乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第九章 私にとっての【推し】とは?

精霊と人間とでは、感覚が違う

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 修行は今日はお休みで、庭を散歩中。

 私の隣にはアイリスが一緒に歩いていて、その数メートル後にはオリヴァーさんがついて来る。

「……花を見るのが楽しいとか、ワシにはわからぬのぉ」

 私の肩に乗っていた小型ドラゴンの姿のシーアさんが退屈そうに声を出す。

「綺麗じゃないですか」
「……ワシには、そうは思わぬ」

 シーアさんは人ではなく、精霊。感覚や感情も人は少し違うのかも。

 ゲームでも不思議な者だったけど。

 私はシーアさんとは関わりを持たないと思ってたけど、こんな形で関わることになるとは思わなかった。

「ソフィア様?」

 シーアさんとコソコソと話していたらアイリスが不思議そうに首を傾げた。

 アイリスには、シーアさんの姿が見えなかったんだった。

「ううん。なんでもない」

 私はアイリスに微笑んだ後、白薔薇を見る。

 庭に咲き誇る白い薔薇。なんの汚れもないその薔薇が創りものだとは思わなかった。

 中には本物の薔薇もあるらしいけど、私には創りものなのか本物なのかの見分けがつかない。

 だって、クオリティが高いんだ。創りものなのだと言われるまで気にもしなかったもの。

 転生するなら平民の方が良かったのかな……なんて。

 もう何度も思ったこと。転生するなら死亡フラグがなく、幸せな生活が良かったと。

 ……でもわかってる。

 死亡フラグがない人生はないということを。

 後悔して、弱気になることもあるけど……ちょっとしたことでこ・の・世・界・に・転・生・し・て・良・か・っ・た・と思ってしまう。

 我ながら矛盾してる。

「あっ、ノア先生!?」

 ため息をしたらノア先生が白薔薇をいじっているのを見てしまい思わず声をかけてしまった。

 見てはいけないものを見てしまった気がしたが、ノア先生は私に気付くと近寄ってきた。

「これはソフィア様」
「あっ、……えっと」

 用もないのに声をかけてしまったからなんて話そうかと悩んでいたらノア先生が話し出した。

「この薔薇たちも一つ一つが若干違うんです。面白いですよね」

 クスッと微笑んだノア先生は、綺麗な人だなって見惚れてしまう。

 この人が男性だということを忘れてしまいそうな美貌だ。

 そういえば、ノア先生は庭師のクラレンスさんと仲が良かったっけ。
 言葉にしてないだけで寂しいんだろうな。

 私も、最初の頃は死んだって実感なかった。
 でも日に日に居ないんだなって思い始めるようになって……。
 ものすごく寂しかった。

 きっと、ノア先生も私以上に悲んでいるんだろう。

「お主がそんな花好きだとは思わなかったぞ」

 私の肩に乗っているシーアさんが口を開くとノア先生はその声が聞こえたのか私の肩を見る。

「あなたは!?」

 驚いたように目を開くと、ガシッとシーアさんを掴んで、ブンブンと揺さぶる。

「どうしてあなたが!? なぜソフィア様の肩に!? そのお姿は!!?」

 シーアさんは勢いよく揺さぶられてるから目が渦巻いているし、多分遠心力がかかったように首が外に引っ張られてる感じなんだろうな。

「ノ、ノア先生。その辺に」

 こんな動揺したノア先生を見るのは初めてだから新鮮だけど、もうそろそろ助けないとシーアさんが大変なことになりそうだと思った私は止めた。

 はっ!? っと、我に返ったノア先生は一回咳払いした後、普段通りの接し方に戻った。

「これは失礼しました。少し、ソフィア様と話したいのですが……よろしいですか?」
「はい。もちろんです」

 ノア先生はアイリスに聞く。

アイリスはぺこりとお辞儀をした後、早急にその場から離れていった。




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