79 / 236
第九章 私にとっての【推し】とは?
精霊と人間とでは、感覚が違う
しおりを挟む
修行は今日はお休みで、庭を散歩中。
私の隣にはアイリスが一緒に歩いていて、その数メートル後にはオリヴァーさんがついて来る。
「……花を見るのが楽しいとか、ワシにはわからぬのぉ」
私の肩に乗っていた小型ドラゴンの姿のシーアさんが退屈そうに声を出す。
「綺麗じゃないですか」
「……ワシには、そうは思わぬ」
シーアさんは人ではなく、精霊。感覚や感情も人は少し違うのかも。
ゲームでも不思議な者だったけど。
私はシーアさんとは関わりを持たないと思ってたけど、こんな形で関わることになるとは思わなかった。
「ソフィア様?」
シーアさんとコソコソと話していたらアイリスが不思議そうに首を傾げた。
アイリスには、シーアさんの姿が見えなかったんだった。
「ううん。なんでもない」
私はアイリスに微笑んだ後、白薔薇を見る。
庭に咲き誇る白い薔薇。なんの汚れもないその薔薇が創りものだとは思わなかった。
中には本物の薔薇もあるらしいけど、私には創りものなのか本物なのかの見分けがつかない。
だって、クオリティが高いんだ。創りものなのだと言われるまで気にもしなかったもの。
転生するなら平民の方が良かったのかな……なんて。
もう何度も思ったこと。転生するなら死亡フラグがなく、幸せな生活が良かったと。
……でもわかってる。
死亡フラグがない人生はないということを。
後悔して、弱気になることもあるけど……ちょっとしたことでこ・の・世・界・に・転・生・し・て・良・か・っ・た・と思ってしまう。
我ながら矛盾してる。
「あっ、ノア先生!?」
ため息をしたらノア先生が白薔薇をいじっているのを見てしまい思わず声をかけてしまった。
見てはいけないものを見てしまった気がしたが、ノア先生は私に気付くと近寄ってきた。
「これはソフィア様」
「あっ、……えっと」
用もないのに声をかけてしまったからなんて話そうかと悩んでいたらノア先生が話し出した。
「この薔薇たちも一つ一つが若干違うんです。面白いですよね」
クスッと微笑んだノア先生は、綺麗な人だなって見惚れてしまう。
この人が男性だということを忘れてしまいそうな美貌だ。
そういえば、ノア先生は庭師のクラレンスさんと仲が良かったっけ。
言葉にしてないだけで寂しいんだろうな。
私も、最初の頃は死んだって実感なかった。
でも日に日に居ないんだなって思い始めるようになって……。
ものすごく寂しかった。
きっと、ノア先生も私以上に悲んでいるんだろう。
「お主がそんな花好きだとは思わなかったぞ」
私の肩に乗っているシーアさんが口を開くとノア先生はその声が聞こえたのか私の肩を見る。
「あなたは!?」
驚いたように目を開くと、ガシッとシーアさんを掴んで、ブンブンと揺さぶる。
「どうしてあなたが!? なぜソフィア様の肩に!? そのお姿は!!?」
シーアさんは勢いよく揺さぶられてるから目が渦巻いているし、多分遠心力がかかったように首が外に引っ張られてる感じなんだろうな。
「ノ、ノア先生。その辺に」
こんな動揺したノア先生を見るのは初めてだから新鮮だけど、もうそろそろ助けないとシーアさんが大変なことになりそうだと思った私は止めた。
はっ!? っと、我に返ったノア先生は一回咳払いした後、普段通りの接し方に戻った。
「これは失礼しました。少し、ソフィア様と話したいのですが……よろしいですか?」
「はい。もちろんです」
ノア先生はアイリスに聞く。
アイリスはぺこりとお辞儀をした後、早急にその場から離れていった。
私の隣にはアイリスが一緒に歩いていて、その数メートル後にはオリヴァーさんがついて来る。
「……花を見るのが楽しいとか、ワシにはわからぬのぉ」
私の肩に乗っていた小型ドラゴンの姿のシーアさんが退屈そうに声を出す。
「綺麗じゃないですか」
「……ワシには、そうは思わぬ」
