。
恋人でもないのに、不思議だ。
それに彼女と居ると楽しいし、面白い。
なによりもドジをすると少し頬を染めて照れるところが可愛い。
俺のことを警戒しているが、それも最近では少しだけ警戒を解いてくれているから少しは仲良くなっているんだろう。
ソフィア嬢とノア殿がカース殿のことに関して話してるのを聞きながら、そんなことを思っていたんだ。
残酷な予知夢を見ないことを祈ろう。
ソフィア嬢は良くも悪くも今のままが一番だ。
俺は奇妙な夢を見たんだ。それは前にも見たことがある。だが、そこは曖昧だ。
なにせ夢の世界はとてもぼんやりとしている。
その夢はベネチアンマスクをつけている男にソフィア嬢と、幼い子供達が魔法陣の中にいるというもの。
ソフィア嬢は堂々とした振る舞いをしていたが、その態度は好ましくなかった。
というのも、横暴な発言が目立つんだ。
それは俺・が・知・っ・て・る・ソフィア嬢ではなかった。
その夢を見始めるようになってから毎晩のように夢を見るようになった。その内容もはっきりとまではいかないが、覚えている。
今までの夢の内容を整理すると、俺は何回も同じ人生を歩んでいるということ。それも一度や二度じゃない。もう何十回、何百回と繰り返している。
そして、必ずソフィア嬢を処刑したり、追放していた。
その夢のソフィア嬢は現実のソフィア嬢とは真逆の性格だったんだ。
そんなソフィア嬢を嫌っていたが、俺の不注意でつけてしまった傷の責任を取るために婚約した。
ソフィア嬢の振る舞いは目に余るものが多かったので何回も指摘したのだが、ソフィア嬢は斜め横に解釈してしまい拗れることが多かった。
理由まで説明したのに、だ。彼女の言い分を聞くと「わたくしがお嫌いなのですか!?」「貴族の血が流れてないから殿下はわたくしに冷たくされるのですね!? わたくしはこんなにも愛しているというのに」と、このありさま。
そもそも王族にそんな口の利き方したらすぐに侮辱罪になりかねないのだが、俺はいつも二人になった時に指摘をする。
なので、聞いている人が居ないから罪になることはない。
ソフィア嬢のことで頭を悩ましていた。
そんなある日のこと。
気品は無いものの、何事も一生懸命に取り組み、笑顔が素敵な女性に出会った。
運命の人とは、こういう人のことを言うのだろう。
その時に確信した。だが、ソフィア嬢は俺がその子に気があると疑った。
俺に直接言うならまだ良かったのだが、ソフィア嬢はその子に陰湿な嫌がらせを始めたんだ。
命に関わることをしようとしたソフィア嬢を俺は殺した。息絶える間際、俺に呪いの言葉を浴びせた。
それからだ。
俺が同じ人生を歩み始めたのは。
前の記憶は、成長につれ不意に思い出す。
思い出した時にはすでに遅いということが何回もあった。
それが何十回も続いたある日、ソフィア嬢がこの無限に繰り返される人生と関係があると考えた。
そこで俺はこんな約束をした。「約束してほしい。人の痛みや苦しみを理解し、耳を傾けられるような貴婦人になってほしい」
それは勝手な願いだ。
ソフィア嬢は、自分に傷をつけ、婚約させられたのになにを言うのだろう。と、怒るのではないかと内心ヒヤヒヤしたが、これ以上ソフィア嬢を好き勝手にさせる訳にはいかなかった。
ソフィア嬢は唖然とした後「そんなことですの?」
と、そんなことは簡単だとでも思ったのだろう。
だけど、きっと本人は気付いていない。思いやりがないということに。
結局は一度もその約束を守らずに禁忌を犯してしまった。
全くもって救いようがない。
その夢は妙にリアルだから、現実と夢の区別が付かなくなりそうだ。
だが、今回のあの一件でこれは予知夢なのではと思い始めた。
あの一件とは、カース殿が犯した一件だ。俺は何が起こるのか夢で見ていたから作戦も立てやすかった。
これはたまたまなのだろう。そう思ったが、たまたまにしてはあんなにうまくいくとは思わなかった。
思わぬハプニングはあった。
それは、ソフィア嬢の行動だ。
彼女の行動は全く、夢とは違っていたのだから。
俺はソフィア嬢を利用するために婚約しようとした。
でも、ソフィア嬢は婚約を望まない。
それは俺のことが嫌いだから、ということでは無さそうだ。
最初は恋をしてようがしてまいが、嫌われようがなんだって良かったんだ。婚約をして、結婚をして仮面夫婦になろうが。
少なくとも今はソフィア嬢に嫌われたくないと思ってる。だからこそ、ソフィア嬢の気持ちを尊重したい。
この感情は恋というよりも友に近いだろうが、ソフィア嬢とほとんど歳が変わらない異性が彼女に近付いて仲良く話してるのを見ると邪魔してしまいたくなる。
恋人でもないのに、不思議だ。
それに彼女と居ると楽しいし、面白い。
なによりもドジをすると少し頬を染めて照れるところが可愛い。
俺のことを警戒しているが、それも最近では少しだけ警戒を解いてくれているから少しは仲良くなっているんだろう。
ソフィア嬢とノア殿がカース殿のことに関して話してるのを聞きながら、そんなことを思っていたんだ。
残酷な予知夢を見ないことを祈ろう。
ソフィア嬢は良くも悪くも今のままが一番だ。
15
あなたにおすすめの小説
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ
いつき
恋愛
身近に最上の推しがいたら、例え結ばれなくても人参をぶら下げた馬にでもなると言うものですよね?
両親を喪い平民から貴族になると同時に、前世で見た乙女ゲーム系アニメの最推しが義兄になったレンファラン
貴族の子女として家の為に婚姻?
前世の記憶で領の発展に貢献?
推しの役に立ちたいし、アニメ通りの婚約破棄だけは避けたいところだけれど…
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる