乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

文字の大きさ
187 / 240
第十八章 アイリスの願いと叶わないと思っていた恋

今はまだ生かされているけど【アイリス視点】

しおりを挟む
 これから着替えようとした時にお母様が入ってきた。

 お母様は私を見るなり冷ややかな表情になる。何かあったのだろうかと不安になりソファーから立ち上がる。

「鍵、持っているんでしょう。早く渡しなさい」
「何の事でしょうか」
「まぁ、どこまでも親不孝者なのね。調べはついているのよ。家を出る前に鍵を持って行ったじゃない」
「鍵なんて知りません」
「宝石に隠されてたのよ。それをお前が持っていったじゃない」
「……あの宝石は、追放したとはいえ、ルイス家の娘。お無さげで何かあればこれを売りなさいと渡してきたのはお母様でしたよね」

 そう、私は家から追い出された日にお母様が渡してきた宝石だ。鍵があるのを知ったのは二年前。その鍵が何なのかは良く分からなかったけど……、ソフィア様に関わることなのは察しがついた。

 だって、お父様やお母様はやたらとソフィア様の情報を聞きたがるんですもの。

 最近になって分かったことがある。お父様は鍵を使って開けられる部屋にある道具でソフィア様の魔力を全て奪う気だ。

 そんなことは絶対にさせない。不幸中の幸いなことに……ソフィア様は結婚式には参加しないようだから、そこは安心出来る。

「えぇ、そうよ。でも状況が変わったの」
「すみませんが、売ってしまいま……っ!?」

 手元に無いし渡す気も無かったので、売ったって嘘をついたら、テーブルに置いてあった飲みかけの紅茶を顔面にかけられた。

 びっしょりと髪と顔、それからドレスにもかかる。

「気が利かないのね。ホント、能無しなんだから。売って良いとは確かに言ったけどね、普通は売らないものよ」

 なんて、滅茶苦茶な事を言うんだろう。

「その鍵が必要なんですか?」
「お前には関係ないわ。結婚式だけどね、言われた通りにやるのよ。良いわね」
「わかっています。お母様」

 結婚式に、何かをやるんだろうか??
 鍵を渡しといて良かった。

 お母様が部屋から出ていくと、背後にいた侍女がクスクスと笑いを堪えていた。

 ーー息が詰まる。

 親もそうだし、侍女からにも下に見られ横暴な態度を取られる。

 もう嫌だ。デメトリアス家の侍女として働いていた時の方が幸せだった。

 でも、戻る訳にはいかない。ソフィア様を守るために帰って来たんだから。

 多分、お母様は……鍵が中に入ってることを知らずに私に渡してきて、それが後々分かったから聞きに来たんだろうなと思う。

 きっとお父様に言われたんだろうな。

 ……でも変よ。あの鍵はまだ使われないはず。だってソフィア様は結婚式に来な……。

「まさか」

 えっ、嘘。来ているの??

 でも招待状には不参加だって聞いたわ。だったら目的はソフィア様じゃなくて……、クロエ様の方なんじゃ。

 私はなんて事を……。

 お父様の言う通りにしてしまった結果。それは自ら選んでしまった行動だけど、クロエ様はソフィア様の友人。

 クロエ様に何かあれば、きっとソフィア様は悲しむ。

 私のせいだ。

 クロエ様の危機を何とか知らせようとしたが、思い留まった。

 多分この部屋からは出られない。運良くクロエ様に伝えたとしてもお父様やお母様は使用人を使って私の動きを監視しているはずだろう。

 ーー今はまだ生かされているけど、そのうち私と旦那になる方も、事故と見せかけて殺すつもりだろう。

 私の両親はそういう人なのだから。

 目的のためなら手段を選ばない。邪魔者は容赦なく排除する。それが例え、人並み外れていようとも。

 そうして『子爵』に上り詰めたのだから。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ

いつき
恋愛
身近に最上の推しがいたら、例え結ばれなくても人参をぶら下げた馬にでもなると言うものですよね? 両親を喪い平民から貴族になると同時に、前世で見た乙女ゲーム系アニメの最推しが義兄になったレンファラン 貴族の子女として家の為に婚姻? 前世の記憶で領の発展に貢献? 推しの役に立ちたいし、アニメ通りの婚約破棄だけは避けたいところだけれど…

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

処理中です...