乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第十九章 心に封じられた記憶の闇

これでやっと行ける

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 クロエ様がデメトリアス家に出向いて下さり、回復魔法を使ってくれたおかげで早めに回復出来た。

 無茶をしないようにと念押しされたけども。

 それから二日ぐらいは安静にしていた。なにせ無理をして、まだしばらく寝室に籠らないといけないのは遠慮したい。

 二日間様子見していて、特に不調が見当たらなかったので、外出の許可がおりた。

 ……これで、やっと行ける。

 私が本当の両親と育った家に。『私が』と、いうよりも『ソフィアが』なんだけどね。

 前世の記憶を持ってしまうと混乱しちゃう。たまに思う。

 屋敷の外に出るのだからという理由で平民の服に着替え、魔法で髪の色と瞳の色を変える。

 目立たないように全体を控えめな色にしてもらった。

 同行する人達も目立たないように控えめにしてもらう。

 ……してもらったつもりなんだけど、綺麗な整った顔立ちだけあって色を変えても、平民服に着替えても目立っているような気がする。

 なんというか、イケメンオーラというか。誰もが目を引きそうだなと思った。

 お忍びなのに大丈夫かなと今からすごく緊張してしまう。

 馬車で行くのではなく、目的地までは瞬間魔法を使うそうだ。

 ノア先生が事前にマーキングしたそうなので馬車で行く必要は無いのだとか。

 元々、人通りが少ない場所で立ち入り禁止となっている場所なので、マーキングしても大丈夫らしい。

 その立ち入り禁止の場所に行くのを許可がおりたということだ。

 その場所は私にとって大切な場所でもあり、両親との思い出の場所。

 ーー私が魔力暴走して両親を死なせた場所でもある。

 それと、ひとつだけ言わせてほしい。

 何故、アレン様もいるの?

 という疑問があるのだが、皆普通にしてるから気付かないフリをした方が良いのか、迷う。

 私の疑問を察したのかアレン様はニコッと笑った。

「たまたま時間が空いたんだ。息抜きも必要だからね。丁度、ソフィア嬢が外出すると聞いてね」

 なんて爽やかな笑顔を向けてるので、咄嗟に護衛騎士の二人を見ると、キースさんは笑顔を絶やさずに普段通りだったけど、オリヴァーさんはすぐに目を逸らした。

 何も聞かないでと言っているのが聞こえてくるようなあきらかに態度が変だった。

 アレン様の事だから、たまたま時間が空くことは無いだろう。

 考えるとしたら、何日も徹夜して仕事をしていたんだろうな。それに付き合わされた人達が今は屍のようになっていそう……。

 オリヴァーさんも若干眠そうだし、ご愁傷さまです。と、そっと心の中で呟いた。

 多忙な人なのに、私の為に時間作ってくれて……なんだか、気恥しい気持ちになったのは黙っておくことにしよう。
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