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第十八章 アイリスの願いと叶わないと思っていた恋
全部私の為なのよね
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アイリスは涙を流しながらも話し出す。
「なんてことを……言うのです」
アイリスの頬に触れている私の手に自身の手をそっと重ね、目を瞑る。
さらに話を続ける。
「そんなこと言われてしまうと、私の決意がブレてしまうではないですか」
「アイリス、私は……」
「私は結婚しますよ。それが私の意思です。ここまで来てくださって申し訳ありませんが、お帰りください」
アイリスは悲しそうに微笑む。
本当は嫌なんでしょ。なんで頑なに否定するの……?
その答えなんて……全部私の為なのよね。
その気持ちは有難いんだよ。でも、アイリスを犠牲にしてまで私を守る必要はないよ。
なんでそこまで自己犠牲するの? 私は他人なんだよ。少しぐらい、自分の幸せの為に生きていてほしい。
私なんかの為じゃなくて……。
そんなことを言いたくて仕方なかった。でも、きっとーーそれは言えない。
だって、そんなこと言ったらアイリスを困らせるから。
私の思いはどう伝えようと考えても、分からない。
混乱していると、割れた食器から微かにお酒の匂いがした。
なんてことのない匂いだと思った。だから、気にしないで口を開こうとした……のだが、
アルコールの香りをほんの数秒間嗅いだだけなのに酔ったようにフラっとして、視点が定まらなくなった。
何故か気分も良いのだが、それと同時にアイリスへの怒りがひしひしと湧き出した。
「帰れ……でしゅって? そんなのやぁ」
もやは呂律は回ってない。それで感情が止まらない。
「え、ソフィア様??」
そんな私を見たアイリスはすぐに様子がおかしいことに気付いた。
「アイリスは私が嫌い? 邪魔なの??」
「い、いえ。そんな事は……というかソフィア様、どうしました? 顔がお赤いですよ」
「私、怒ってりゅんだから。勝手に居なくなって、そしたら家族とかに大事にされてないことを知って……それで良いなわけひゃい!!! そんにゃの、しんぱぁいするに決まってりゅ」
「ソフィア様……もしかして酔って……えっ、でもお酒は口にしてないはず……まさか、匂いだけで!?」
私はコテンっとアイリスの胸に埋もれる。背中に手を回し、ギュッと力を込めて抱き締める。
「……しいの。アイリスが居ないと寂しいのぉ。お願いだから帰ってきれ……」
アイリスを困らせてるのはわかってる。けど、抑えられない。私は言葉を紡ぐのをやめない。
「アイリスが幸せじゃないのはヤダよぉ。苦しんでほしくないよ……。私、私ね……アイリスが心の底から笑ってくれにゃいと許してあげないんだか……ら……。力になりたいのに、何も出来ないのは辛くて悲しい……」
「……ソフィア様」
アイリスはそっと私の頭を撫でる。それは赤子をあやす様に優しくて安心した。
「……すみません。一人で抱え込み過ぎましたね。私もソフィア様の元に帰りたいです」
「……ん。ほんとぉ?」
私は不安そうに顔を上げるとアイリスは今にも泣き出しそうな笑みを向けていた。
「本当です。それにしても、ソフィア様はお酒が入ると甘え上手になるんですね。初めて知りました」
ふふっと笑うアイリスにムッとした私は悪態をつかずに頬を膨らまして軽く拗ねる。そして、再びアイリスの胸にうずくまり、スリっと頬を擦る。
なんだろう。不思議な気持ち。……アイリスに頭を撫でられるととても落ち着くし、抱き着いていても安心出来る心地良さがある。
そのあまりにも気持ちが良すぎて『もっと』っと、欲が生まれる。
その欲に身を預けると、止まらなくなってしまった。
そして、
うとうとと、し始めて、私はゆっくりと目を閉じたのだった。
「なんてことを……言うのです」
アイリスの頬に触れている私の手に自身の手をそっと重ね、目を瞑る。
さらに話を続ける。
「そんなこと言われてしまうと、私の決意がブレてしまうではないですか」
「アイリス、私は……」
「私は結婚しますよ。それが私の意思です。ここまで来てくださって申し訳ありませんが、お帰りください」
アイリスは悲しそうに微笑む。
本当は嫌なんでしょ。なんで頑なに否定するの……?
その答えなんて……全部私の為なのよね。
その気持ちは有難いんだよ。でも、アイリスを犠牲にしてまで私を守る必要はないよ。
なんでそこまで自己犠牲するの? 私は他人なんだよ。少しぐらい、自分の幸せの為に生きていてほしい。
私なんかの為じゃなくて……。
そんなことを言いたくて仕方なかった。でも、きっとーーそれは言えない。
だって、そんなこと言ったらアイリスを困らせるから。
私の思いはどう伝えようと考えても、分からない。
混乱していると、割れた食器から微かにお酒の匂いがした。
なんてことのない匂いだと思った。だから、気にしないで口を開こうとした……のだが、
アルコールの香りをほんの数秒間嗅いだだけなのに酔ったようにフラっとして、視点が定まらなくなった。
何故か気分も良いのだが、それと同時にアイリスへの怒りがひしひしと湧き出した。
「帰れ……でしゅって? そんなのやぁ」
もやは呂律は回ってない。それで感情が止まらない。
「え、ソフィア様??」
そんな私を見たアイリスはすぐに様子がおかしいことに気付いた。
「アイリスは私が嫌い? 邪魔なの??」
「い、いえ。そんな事は……というかソフィア様、どうしました? 顔がお赤いですよ」
「私、怒ってりゅんだから。勝手に居なくなって、そしたら家族とかに大事にされてないことを知って……それで良いなわけひゃい!!! そんにゃの、しんぱぁいするに決まってりゅ」
「ソフィア様……もしかして酔って……えっ、でもお酒は口にしてないはず……まさか、匂いだけで!?」
私はコテンっとアイリスの胸に埋もれる。背中に手を回し、ギュッと力を込めて抱き締める。
「……しいの。アイリスが居ないと寂しいのぉ。お願いだから帰ってきれ……」
アイリスを困らせてるのはわかってる。けど、抑えられない。私は言葉を紡ぐのをやめない。
「アイリスが幸せじゃないのはヤダよぉ。苦しんでほしくないよ……。私、私ね……アイリスが心の底から笑ってくれにゃいと許してあげないんだか……ら……。力になりたいのに、何も出来ないのは辛くて悲しい……」
「……ソフィア様」
アイリスはそっと私の頭を撫でる。それは赤子をあやす様に優しくて安心した。
「……すみません。一人で抱え込み過ぎましたね。私もソフィア様の元に帰りたいです」
「……ん。ほんとぉ?」
私は不安そうに顔を上げるとアイリスは今にも泣き出しそうな笑みを向けていた。
「本当です。それにしても、ソフィア様はお酒が入ると甘え上手になるんですね。初めて知りました」
ふふっと笑うアイリスにムッとした私は悪態をつかずに頬を膨らまして軽く拗ねる。そして、再びアイリスの胸にうずくまり、スリっと頬を擦る。
なんだろう。不思議な気持ち。……アイリスに頭を撫でられるととても落ち着くし、抱き着いていても安心出来る心地良さがある。
そのあまりにも気持ちが良すぎて『もっと』っと、欲が生まれる。
その欲に身を預けると、止まらなくなってしまった。
そして、
うとうとと、し始めて、私はゆっくりと目を閉じたのだった。
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