乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第十九章 心に封じられた記憶の闇

かなり抵抗がある

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 ルイス家とその使用人達は捕まり、ルイス夫妻は一週間後に死刑が決定されたというのをデメトリアス家の屋敷に戻った次の日に聞かされた。

 使用人達は全員解雇となり、釈放されたあとは路頭に迷うことだろう。

 肝心のアイリスはというと、お義父さまがしばらく休暇を出したそうで、デメトリアス家の屋敷には来ていない。

 この機会に気持ちの整理をしたいとアイリスの意思でもある。

 どっちにしろ、私に出来ることは帰ってくるのを信じて待っているだけ。

 それに……まだ、壊していないのだ。あの石を。

「準備が出来ましたらお願いします」
「はい」

 私は今、帝国の闘技場に来ている。

 闘技場の中央に鎮座しているのは怪しく輝く魔法石。

 私の腰ぐらいのところまである丸くて細い棚に置いてある。

 周りは誰もいない。危険回避の為に離れた所で魔導具を通して見ているのだ。

 魔導具から見物している人達はどういう人で何人なのか、私は知らされていないのだが、知る必要は無いと判断したので何も触れない。

 さっきの声は、その魔導具から聞こえてきた。

 魔術士の子供を犠牲にして造られた石。正直に言うとかなり抵抗がある。

 それでも、破壊しなくてはいけない。そうじゃないと、報われないと思うから。

 ーーごめんなさい

 と、目を瞑り何度も心の中で謝罪する。

 石を破壊するイメージを浮かべる。黒いモヤのようなものが私の影から出てきて、石を包み込む。

 ガラスのように粉々になるのをイメージしながらも黒いモヤに魔力を注ぐ。

 すると、パリーンっと音が響いた。

 衝撃波で突風になるのを覚悟していたのだが、予想よりも遥かに静かな音だったので、拍子抜けした。

 目を開けると、棚は綺麗なままで石だけが粉々になっていた。

「嘘……」

 私は力なくその場に座り込んだ。

 あまりにも自分の予想からかけ離れていた結果だったのに驚いたから。

 さっきまで緊迫していたけど、緊張の糸が切れたように呆然と粉々になっている石を見つめていた。

 シュッと背後で風を切るような音がする。

「ソフィア嬢」

 瞬間魔法を使った音なのだろう。肩を抱かれてその人物を見るとアレン様が心配そうにしていた。

 昨日と今日だ。かなり心配していたんだろうな。

 破壊した後にすぐに駆け付けたのだから。

 皇帝陛下の命令だから、我慢したのだろう。何よりも粉々にした石は危険だから、一日でも早く壊さないといけないので、反対意見が言えなかったのも有りそう。

「……すみません」
「頑張ったね、ソフィア嬢が無事ならそれで良い。今はゆっくりお休み」

 闇属性は魔力の消耗が激しい。目を開けられないほどの睡魔に襲われる。

 目を閉じる間際、足が宙に浮き、すぐ目の前にはアレン様の苦笑した顔。背景には青い空。

 そういえば、この闘技場は屋根がないタイプだったっけ。

 と、ぼんやりと思いながらも眠りについた。

 起きたのは、次の日の昼過ぎだった。

 昨日の事と結果を報告されて嬉しいやら恥ずかしさで胸がいっぱいになった。

 何せ、私はアレン様に横抱きされながらも屋敷に帰ってきたそうで、義両親はまた私が粗相をしたのではないかと冷や冷やしたそうだが、アレン様が穏やかな顔だったので安心したそうだ。

 更には寝室まで運んでくれたのだとか。

 結果なのだけど、ノア先生+護衛騎士が同行するのなら、街を歩いても良いと皇帝陛下から許可がおりた。

 一人では行動出来ないけども大きな進展だと思う。

 ただ一つだけ、言わせてほしい。

 アレン様に何回か横抱きされたことあるけども……何回経験してもかなり恥ずかしい。

 そんなことを思い出しては赤面して布団に潜った。




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