シーアさんは人ではなく、精霊。感覚や感情も人は少し違うのかも。
ゲームでも不思議な者だったけど。
私はシーアさんとは関わりを持たないと思ってたけど、こんな形で関わることになるとは思わなかった。
「ソフィア様?」
シーアさんとコソコソと話していたらアイリスが不思議そうに首を傾げた。
アイリスには、シーアさんの姿が見えなかったんだった。
「ううん。なんでもない」
私はアイリスに微笑んだ後、白薔薇を見る。
庭に咲き誇る白い薔薇。なんの汚れもないその薔薇が創りものだとは思わなかった。
中には本物の薔薇もあるらしいけど、私には創りものなのか本物なのかの見分けがつかない。
だって、クオリティが高いんだ。創りものなのだと言われるまで気にもしなかったもの。
転生するなら平民の方が良かったのかな……なんて。
もう何度も思ったこと。転生するなら死亡フラグがなく、幸せな生活が良かったと。
……でもわかってる。
死亡フラグがない人生はないということを。
後悔して、弱気になることもあるけど……ちょっとしたことでこ・の・世・界・に・転・生・し・て・良・か・っ・た・と思ってしまう。
我ながら矛盾してる。
「あっ、ノア先生!?」
ため息をしたらノア先生が白薔薇をいじっているのを見てしまい思わず声をかけてしまった。
見てはいけないものを見てしまった気がしたが、ノア先生は私に気付くと近寄ってきた。
「これはソフィア様」
「あっ、……えっと」
用もないのに声をかけてしまったからなんて話そうかと悩んでいたらノア先生が話し出した。
「この薔薇たちも一つ一つが若干違うんです。面白いですよね」
クスッと微笑んだノア先生は、綺麗な人だなって見惚れてしまう。
この人が男性だということを忘れてしまいそうな美貌だ。
そういえば、ノア先生は庭師のクラレンスさんと仲が良かったっけ。
言葉にしてないだけで寂しいんだろうな。
私も、最初の頃は死んだって実感なかった。
でも日に日に居ないんだなって思い始めるようになって……。
ものすごく寂しかった。
きっと、ノア先生も私以上に悲んでいるんだろう。
「お主がそんな花好きだとは思わなかったぞ」
私の肩に乗っているシーアさんが口を開くとノア先生はその声が聞こえたのか私の肩を見る。
「あなたは!?」
驚いたように目を開くと、ガシッとシーアさんを掴んで、ブンブンと揺さぶる。
「どうしてあなたが!? なぜソフィア様の肩に!? そのお姿は!!?」
シーアさんは勢いよく揺さぶられてるから目が渦巻いているし、多分遠心力がかかったように首が外に引っ張られてる感じなんだろうな。
「ノ、ノア先生。その辺に」
こんな動揺したノア先生を見るのは初めてだから新鮮だけど、もうそろそろ助けないとシーアさんが大変なことになりそうだと思った私は止めた。
はっ!? っと、我に返ったノア先生は一回咳払いした後、普段通りの接し方に戻った。
「これは失礼しました。少し、ソフィア様と話したいのですが……よろしいですか?」
「はい。もちろんです」
ノア先生はアイリスに聞く。
アイリスはぺこりとお辞儀をした後、早急にその場から離れていった。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
〘完結〛ずっと引きこもってた悪役令嬢が出てきた
桜井ことり
恋愛
そもそものはじまりは、
婚約破棄から逃げてきた悪役令嬢が
部屋に閉じこもってしまう話からです。
自分と向き合った悪役令嬢は聖女(優しさの理想)として生まれ変わります。
※爽快恋愛コメディで、本来ならそうはならない描写もあります。
悪役令嬢が行方不明!?
mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。
※初めての悪役令嬢物です。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる