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第二十章 過去、そして現在
もう二度と貴方たちの操り人形にはなりません【アイリス視点】
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デメトリアス家の侍女としてまた雇って貰うことになったのだけど、休暇を貰ったので、ある所に出向くことにした。
そのある所とは、アシェル城の地下牢。私の父と母が居る。
聞けば一週間後ぐらいには死刑になるそう。なんだか呆気無い終わりで腑に落ちないというか……。
何かが突っ変えてて取れないような感覚なのだ。だからこそ、その疑問を解決する為に会いにきた。
正直、会いたくは無い。けど会わないと何もはじまらないと思ってしまった。
石造りの地下牢は空気が冷たい。一方歩けばコツーンっと、音が響く。
「つきましたよ」
案内人の騎士は、立ち止まる。
一つの頑丈そうな扉がある。その扉を守るように鉄格子が嵌められている。
騎士は扉の鍵を開けると、ゆっくりと押す。扉はかなり古いのか、ギィーっと歪な音を響かせる。
扉の中は白を基準にした作りとなっていた。ベットとテーブルと椅子。それからティーセットが置かれていた。
貴族なので、優遇してくれてたみたいだ。でも、モヤッとする。
この気持ちは一体……?
そう考えてみるが、応えがわからない。
ある違和感に気付いた。
「お父様とお母様のお姿が見えません」
「あっ、失念してました。今はあの時間なんです。すみませんが今日は会話は難しいかと」
「?? それはどういう意味ですか?」
「……見学してみますか?」
騎士は途端に顔を青ざめながらも聞いてきた。一体、どうなっているのだろうかと疑問に思いながらも頷く。
「こちらです」
騎士は扉を開けた先に進む。私もその背についていく。壁まで来ると壁が左右に別れた。隠し通路のようでさらに下に降りる階段がある。
「この先は自己責任でお願いします」
と、騎士が最終通告かのように声を震えながらも聞いてきた。
私は躊躇いもなく、了承する。
騎士が歩きながら「ああ……あの悪夢をまた見るのか」など、聞こえたが、私はなんの事なのかわからないけどこの先には何かがいることは間違いないだろう。
怯えぶりは尋常ではない。私は気を引き締めて騎士の後を追った。
下に下にと降りていくと、悲鳴が聞こえてくる。それ以外の声や音は聞こえない。
一体、何が起こっているのだろう。
階段を降り、通路の先には牢屋があった。けど、先程の牢屋よりも荒々しかった。
石造りの壁、冷たいベットに鎖で繋がれている男女の姿。
身につけているものは豪華なドレスと紳士服。
女性の方は頬は爛れ、腕には紫色と赤色の斑点のようなものが浮かんでいた。
男性の方は目を大きく見開き、充血している。足が腐り落ちていた。
二人共、ずっと悲鳴を轟かせている。もがき苦しんでいるようで見るに堪えない。
そして、何よりも……。
「お、父様。お母様!?」
そう、私の父と母だった。
「細菌の毒素を中和する実験なのだとか。激痛と幻覚が酷いそうで、腕の斑点のようなものは暴れて自ら何かわからない薬品を腕にかけて出来たもので、足が腐ったのは薬によるものです。その現場を見てしまったもので……思い出しただけでも吐き気が……」
騎士は「うっ」と、呻き声を上げて口を抑えた。
「一週間後に死ぬのに……いや、死ぬから実験させたのでしょうか?」
「……貴方の両親だからお話しますが、死刑は表向きなのです。この地下牢で一生苦しみ生きていきます。実験台として。それぐらい、罪は重いのでしょうね」
「それなら見せしめにしても良さそうな気がします。何故、しないのでしょう?」
「……禁止されてますからね。拷問みたいなのは。ルイス夫妻は怒らせてはいけない人を怒らせたようです。この事はどうか内密に」
拷問みたいではなく、これも一種の拷問なのでは?
なんて口が裂けても言えない。
私は手を口に当て、苦しんでいる両親から目を逸らした。
見ているだけで痛々しい。けれど、さっきまでのモヤっとしたのが一瞬で消えた。
清々しい思いがうまれてくる。
その時に気付いた。私は、両親をずっと恨んでて、憎くて堪らなかったけど、どうすることも出来なかったから諦めていたんだ。
でもそんな両親が苦しんでるのを見て、喜んでいる自分がいる。
ーー他人の不幸は蜜の味って言うけれど、
まさか自分がそこに当てはまるなんて思わなかった。
騎士はきっと拷問の様子がダメなのだろう。今にも吐きそうだ。なので速やかに元来た道に戻るように促す。
地下牢を出た当たりで騎士は大きく息を吸って吐いた。
「お見苦しい所を……すみません」
呼吸を整えてから私の方を向いた騎士は申し訳なさそうに謝罪した。
私は「気にしないでください。誰だって苦手なものはありますよ」と、宥めた後、地下牢を見ながら話す。
「正気に戻りましたら、両親に伝えてください。もう二度と貴方たちの操り人形にはなりません、と。自分の居場所をこれ以上土足で踏み込まれたくありませんから」
それだけ言うと、騎士に一礼した。
ーー正気に戻る確信は無いだろうけど、一応ね。
そのある所とは、アシェル城の地下牢。私の父と母が居る。
聞けば一週間後ぐらいには死刑になるそう。なんだか呆気無い終わりで腑に落ちないというか……。
何かが突っ変えてて取れないような感覚なのだ。だからこそ、その疑問を解決する為に会いにきた。
正直、会いたくは無い。けど会わないと何もはじまらないと思ってしまった。
石造りの地下牢は空気が冷たい。一方歩けばコツーンっと、音が響く。
「つきましたよ」
案内人の騎士は、立ち止まる。
一つの頑丈そうな扉がある。その扉を守るように鉄格子が嵌められている。
騎士は扉の鍵を開けると、ゆっくりと押す。扉はかなり古いのか、ギィーっと歪な音を響かせる。
扉の中は白を基準にした作りとなっていた。ベットとテーブルと椅子。それからティーセットが置かれていた。
貴族なので、優遇してくれてたみたいだ。でも、モヤッとする。
この気持ちは一体……?
