乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第九章 私にとっての【推し】とは?

最後ぐらい、なにかやりたい

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 オリヴァーさんの話で状況を理解したノア先生は深いため息をついた。

「……なぜ契約しようとしたんですか? ソフィア様は竜騎士としての特訓をしてこなかった。なによりも素質があるかどうかも分かりません。そんな中、契約なんてしたら……」

『確実に死が待っている』と、ノア先生は言いたいのだろう。

 いずれ突っ込まれるとは思ってた。大きなリスクを背負ってでもやることなのかと。

 私自身も矛盾してると自覚している。

 死なないように日々、生活しているのに……。死ぬリスクがある道を選ぼうとしたんだもん。

 だけど、私の中に封印されている闇属性をなんとかするには大きなリスクを背負うしかないと思った。
 死亡フラグ回避のためにも。
  
「ワシが勧めたんじゃ。死ぬことは無いと判断したからのぉ」
「その根拠は?」

 私の肩に座ってたシーアさんが口を開いた。

 すかさず、ノア先生が問いかける。

「薄々気付いとるじゃろ? 言葉にしてもいいのかのぉ」

 シーアさんの意味深な言葉を聞いてノア先生は私と目を合わすとすぐに逸らした。

「…………わかりました。そういうことですね、良いでしょう」

 あっ、納得してくれた。

 死ぬことは無い? それは……なぜ?

「では私はこれで失礼しますね」

 ノア先生は私に深々と頭を下げた。

「え、どこか行くんですか?」
「いいえ。当分はこの屋敷に居ますよ。ですが、私よりも魔力が上な方がいらっしゃるのでしたら、細かな仕事を終わらそうかと。書類が山積みなので」
「そ、そうなんですね!!? あの、仕事が忙しいのに……私の魔法を見てくれるなんて」
「お気になさらないでください。私が好きでソフィア様の先生になったのです」
「ノア先生……」

 それも、皇帝陛下の命令だからですか? と、思わず言いかけたけどグッと堪えた。

「伝え忘れるところでした。今から一週間後、アレン王太子殿下がソフィア様の様子を伺いに行きたいそうです」
「一週間後……」
「予定がありましたか?」
「あっ、いいえ。なんだか久しぶりなので……会うという実感が湧かないと、いいましょうか」

 一週間後。

 会いたくないような……、会いたいような。

 前までは、必死過ぎて推しが傍にいても意識はしなかったけど。少ししか……。

 でも今は……。会ったら、緊張しそうだなぁ。

 推し+憧れ=怖い人から、推し=信じたい人になりつつある。

 私、アレン殿下に心を許し始めてる?

 感情は恐ろしいなって思う。ちょっと優しくされただけで信じたいと思ってしまう。

「会いたくありませんか?」
「い、いいえ!!! お会いするのを楽しみにしていますね」
「ではそのようにお伝えします。明後日には、マテオ様が屋敷を離れる日でもありますし、気持ちの整理がまだ追いついてないでしょうから」

 そうだ。明後日にはマテオ様がこの屋敷から居なくなってしまう。

 最後ぐらい、なにかやりたい。

 マテオ様が喜ぶことって……?

 本人に聞いてみよう。





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