乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第十二章 動き始めた……○○フラグ

転生した理由は……?

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 空中庭園内の中央付近にある噴水を通り過ぎ、白とピンクの薔薇のアーチを潜った先に白いガゼボがあった。

 ガゼボ内にはベンチが置かれている。

 ベンチの傍で立っている男性が私と殿下に気付くと、会釈した。

「お待ちしておりました」

 男性は私の良く知る人物、ノア先生だった。右肩には小型ドラゴンの姿のシーアさんが座っている。

 きっと、殿下にはシーアさんの姿は見えないんだろうな。

 ノア先生はベンチに座るように促した。

 殿下の顔を見ると、目が合った。殿下はクスリと笑うと手を引いた。

 エスコートされるままに座る。殿下も私の隣に腰掛けた。

「単刀直入に申し上げます。王太子殿下、貴方は呪われています」

 私と殿下が座るのを見届けていたノア先生が真剣な顔付きで告げた。

 本当に単刀直入だ。いつかはわかる事なんだろうけど……。

 その声は、静かな庭園内に響いた。殿下がどんな反応をするのかと思うとどうも緊張してしまう。

 冷や汗が滲み出てるのが自分でもわかる。

 だけど、殿下は何も言わずにただ黙っていた。
 私は今、殿下の横に座っているからどんな表情をしているのか分からない。
 ノア先生を見ると、表情は堅いままだ。シーアさんは少し眠そうにしていた。

 これだと、殿下の表情が分からない。ノア先生の反応を見て察しろうと思ってたのに……。

 恐る恐る横目で殿下を見る。

 殿下は口に手を当てて考え込んでいた。考えがまとまったのか、殿下はノア先生を見た。

「そうか。あの悪夢は全て呪い、なんだね。大方予想はつくけど、一体どこの刺客なんだろうね」
「……それが」

 ノア先生は口篭る。言い難いことなんだろう。まぁ、そうだよね。

 呪いの元凶が私かも知れないんだから。

 どうしよう。ここは、言った方がいいのかな。

 私はぎゅっとスカートを握る。

 恐れてても何も解決はしないんだ。

「あ、あの!」

 意を決して声を出すと、自分が思っていたよりも震えていた。

「呪いの元凶は、私……にあるかもしれません」

 目をぎゅっと閉じる。

「それは、どうしてそう思うの?」

 殿下は優しい口調で私に話しかけたが、私はずっと下を向いたままで話し出す。

「私が、闇属性だからです。殿下もご存知でしょう。私が実の両親を殺していたことも……」

 空気が一瞬のうちに変わった。ノア先生の手元に微かな魔力が宿るが、殿下が制する。

「そうか、知ってたんだね」

 殿下の言葉に私はゆっくりと頷いた。

 流石、だと思う。至って冷静さを保てるとは。ノア先生なんて動揺して私に攻撃しようとしていたというのに。

 それほど私に興味が無いのかも。上辺だけの優しさなのがよくわかる。

 そもそも期待なんてしてなかったけど。……してないはずなのに、少し寂しい。

「……今のところ、暴走はありませんけど。私の属性と関わりがあるかも知れないんです」
「なるほど。ノア殿の意見は?」
「私も……って、え」

 ノア先生が話終わるのを待たずにシーアさんは耳打ちした。

「王太子殿下の呪いは、ソフィア様にしか解けないかと」

 私は悪役令嬢のソフィアが闇属性と悪魔を使い、殿下に呪いをかけたと思っている。

 だから、その事に薄々気付いているのかも。

「……全く、悪い冗談だ。ソフィア嬢が呪いをかけたとは思えないよ」

 深いため息と共に呆れた殿下の声。

「それに、辛いことを思い出してしまったんだ。追い詰めるのはよしてくれ」
「……そうですね。大変失礼しました」
「い、いえ、私は大丈……ぶっ!?」

 私は勢いよく立ち上がると、さっきまで緊張していたのもあり、足に力が入らなくて転びそうになる。

 慌てた殿下が立ち上がり、私を支えた。

 その時だ。ピリッと全身を電撃が通り過ぎたと思ったら私の意思とは関係なくある感情が押し寄せた。

「~~っ!!?」

 それは哀しみと後悔だった。自分への失望と他人への恐怖心。そして、愚かなことをしてしまったという後悔の気持ち。

 私はこの感情を知っているし、経験をしたことがある。

 なぜそう思ったのか分からない。でも、そう思った。

 ……もしかしたら、私が転生したのは悪役令嬢と波長があってしまったから?

 悪役令嬢は、殿下に殺される直前に呪いをかけ、その見返りでソフィア自身も呪われてしまった。

 その結果、無限ループとして何回も同じ人生を歩むのだが、ソフィアは悪魔との契約によって魂を拘束されている状態のままループを繰り返していくうちに肉体から魂が離れる。

 だが、呪われてしまったソフィアを悪魔は魂を奪うことは出来ない。例え奪ったとしても呪いは健在で、同じ人生を歩むのだから。また一からのスタートで奪ったことに入らない。

 行き場を失った魂は殿下の中に入り、悪夢を見させている。

 それは気付いてほしい。助けてほしい。という悪役令嬢の悪あがきなのかもしれない。

 プライドが高い子だから、素直に言えないんだろう。

 魂が入ってない身体に、たまたま波長があった私の魂が入ってしまったのかも。

 だとしたらクロエ様もまた……??

 私のは憶測に過ぎないけど、それしか考えられない。

「ノ……ア先生……どうすればいいんですか」

 だとしたら、私がやるべきことは決まってる。



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