そう考えてみるが、応えがわからない。
ある違和感に気付いた。
「お父様とお母様のお姿が見えません」
「あっ、失念してました。今はあの時間なんです。すみませんが今日は会話は難しいかと」
「?? それはどういう意味ですか?」
「……見学してみますか?」
騎士は途端に顔を青ざめながらも聞いてきた。一体、どうなっているのだろうかと疑問に思いながらも頷く。
「こちらです」
騎士は扉を開けた先に進む。私もその背についていく。壁まで来ると壁が左右に別れた。隠し通路のようでさらに下に降りる階段がある。
「この先は自己責任でお願いします」
と、騎士が最終通告かのように声を震えながらも聞いてきた。
私は躊躇いもなく、了承する。
騎士が歩きながら「ああ……あの悪夢をまた見るのか」など、聞こえたが、私はなんの事なのかわからないけどこの先には何かがいることは間違いないだろう。
怯えぶりは尋常ではない。私は気を引き締めて騎士の後を追った。
下に下にと降りていくと、悲鳴が聞こえてくる。それ以外の声や音は聞こえない。
一体、何が起こっているのだろう。
階段を降り、通路の先には牢屋があった。けど、先程の牢屋よりも荒々しかった。
石造りの壁、冷たいベットに鎖で繋がれている男女の姿。
身につけているものは豪華なドレスと紳士服。
女性の方は頬は爛れ、腕には紫色と赤色の斑点のようなものが浮かんでいた。
男性の方は目を大きく見開き、充血している。足が腐り落ちていた。
二人共、ずっと悲鳴を轟かせている。もがき苦しんでいるようで見るに堪えない。
そして、何よりも……。
「お、父様。お母様!?」
そう、私の父と母だった。
「細菌の毒素を中和する実験なのだとか。激痛と幻覚が酷いそうで、腕の斑点のようなものは暴れて自ら何かわからない薬品を腕にかけて出来たもので、足が腐ったのは薬によるものです。その現場を見てしまったもので……思い出しただけでも吐き気が……」
騎士は「うっ」と、呻き声を上げて口を抑えた。
「一週間後に死ぬのに……いや、死ぬから実験させたのでしょうか?」
「……貴方の両親だからお話しますが、死刑は表向きなのです。この地下牢で一生苦しみ生きていきます。実験台として。それぐらい、罪は重いのでしょうね」
「それなら見せしめにしても良さそうな気がします。何故、しないのでしょう?」
「……禁止されてますからね。拷問みたいなのは。ルイス夫妻は怒らせてはいけない人を怒らせたようです。この事はどうか内密に」
拷問みたいではなく、これも一種の拷問なのでは?
なんて口が裂けても言えない。
私は手を口に当て、苦しんでいる両親から目を逸らした。
見ているだけで痛々しい。けれど、さっきまでのモヤっとしたのが一瞬で消えた。
清々しい思いがうまれてくる。
その時に気付いた。私は、両親をずっと恨んでて、憎くて堪らなかったけど、どうすることも出来なかったから諦めていたんだ。
でもそんな両親が苦しんでるのを見て、喜んでいる自分がいる。
ーー他人の不幸は蜜の味って言うけれど、
まさか自分がそこに当てはまるなんて思わなかった。
騎士はきっと拷問の様子がダメなのだろう。今にも吐きそうだ。なので速やかに元来た道に戻るように促す。
地下牢を出た当たりで騎士は大きく息を吸って吐いた。
「お見苦しい所を……すみません」
呼吸を整えてから私の方を向いた騎士は申し訳なさそうに謝罪した。
私は「気にしないでください。誰だって苦手なものはありますよ」と、宥めた後、地下牢を見ながら話す。
「正気に戻りましたら、両親に伝えてください。もう二度と貴方たちの操り人形にはなりません、と。自分の居場所をこれ以上土足で踏み込まれたくありませんから」
それだけ言うと、騎士に一礼した。
ーー正気に戻る確信は無いだろうけど、一応ね。
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